サイトアイコン 髓心

空手道における型について【6】
平安三段 1~10

スポンサーリンク

 

 文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。
 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。

 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。
〔ページを遡る煩わしさを避けるため、説明部分は、前回までと重複して記載しています。

 

平安三段へいあんさんだん-1~10

全部で二三挙動、約一分間で完了する。
号令・礼、その他の注意については、平安初段と同じ。演武線は丁字形である。
平安初段と同じく、八字立ち、両拳を自然に垂れて腿の前に置く。平安初段用意を参照。

1.右足原位置、左足を左第一線上に踏出すと同時に(右足後屈)右拳を左肩前より、左拳は下より、互いに引張る様に受ける。上体は前向、顔は左向。
(注)左側面より敵が左脇腹に突込んで来る拳を受ける気持。
『文章に記述はないが、左拳は中段内受けをする。』
『右後屈立ち左手中段外受け(旧称:内受け)をする。』

2.左足そのまま、右足を左足に引つけ閉足立になる(左方を向いて)と同時に、右手を左肘外から上に、左手を右肩前から下に、互に引張る様に受け替える。即ち右手は中段受け、左手は下段受け。
(注)この時右手は半曲げ、右肘は胸との距離約15cm、右拳は肩と水平になり、左右の手の開きはおよそ肩の幅位。1.の動作の時、左手で敵の右手を防いだが、敵が急に右手を引き、左手と左足とで同時に攻撃して来たのでこれを受け替えた心持である。

3.姿勢そのまま、右拳は左肘内側より下へ、左拳は右肘外側より上へ、互いに引っ張る様に、右手下段受け、左手中段受け。2.の手だけが左右反対になった姿勢である。
(注)相手が更に手足を引いて、同時に反対の手足で攻撃して来たので、我が左手で手を受け右手で足を打ち落とす心持。2.と3.は左側面より手足の来る時の受け
方であるが、又敵の手を受けた場合、我が不利な位置を有利にする場合もある。なお手足共に来る時は、実際には前屈の姿勢を取って低くなった方が有利である。

4.左足そのまま、右足を第一線右方へ踏出すと同時に(左足そのまま後屈)左拳を右肩前より腰に、右拳を左肘外より右横中段受け。顔は右拳前方に向け、体は前向。

5.右足そのまま、左足を右足に引き付け閉足立する(右方を向いて)と同時に、左手中段受け、右手下段受けすること、2.と左右反対である。

6.そのままの姿勢で、右手中段受けに、左手下段受けに受け替える。3.と左右正反対である。

7.右足そのまま、左足を第二線上に踏出すと同時に、(右足後屈)左手刀受け、右手(掌を上)胸前に。平安初段19.と同じ。
『この部分は印刷違いか、左手刀受けではなく、左拳内受け右拳を添える。と言う表現が正しいと思います。これは、「琉球拳法唐手」では、挿絵で表現されています。』
『髓心会では、支え外受け(旧称:支え内受け)と呼んでいますが、その他松濤館流の他会派では、諸手受け、双手受けの名称が知られています。』

8.左足そのまま、右足一歩第二線上に踏出すと同時に、左手刀を右脇下(掌を下)に、右手(四本貫手掌を左向)にて前方中段突き。
(注)右貫手は左手首の上より突出す。拇指は曲げて置く。我が胸を目がけて突込んで来る敵の右手首を左掌で押へて引寄せつゝ右四本貫手で水月を攻撃するのである。
『この部分の立ち方は明記されていませんが、「琉球拳法唐手」の挿絵では足の膝を伸ばした立ち方になっています。』
現在は前屈立で、写真右側で稽古しています。』
『相手の攻撃に対して、入り身で受けて攻撃していますので、原点に戻して、基立ち、あるいはレの字立が合理的と思います。』

9.突出した右貫手を逆に返し、身体を左に捻じると同時に、右足を軸とし、一回転して左足を更に第二線前方に踏出す(騎馬立)と同時に、左手槌(甲を上)を伸ば
して横打ちしながら、右拳腰に、顔を前方に向ける。
(注)腰を落として左手槌(拳の小指側で打つ事)は肩と水平に伸せ。わが四本貫手を敵が外して、直ちに手首を逆に捻じたので、我は身体を捻じって右手を逆に背へ廻す様にしながら、左へ回転して左手槌で敵の脇腹を打つ心持。

10.左足はそのまま、右足大きく第二線前方に一歩踏出す(前屈)と同時に、左拳を腰に、右拳中段突き。
(注)相手が不意を打たれて一歩退くのに乗じて、前進して水月に最後の一撃を加えた心持。この時に気合をかけよ。

 次回は、平安三段後半を掲載します。

【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.
・道原伸司(1976)『図解コーチ 空手道』成美堂出版.
・道原伸司(1979-1988)『空手道教室』株式会社大修館書店.
・田村正隆他(1977)『空手道入門』株式会社ナツメ社.
・杉山尚次郎(1984-1989)『松濤館廿五の形』東海堂.
・中山正敏(1989)『ベスト空手5 平安・鉄騎』株式会社ベースボール・マガジン社.
・内藤武宣(1974)『精説空手道秘要』株式会社東京書店.
・金澤弘和(1981)『空手 型全集(上)』株式会社池田書店.
・金澤弘和(1977)『新・空手道』株式会社日東書院.
・笠尾恭二・須井詔康(1975)『連続写真による空手道入門』株式会社ナツメ社.
スポンサーリンク
モバイルバージョンを終了