空手道における型について【20】
観空大 1~25

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 文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。
 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。

 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。
〔ページを遡る煩わしさを避けるため、説明部分は、前回までと重複して記載しています。

 

観空大かんくうだい-1~25

「空手道教範」では、観空となっていて、大はありません。現在は、小がありますので、大をつけて松濤館流の流れをくむ団体では、観空大と呼称しています。
今回は、観空大ですが、少し長いので、序盤・中盤・終盤と三つに分けて掲載します。今日はその序盤です。

旧称公相君
全部で六五挙動、約二分間で完了、演武線は土字形に属する。

(用意)開脚八字立、両肘を伸し、両手を金的の前に斜めに重ねる(四指を揃へて伸し、拇指は少し離して伸し、四指の先と、拇指の先とを右を上に重ねる)。手甲外向。あたかもも小笠原流の礼をする時の手の組方に似ている(1)参照。
『髓心会ではこの立ち方を外八字立と呼称しています。』

 一口メモ 

 ここに小笠原流の礼と言う言葉がでてきますが、小笠原流の礼には、「九品礼」といって九つの礼の仕方がありますが、手を重ねる礼の仕方はありません。私が子供の頃は、三つ指を付く事を小笠原流と一般的には言っていました。しかし、これも小笠原流の礼法にはありませんし、逆に礼に適っていないとされます。
 ただし、神道には、叉手さしゅと言って、手を前で組む事があります。この場合には、左手が上になり、両手を交差して下腹の前に置きます。しかしこれは礼法でなく敬意を表す作法だそうです。
 仏教の場合の叉手さしゅと言うのはまた違っていて、ちょうど抜塞大の用意の姿勢のように、左手の親指を中に入れて(抜塞大では親指は外)、右手の平で握り胸の前に置いて歩くという作法です。これもお辞儀とは違います。
 しかし、これも色々な作法があり、私が高校生の頃、高野山で稽古をしていたころ、朝6時には、お坊さんの集団が歩いて本堂に集まる姿をみました。その時には、右手を開いて胸の前に置き、その上に左手を重ねていたような記憶があります。
 公相君という名前から、観空と言う名称に変えた時に、哲学的な意味を付け加えられたものだと思いますが、私は、右手の上に左手を重ねるようにして、用意の姿勢をとります。

1.両手をそのまま静かに上げて(1)のように、額より少し前上の辺に止め、指の間より空を観る。

2.組んだ手を引き裂くような心持にて左右に30cmほど開き、又静かに左右へ円を描くように下して左掌(金的の前、掌を外に)の上へ右手(掌を左方に向け)を斜めに重ねる。
(注)用意から(2)までは、何も武器を持たないいう事を示すと共に、金的を護る心持も含んでいる。そして、この手の中に、陰陽は二にして一であり、一にして二であるという意味を含んでいる事を忘れてはならない。

3.左足を一歩左第一線上に開くと同時に(右足後屈)(3)のよう左手(開いたまま)上段受け(手首背面にて受ける)右貫手を胸前に構える。(右手は手刀受けの時よりは少し高く)顔は左向き。
『髓心会では、この受けの名称を、背手受と呼称しています。』

4.足の位置そのまま、左足後屈にすると同時に、右手(開いたまま)上段受け、左貫手胸前に構える。(3)の反対動作。顔は右向。

5.足の位置その、両膝伸して正面に向き直ると同時に、左手を右脇下に(甲を上)入れて袖を押へるようにしながら平に前方に打伸すと同時に、右手は(4)の右手の位置から、右方へ抱え込むように廻して拳を握りしめながら右腰にとる。(5)を参照。
(注)右手は相手の手を抱え込む心持、左手は前方からの攻撃を内受けする心持。
この時の立ち方は、髓心会で行われている外八字立より少し広めに開きます。

6.左手を握りしめながら左腰に引くと同時に、右拳中段突。姿勢を崩さないよう、特に右肩が前へ出ないように注意せよ。

7.両足位置そのまま右拳を円形を描くように廻して中段内受すると同時に右拳を出し、左肩を引く(左拳を腰にとったまま)。即ち上体を左へ捻じって半身になる。左足は自ら屈する。抜塞(11)を参照。 抜塞大前半

8.足の位置そのまま上体を正面に復すると同時に左拳中段突、右拳は腰に引く。この時両膝は伸ばす。
この時の立ち方は、髓心会で行われている外八字立より少し広めに開きます。

9.足の位置そのまま、上体を右に捻じりながら左拳を廻して中段内受けすると同時に、左肩前に出し右肩を引く(右拳腰にとったまま)。
(注)(7)(8)(9)の動作は抜塞の時と同じである。

