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文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。 |
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岩鶴-1~20
旧称チントウ
全部で四十二挙動、約一分間にて完了する。
演武線は初段一字形に属するが、騎馬立の如く横の一でなく、縦の一である。
『この初段は騎馬立初段のことを示しています。』
1.右足を一歩後へ引くと共に(1)のように、右手を右脇下より左肩の前に振り上げる様に、左手の上に重ねて組み、側面上段受けの姿勢。
『一口メモの通り、この立ち方を騎馬立の変形とします。』
2.そのまま両手を右へ返して、右手首の上に左掌を横に置く、両手首が十字形を描く、平安五段(一〇)を参照。 平安五段前半
3.そのまま左手正面、右手腰に、互に引張る様に、左拳で突く気持。平安五段(一一)を参照。
『平安五段(一一)とは、このブログでは平安五段の11.に相当します。現代文として掲載しています。』
4.左拳を引付けると同時に、右拳で中段突。
5.左足を軸として左廻りに右手右足同時に後方へ一歩踏込み、後から臀部を蹴る足を打払う気持で下段受け。
『上記「解析」から、ここでは、高く膝をあげて踏み込むと解釈します。』
6.そのまま前方を振向いて左足前屈になり、指を伸したまま(右手上)突上げる様に手首を額前に交叉し、その下から相手の顔を注視する心持。
7.下体そのまま、両手を握りしめながら少し胸の前まで引下げる。
8.前方に向って右足、左足と続けて蹴上げ、両足が地につくと同時に左足前屈の姿勢を取つて、両手握つたまま右手を上に交叉して、左膝頭より約15cmの処に下段受けの姿勢をとる。
9.右足を軸として右廻りに左足を後方に移動すると共に左足前屈となり、両手組んだまま膝頭の上に下段挟み受けをする。〔8.〕の反対。
『髓心会では、下段交叉受と呼称しています。』
★この回り方には、松濤館流系統では、その伝わり方なのか、二つに分かれています。左回りに回る会派や団体と、右回りに回る所があります。
10.そのまま前方振向き左足後屈となり、両拳握ったまま〔2.〕のように右拳を前方下段受け(甲を上)左拳を腰前に構える。右手は右足と並行する様に伸す。
『ここでは、右に身体を回して振り返り左後屈立になります。』
11.左足一歩前方踏出し、右足後屈となると同時に、左手刀にて前方下段受け(掌は下)、右手刀は左腰前に(掌を上)構える。
(注)このような場合は常に後ろの手の上から越して受けることを忘れてはならない。
『髓心会では右後屈立、左下段手刀受と呼称します。』
★右手の構えにも名称があると分かりやすいかも知れません。
12.右足一歩前に踏出し右足前屈となると同時に、右手を上に一旦交叉してから(12)のように掻分けの姿勢をとる。
『この場合の前方は、写真から判断すると、身体に対して前方という意味です。』
14.両手を下すと同時に身を起し左(後方)を見る。
(注)このように両手を下すときは、単に元に復すると思わず、下に掻分ける気持で下せ。
『髓心会では、両足を伸ばして立ち上がりながら、両手を一旦身体の前で交叉して体側に下ろし掻き分けます。立ち上がると同時に着眼を左に移します。』
15.そのまま、右足後屈となり、指を伸したまま、左手は右肩前より、右手は左下斜めより、互に引張るように両拳を握りしめながら右拳にて右上段を、左拳にて左下段を受ける。平安五段(四)に同じ。
『ここで「平安五段(四)」とありますが、平安五段(六)と同じで、印刷ミスだと思います。このブログでは〔21.〕と同じです。』 平安五段後半
17.右足を軸として、左廻りに左足を演武線後方に踏出し右足後屈となると同時に、左手を右肩前より、右手を左下斜より、互に交叉して引張るようにして、右拳上段受、左拳下段受け。
『「(五)の参照。」と言う言葉がありますが、「空手道教範」における岩鶴の写真番号が(五)になります。このブログでは、(18)(18′)の写真に当たります。』
19.左足と同一線上に右足を引き寄せ腰を起しながら騎馬立となつて中段掻分けの姿勢をとる。但し両手を一旦交叉して(右を上)その反動で掻分けるように。
20.腰を起しながら、両手を下に掻分ける様な気持ちで、おもむろに下ろし、足も伸ばす。
次回は、岩鶴後半を掲載します。
【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.
・杉山尚次郎(1984-1989)『松濤館廿五の形』東海堂.
・中山正敏(1979)『ベスト空手8 岩鶴・慈恩』株式会社講談社インターナショナル.
・中山正敏(1989)『ベスト空手7 岩鶴・慈恩』株式会社ベースボールマガジン社.
・内藤武宣(1974)『精説空手道秘要』株式会社東京書店.
・金澤弘和(1981)『空手 型全集(下)』株式会社池田書店.
・笠尾恭二・須井詔康(1975)『連続写真による空手道入門』株式会社ナツメ社.