サイトアイコン 髓心

『礼と節』を表現してみよう。 Part-25

スポンサーリンク
『礼節の作法』目次
1.礼の仕方  座礼  立礼
2.食事の仕方   和食  洋食
3. 座席の順序
4.ビジネスマナー  名刺  時間  文書  続文書   続続文書
5. 参列の仕方
. しつけ
7.和室での礼儀
8.洋室での礼儀
9.同席の仕方
10.気配り
11.立てるという事
  参列の仕方では鳥居をくぐったり、山門を通る時に作法がありました。今回の和室での作法も同じようなしきたりがあります。

 日本だけかどうか分かりませんが、結界という言い伝えがあります。仏教的な意味はさておき、すでに日本人の所作には宗教的な意味合いではない、結界があると思います。結界と言うとおおげさに聞こえるかも知れませんので、区切りとしましょう。

 和室の場合は、敷居があり、鴨居があります。これは、部屋と部屋の区切りで合ったり、廊下と部屋の区切りになります。敷居を跨ぐと一つの空間に入ります。その敷居を跨ぐと、そこは座敷という特別な空間があります。
 もちろん、家に入る場合にも敷居があり、日本語の言葉には、自らの非礼などによって疎遠になる事も「敷居が高い」と表現し、敷居が出てきます。
 日本家屋も随分変わって来て、敷居や鴨居がない家が増えてきています。
 ちなみに、私も3年程前からマンション暮らしですから、敷居も鴨居もない生活になりました。

 話しは少し違いますが、大相撲を観ていて違和感を感じるのは、一般的には勝負俵と呼ばれている土俵内と外を分けている小俵について、この俵の外側と内側により勝負が決まる事は勝負規則に書かれてあります。しかし、この俵を出入りする時に踏んではいけないとは書かれていません。
 なぜ書かれていないかを考えてみますと、先述した敷居の観念が日本人に自明の事なのかも知れません。自明という事は、常識ですからわざわざ規則にしなかったのかも知れません。

 ただ、しきたりや作法は時代によってどんどん変わっていきます。特に日本人自身も、日本固有の文化から離れて行っている時代ですから、守る必要のあるものは、規則として明確にしておく必要があるのかも知れません。
 特に外国人を受け入れた相撲界では、してほしくない作法はしっかり教えるか、規則にするべきと思います。「そんなの分かり切っている、当たり前じゃないか」、が通用しない時代になりました。規則のように堅苦しいものでなくても、作法心得や訓戒などで明文化しておけば良いでしょう。
 私が知らないだけで、相撲界にも空手、柔道、剣道界のようにそれぞれの会派や道場にある道場訓があるのかも知れません。

 一時期、アナウンサーや解説者が、俵を踏まない事を、常識のように言っていました。私も勝負俵を踏む力士が最近増えてきたのを嘆いている一人です。
 私が違和感を感じるのは、単純に山門の敷居を跨ぐことと同じと考えているからに過ぎません。土俵の内側は神聖なものと自分なりに理解していました。

 過去には、あの有名な双葉山や安藝ノ海も、ここ一番と言う時には、俵を踏んでいる写真を掲載している内藤堅志氏のブログ(https://ameblo.jp/69rss/entry-12005911174.html)がありました。 
 人は様々な考えを持ってその行為を正当化します。
 であれば、 什の掟にあるように、「ならぬことはならぬものです」と明文化しておいた方が良さそうです。俵を踏む行為が良いのか悪いのかを考えないといけない事自体、すでに文化が後退している象徴ではないのでしょうか。

 話しを元に戻しましょう。
 格式のある旅館や料亭などでは、和室が一般的です。その場合はやはり、和室に適した作法がありますので、その方法に従った方が『礼節』に適っていると言えます。

 和室に入る時には、襖か障子があります。
 この襖か障子の開け方にも作法があります。ドアーのように立って開けてはいけません。座って開けます。
 男性は中腰でも良いと言う場合もありますが、大差はないので、ここは正座をしましょう。
 正座をする場所は、襖や障子の真ん中(20cm程度)に座ります。ここでは便宜上以後襖とします。

