「五輪書」から学ぶ Part-37
【水之巻】ねばりをかくると云事

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   五輪書から】何を学ぶか?  

 仕事をしていて、自分では一生懸命、粘り強く努力しているつもりでも、なかなか結果がでないことはないですか。

 ここでは、この粘りと言う言葉が、キーワードとなっています。

 兵法では、粘り強いというのは、非常に大事な事です。しかし、あくまでも的を得た、努力であったり、粘りではないでしょうか。

 「五輪書」には、一見似たような言葉が出てきます。 秋猴の身と云事では、接着剤で付けたように相手と密着する事が書かれていました。

 漆膠の身では、相手の身体と自分の身体を、密着させる事が書かれています。ただ、今回は身体ではなく、刀と刀です。この様子の違いをしっかり読み取らないと、自分の稽古に生かす事は出来ません。

 仕事でも、自分の思うような結果を出すために必要なのは、この様子の違いに気が付く事ではないでしょうか。

【水之巻】の構成

 1. 水之巻 序           
27. ねばりをかくると云事
28. 身のあたりと云事
29. 三つのうけの事
30. 面〔おもて〕をさすと云事
31. 心〔むね〕をさすと云事
32. 喝咄〔かつとつ〕と云事
33. はりうけと云事
34. 多敵の位の事
35. 打あひの利の事
36. 一つの打と云事
37. 直通〔じきづう〕の位と云事
38. 水之巻 後書
『原文』
27 ねばりをかくると云事 (原文を下記のルールに従って加筆訂正あり)
 敵も打懸け、われも太刀打ち懸くるに、敵受くるとき、わが太刀、敵の太刀に付きて、粘る心にして入るなり。粘るは、太刀離れ難き心あまり強くなき心に入るべし。敵の太刀に付きて粘りを懸け、入るときはいかほど静に入りても、苦しからず。
 粘るといふことと縺つるるといふこと、粘るは強し、縺るるは弱し。このこと分別あるべし。
加筆訂正のルール
                 *仮名遣いを歴史的仮名遣いに統一
                 *漢字は現行の字体に統一
                 *宛て漢字、送り仮名、濁点、句読点を付加
                 *改行、段落、「序」「後記」を付けた
 『現代文として要約』

 27 ねばりをかくると云事

 敵も打ち懸かり、自分も打ち懸かるとき、敵が受けた場合、自分の太刀は、敵の太刀に付いて離れないよう粘る心になること。粘る時は、太刀があまり強く離れないと思う心ではない時に入ること。敵の太刀に接して粘りを懸けて、入る時は静かに入るほど良い。
 粘るという事は強いが、縺れるという事は弱い。この事は分けて習得すること。

 『私見』

 「太刀離れ難き心あまり強くなき心」(原文)は、要約するより、意訳しないと理解しずらいと思います。
 要するに、相手の刀に自分の刀を無理やり押し付けて、離れないようにしようという気持ちでは、相手に悟られてしまい、粘っているのか、縺れているのか判らなくなってしまいます。さりげなく刀を接しておいて、相手の動きを感じ取る事が重要だと思います。

 中国拳法の稽古方法に、推手(すいしゅ)というものがあります。私も時々やりますが、この時に、自分の手の甲と相手の手の甲を接します。要領は決して強く押し付けない事が大事です。皮膚感覚で相手の動きを読み取る練習です。

 剣術も剣道も、空手でも、相手のある技術ですから、自分勝手な思い込みでは、「勝つ利」にはなりません。

 

 兵法書と言えば孫子と言われる程有名ですが、その謀攻篇に「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆しという名言があります。普通は前文にある、「彼を知り己を知れば百戦殆からず。」は、兵法や剣術などとは、縁のない人でも、一度は聞いた事があるのではないでしょうか。

 仕事上の言葉で言えば、相手のニーズに答える。という事でしょうか。企業は、よく、市場調査という事をしています。アンテナショップというものもあります。すべて、お客様のニーズに答える為です。

 稽古の仕方でも、目的を失ってしまって、机上論を如何に膨らませても、実際の役には立ちません。常に目的を逸脱しないように心がける必要があります。

 【参考文献】 
・佐藤正英(2009-2011)  『五輪書』ちくま学芸文庫.


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