10.左足を中央まで引き寄せながら、後方を振り向くと同時に、左腰に両拳を重ね(左甲下右甲前)、右足裏を左膝頭の上まで上げる。平安二段(7)に同じ。
平安二段前半

11.右裏拳にて後方の敵の上段を打ち、同時に右足刀にて金的を蹴放す。平安二段の(8)に同じ。
『ここでの写真は髓心会のものを載せました。「空手道教範」のものは、 平安二段前半を参照してください。』

12.右足を下すと同時に(右足後屈)第二線前方を振向き左手刀中段受け、右貫手を胸前に構える。
(注)これも平安二段と同じ。そして(11)(12)は敏速に続けて動作することを忘れないよう。

13.左足そのまま、右足一歩第二線上に前進する(左足後屈)と同時に、右手刀中段受け。

14.右足そのまま、左足一歩第二線上に前進する(右足後屈)と同時に、左手刀中段受け。

15.左足そのまま、右足一歩前進すると同時に、右四本貫手にて中段突(掌左向)。左手は右手の下を滑るように右脇下に(掌下向)つける。
(注)(10)より(15)までは平安二段と全く同じであるから参照せよ。
平安二段前半 平安二段後半

16.両足の位置そのまま、左廻りに第二線後方を振向くと同時に、右手甲を額に接するように大きく振り廻しながら前方(第二線後方)に打伸ばし(右手刀の極まる時は甲は下)、同時に左手(開いたまま手甲は額に向う)上段受け。
(注)(16)(17)の要領は平安四段(11)(12)と全く同じであるから、参照せよ。
平安四段前半

17.右足を飛して右手の先を蹴上げる。

18.右足を第二線上後方に下すと同時に第二線前方を振り向くと同時に、右手刀にて下段(左腿上の辺)に打込み左手刀を右肩前にとる(右手を下にして掌は共に上向)と直ぐに、左右の手を引張るように握りしめながら、右拳を右方(第二線後方)に上段内受け(手甲外向)、左拳を左方(第二線前方)に下段払い。この時右足後屈に顔は左方を向く。
(注)平安五段(21)と全く同じ。この時右拳より胴を通り左拳まで斜めに一線になる。 平安五段後半

19.両足そのままで再び右手刀を下段に打込み、左手刀を右肩前にとる(両掌とも上向)。
『平安五段の時にも書いていますが、左手刀は右頬を向きます。』

20.右足の位置そのまま、左足を少し右足に引きつけて立上がると同時に、左右の手を握りしめながら互に引張るような心持で、右拳を右腰に引き、左拳を左方(第二線前方)に水平に伸ばす(手甲上)。顔は左方を向く。
『髓心会では、基立で下段払の構えをしています。』
『原点通りに水平に腕を伸ばすか、どちらが合理的か、判断は出来ません。従って原点に戻さずに、下段払で構える事にします。ただ、原点に対する知識は持つようにしたいものです。』

21.足の位置そのまま第二線前方に向って(16)と同様、右手刀を額前より右方へ大きく廻して打伸し(掌上向)右手刀の極まる時、左手刀は額前に上段受け(掌前向)。

22.右足を飛ばして右手の先を蹴る。

23.右足を第二線前方に下すと同時に、(18)と同様後方を振り向くと同時に右手刀を左方下段に打込み左手刀を右肩前にとると直ぐに、左右の手を握りしめながら互に引張るように、右拳は右方(第二線前方)に上段受け、左拳は左方に下段払い。この時右足後屈にて、顔は左方(第二線後方)を向く。

24.両足その位置で、再び右手刀を下段に打込み、左手刀を右肩前にとる。

25.右足の位置そのまま、左足を右足に引きつけて立ち上ると同時に、左右の手を握りしめながら互に引張る心持で、右拳を右腰に引き、左拳を左方(第二線後方)に水平に伸ばす。(20)と同じ。

演武線ではイメージが湧きにくいと思いますので、実際の足跡をたどってみました。この足跡は1.~25.までの足跡です。
 次回は、観空大中盤を掲載します。

【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.
・杉山尚次郎(1984-1989)『松濤館廿五の形』東海堂.
・中山正敏(1979)『ベスト空手6 抜塞・観空』株式会社講談社インターナショナル.
・中山正敏(1989)『ベスト空手6 抜塞・観空』株式会社ベースボールマガジン社.
・内藤武宣(1974)『精説空手道秘要』株式会社東京書店.
・金澤弘和(1981)『空手 型全集(下)』株式会社池田書店.
・笠尾恭二・須井詔康(1975)『連続写真による空手道入門』株式会社ナツメ社.

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