作法を紐解く前に、食事の作法にどのような要素があるかを考えて見たいと思います。
私は、昔、社長から社員の評価について問われた時に、一緒に食事をする事が良いのではないですか、と答えた事があります。それも、座敷であれば、尚更良いと思っています。できれば、面接も食事をしながら出来れば良いと思います。
なぜ食事と協調性に関係があるかといいますと、自分勝手に食べ始めて、自分勝手に食べ終わってしまって良い物ではありません。みんなで食事をする時には、食べる時間も人に合わせる協調性が必要になります。
さて、今回は日本食の作法を学んで見たいと思います。
日本食と言うと、色々なマナーがありますが、真っ先に知らなければいけないのは、やはり「箸」でしょう。これは、もう文化と言って良いほど外国の人には知られる所です。
しかし、最近はこの「箸」も満足に使える人が減っている事も事実です。
日本の食事は、、箸と言う道具を使って、全ての食材を口に運びます。実はこれは世界中で日本だけの食べ方です。中国、韓国、あるいは東南アジアでも箸を使いますが、スプーンを併用して食べます。外国の人から見ると、奇異に映るかも知れませんが、スープを飲むときも箸を使います。もちろん日本ではスープとは言いませんが。
子供の頃から、小さい豆を掴むように教育されて育った日本人は、指先が器用に操作できます。世界広しと言えども日本のように繊細にものづくりをしている国はありません。細かい事が出来るから、細かい事に気が付くようになります。
ですから、日本の技術は、そのクオリティの高さと共に、厳密な検査能力も高いのだと思います。些細な違いを見逃さない能力が、自然と身に付いているのかも知れません。
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では、箸の扱い方を、「小笠原流礼法入門、美しいふるまい」(出典:小笠原敬承斎[1999]『美しいふるまい』株式会社淡交社.)から引用してみましょう。
1. 右手で箸の中ほどを上から取る。
2. 左手で下から添える。
3. 右手を箸に添ってすべらせ持ち直す。
箸置きに箸が置かれている場合は、できますが、普通のお店では、箸袋に入れてある場合がありますね。そんな時は、箸袋から出して、箸置き又は低い皿の上に置くか、箸袋を箸置になるように折ってもマナー違反とはならないそうです。
上手く割る方法は、割り箸を横に持ち、割れている部分の片方を上に持ち上げると、比較的綺麗に割る事ができます。割り箸を縦にすると、力が余って、隣の人に当たる場合があるので止めた方が良いでしょう。
食べ終わったら、箸先を箸袋に入れて、食事が終わった事を知らせるのも、現在のマナーとして有効です。
割り箸が登場したのは、「引裂箸」と言って、江戸時代ですから、箸の歴史から見ると、そんなに古い物でもありません。
次に、箸遣いで不作法とされているものを、「小笠原流礼法入門、美しいふるまい」(出典:小笠原敬承斎[1999]『美しいふるまい』株式会社淡交社.)から引用させてもらいます。
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かき箸 込み箸 探り箸 刺し箸 叩き箸 涙箸 握り箸 迷い箸 ねぶり箸 寄せ箸 諸起し |
茶碗に口をあてがい箸でかき込む。 箸でものを口に押し込む。 かき混ぜて中身を探る。 箸で食べ物を突き刺す。 箸で器をたたく。 箸先から汁を垂らす。 箸を手で握るように持つ。 どれを食べようかと迷う。 箸を口に入れてなめる。 箸で器を引き寄せる。 箸と椀を同時に取る。 |
写真のように、人差指と中指(人指側の側面)と親指で上側の箸を軽く掴みます。下の箸の頭に近い所は、親指と人差し指の付け根に置きます。そして、下の箸の中間くらい(これは掴む物によって変わります)を、薬指の先の部分(中指側の側面)に置きます。こうする事で、上の箸が、人差指と中指を動かす事で、自由に動きます。親指は箸が落ちないように支えている役目をしています。
次回は、和食の作法をもう少し勉強してみたいと思います。