声を掛けます「失礼します」。ノックの替わりです。
引手に近い方の手をかけて、少しだけ(手が入る位)引きます。これから入室しますと言う合図です。今回は右に開ける事が一般的ですので、右手をかけます。
ここから襖を開けますが、襖の引手はドアノブのように頑丈には出来ていません。ですから開けるのは襖の枠(堅縁)を指で引っ掛けて開けます。
引手側の枠の下側に、手を自然に下せる位置まで下げます。右に引く場合は右手で引手を開けて、右手で枠を中ごろまで引いて開けます。
手を替えて左手で押しながら開けますが、閉める時の為に全開させません。自分が楽に通れる程度開けます。
開いたからと言って立ち上がってはいけません。両手を軽く握って身体を支えてにじって(膝を畳に押しつけるように動く)入室します。
〇襖側に正座のまま
体の向きを変えて座ります。
〇左手で襖の枠の下(敷居から少し上)を持ち右に引きます(これは開ける時に右に引いた場合です)。
〇中ほどまで閉めたら、手を右手に替えて襖の枠の少し上(自分の臍の位置位)を持って手が挟まる前に引手に右手を掛けて最後まで閉めます。
 これも、バリエーションがありますので、とりあえずこの方法だけでも知っておけば『礼節』を欠く事はないと思います。

 座敷に入れば、座布団があります。普通は。で、座布団に座ります。と、これでは『礼儀』に反します。

 招かれた場合は、座布団を勧められてから座るようにしましょう。座敷に案内されるときに座布団を勧められた場合でも、招いた人が座敷に入ってこられたら、一旦座布団を外して横(下座側)に座ります。これは座布団の後ろでも構いません。
 座布団は、足の裏で踏むことは『礼』に欠ける作法です。座布団に上がる時も、下がる時も、襖を開けて入室する時のように、にじり上がり、にじり下がります。 その時の姿勢は 跪座(正座の途中の姿勢)の状態で図の「爪甲礼」のように手を軽く握ります。
 挨拶の時も座布団を外します。
 相手から足を崩すように言われてから崩すようにしましょう。女性の場合は足を横に出して崩しますが、崩す方向は下座にしてください。私などは、横に崩すとひっくり反ってしまいます。女性ならではの作法でしょう。男性は、胡坐(あぐら)になれば良いでしょう。
 
 正座と言うのは、慣れると意外と長く座っていられます。若い頃は板の上でも、石の上でも1時間位は平気でした。小学校ではよく机の上に、一人だけ正座さされていました。そういう分けでもないでしょうが、座り慣れていないと5分ともちません。
 私がやっている方法ですが、正座に慣れるために、湯船に正座をして入ります。それでも初めは辛いですが、だんだん慣れてきます。ようするに血液の循環が止まりしびれる分けですから、慣れると血液の循環が良くなる、事はありません。それでも座り方のコツみたいなものがあるのかも知れません。

 長く座っていて立ち上がれない程しびれてしまっては、それこそ『礼儀』知らずになってしまいます。ですから、立ち上がる前に『跪座』になる事も一つの方法です。また、途中でしびれたら、膝側に体重を移動させ、足の血流をよくする事も必要です。

 和室での作法として覚えておいて損はない事を挙げておきましょう。
 座布団の裏表は、中央が糸で結ばれていれば表です。座布団の前は縫い目のない方ですが、裏表とも糸で結ばれている物もあります。私の家に60年程前からある座布団がそうです。そして座布団カバーがかかっているものは、裏表が分かりません。そんなわけで、インターネットで書いてある基本だけ信じていると恥をかくことになりますので注意してください。
 もう一つ、畳の縁を踏まないで歩く事は、大体浸透していると思いますので書かなくても良いでしょう。 

スポンサーリンク
モバイルバージョンを終了