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文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。 |
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平安四段-14~27
今回は、平安四段の後半です。前半部分は、 平安四段前半を参照してください。
(注)諸手突の攻撃を我が手首にて左右に掻き分ける心持で、肘を少し曲げ、両拳の間隔は肩の幅位。
仮に掴まえられる事を前提とした場合であっても、掴まれかかった時でないと上手く行かないので、空手の場合は、この時に限らず、原則として、掴まえられる瞬間に外した方が良いと考えています。
しかし、現在競技化された空手で、両方の手で突く事や、掴まえて引き付けながら突くというのは、想像しにくいかも知れませんが、相手を掴んで引き寄せながら、突くと言うのは、非常に理論的ですし、実戦ではよく起こる事だと思います。また、空手の技術の中で、両方の手で攻撃する事は良くあるので、攻撃技、防御技共に、身に付けておくことが大切であると思います。
(注)この時右拳を一旦引いてから突かないよう、15.の姿勢に於ける右拳の位置から突出す。従って14.15.の時に肘が少し曲がっていなければいけない。
17.姿勢そのまま、左拳中段突すると同時に右拳腰に。
(注)16.17.は馴れたら敏速に続けて突く。これを連突きという。
18.左足そのまま、右足を右斜(左第三線と第二線の間)に踏出す(前屈)と同時に、両拳を交叉(右上)するや否や掻き分ける。14.と反対。
19.右足及び上体そのまま、左足で両拳の中間を高く蹴上げる。
20.左足を一歩前に下すと同時に、左拳中段突、右拳を腰に。
(注)左拳は19.の姿勢の位置から直ぐに突出すように。
21.姿勢そのまま、右拳中段突すると同時に、左拳腰に引く。この所も、足を下すと同時に左、右と連突きをすること、16.17.と同様。
(注)体は右を向き、顔は前(第二線上)を向く、左拳は前方中段受け、右拳は左拳の肘に接する。
『髓心会では、支え外受け(旧称:支え内受け)と呼んでいますが、その他松濤館流の他会派では、諸手受け、双手受けの名称が知られています。』
23.左足そのまま、右足を第二線上後方に向って進めると同時に、諸手中段受け。22.と反対の姿勢。
24.右足そのまま、左足を第二線上後方に向って進めると同時に、諸手中段受け22.と同じ。
(注)両手で敵の頭を掴み引下ろし、膝頭に顔面を打ちつける心持である。この所にて「エイ」と掛聲をかけよ。
『髓心会では、両手を握りながら引き下げる時に、手の甲が上になるように捻ります。』
27.左足そのまま、右足一歩前進(第二線上に左足後屈)すると同時に右手刀受け。26.と反対の姿勢。左足そのまま、右足を引いて八字立、用意の姿勢に
復する。
【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.
・道原伸司(1976)『図解コーチ 空手道』成美堂出版.
・道原伸司(1979-1988)『空手道教室』株式会社大修館書店.
・田村正隆他(1977)『空手道入門』株式会社ナツメ社.
・杉山尚次郎(1984-1989)『松濤館廿五の形』東海堂.
・中山正敏(1989)『ベスト空手5 平安・鉄騎』株式会社ベースボール・マガジン社.
・内藤武宣(1974)『精説空手道秘要』株式会社東京書店.
・金澤弘和(1981)『空手 型全集(上)』株式会社池田書店.
・金澤弘和(1977)『新・空手道』株式会社日東書院.
・笠尾恭二・須井詔康(1975)『連続写真による空手道入門』株式会社ナツメ社.