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文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。 |
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平安二段-13~27
今回は13.挙動目から始めます。
13.右足を軸として左へ廻り右三線上に左足を移すと同時に、右足後屈、左手刀受。
(注)手足共、すべて平安初段19.と同じ。
『受ける場所は中段』
14.左足そのまま、右足斜右前(右第三線と第二線の中間)に踏出すと同時に、後屈、右手刀受。
(注)平安初段20.と同じ。
15.左足原位置、右足を左第三線上に移すと同時に後屈、右手刀受。14.と同じ姿勢。
(注)平安初段21.と同じ。
16.右足原位置、左足を左斜前(右第三線斜後方)に踏出すと同時に後屈、左手刀受。
(注)平安初段22.に同じ。
『左足は第三線と第二線の中間、開始位置から見ると、左側に踏み出す。』
大きく半円を描く様に振り廻しながら、中段受け。
(注)右肩前に出し、左肩後ろに引く。右足の踵が浮き易いが、やはりシッカリ大地に喰込んでいなければいけない。胸を攻撃して来る相手の手を、我が右手首にて受ける。この種の受け方を内受けという。
『左足前居と言うのは、前足の爪先は開始位置の方向に向け、右足の爪先も同じ方向に向け、身体を捻じって右肩を出した立ち方、写真参照。』
『最近まで、髓心会でも、この受け方を内受けと言っていたが、身体の構造上受ける場所が腕の外側になるので、外受けと名称変更しました。』
18.左足原位置に立ったまま、左右の手もそのまま、右足思切り高く、右拳の前方を蹴上げる。
(注)右手にて相手の左手首を掴み、その肘関節を逆に蹴折る心持。なるべく高く蹴る練習をせよ。
『右手で相手の左手首を掴むのは、動作に表さずに内受けのまま蹴ります。』
19.蹴上げた右足をその場(第二線上)に下すと同時に、右拳を腰に引き(手甲下)、左拳にて中段突き。
20.足はそのまま、突き出した左拳を右前方へ半円を描くやうに廻しながら中段内受け、17.と左右反対の姿勢である。
(注)左肩前に出し右肩後へ引く事、及び後足の踵が浮かない事に注意。
『立ち方は前居』
『現状前屈立としていますが、前居とする方が、合理的だと思います。』
★前居という言葉は見当たりませんが、前に足を置くと言う意味で、前居で問題はないと思います。読み方は「ぜんきょ」で良いのではないでしょうか。ただし、前鋸筋と言う名前がありますので、適当な言葉が見つかれば名称を付けても良いとも思います。
21.右足原位置に立ったまま、左右の手もそのまま、左足を高く前方に蹴上げる。
(注)18.と左右反対になるだけで同じ。
22.蹴上げた左足をその場(第二線上)に下すと同時に、左拳を左腰に引きつつ、右拳にて中段突き。19.と左右反対。
23.左足そのまま、右足大きく一歩前進(第二線上)前屈の姿勢をとりながら、右手首にて中段受(手甲下)。すると共に左拳は右肘のあたりに軽く接する(この受け方を諸手受という)。
(注)中段受けの時も、手刀受けと同じく肘を少し曲げて、肘と脇腹との間隔は約20cm。
『諸手受の前の手の甲は前方斜め下になります。』
『諸手受けの事を、支え内受けと習い、現在は支え外受けと言う名称で呼んでいます。』
24.右足を軸として、左足のを左後(左第一線上)に移して左前屈の姿勢をとると同時に、右手腰に、左手下段受け。平安初段1.と同じ。
『立ち方は、レの字立あるいは基立』
『立ち方は前屈立』『上段掌底受けから上段揚げ受け』
『立ち方はレの字立、又は基立に戻し、上段掌底受けは、平安初段7.挙動目と同じ受け〔手首受け〕にする方が良いと思います。』
26.左足そのまま、右足を後方(第一線上)に移し右前屈の姿勢を取ると同時に、右手下段受け、左拳を腰に。平安初段3.と同じ。
27.右足そのまま、左足を右斜前(右第一線と第二線との中間)に踏み出し、両膝を伸ばして立つと同時に、下段に受けていた右手を開いて頭上にあげ、敵の腕を掴んで捻るように右腰に引きつけながら、左拳を頭上にあげる。左右の手首が十字形を描くのは前の通り。
(注)この時極まる瞬間に「エイ」と気合をかける。
以上でこの型を終了したので直れの号令と共に左足を引いてユックリと元の用意の姿勢に復する。
説明には二七挙動となっているが、実際は7.8.を一挙動として、二六挙動とする。
【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.