お習字から書道へ Section 55

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 平仮名は、日本で開発されたものですし、すでに1300年ほども経っている事でしょう。

 用筆も私は統一して欲しいのですが、少なくとも標準の形は統一してもらいたいと思っています。

 ここでは、Section 2で「あいうえお」から始めて50音を鷹見芝香たかみしこう 先生の文字を手本に紹介しましたが、これも東京書道教育会でも、他の書籍でも形が全く違うものを示して、正しい書き方としています。

 何度か、瀉瓶と言う習い事をする上で大切な事柄を記述しましたが、ある程度知識が付いてきますと、釈然としない気持ちが湧いてきます。

 確かに、断定する事は、指導する上で大切な要素ですが、大人が習う場合は、少なくともこの団体では、これを「正しいとしています。」程度の説明が必要だと思っています。

 近頃は、文句ばっかり書いていますが、精神的にも人間的にも良くありません。それはさておいて、今朝も文字を選んで書く事にします。

 今まで通り『楷行草筆順・字体字典』(江守賢治著)から、上手く書けそうな文字と、難しそうだな、と思う文字の二種類の文字を選ぶようにしました。

 前回は、「りっとう」「さんづくり」を取り上げました。
 文字は、「刊」「列」「別」、「形」「彩」「彰」を楷書で、「列」「別」「形」「彩」「彰」を書写体で書きました。
 今回は、「また」「るまた」を取り上げました。
 文字は、「及」「友」「取」、「段」「殿」「毀」を楷書で、「友」「取」「段」「毀」を書写体で書きました。
 

 「及」、意外と上手く書けました。この文字は難しいと思います。

 ポイントは二つの左払いの方向の工夫と、右払いの交点の位置だと思っています。
 

 「友」は、もう少し上手に書けると思っていましたが、縦長になり過ぎました。

 書写体の方がバランスよく書けたようです。

 


 「取」は、普通の文章でも良く書く文字ですから、上手に書きたいですね。しかし、バランスを取るのが難しい文字です。

 この楷書の文字は、ペナントの三角形をイメージして書いています。

 他の手本は分かりませんが、江守賢治先生の書かれている文字には、何か法則が見え隠れします。

 

 
 「段」は、こんな感じで良いのでは、と思って書きました。まずまずだと思います。

 しかし、書写体の方は、まずまずではありません。もう少し格好良く書きたいものです。

 

 
 「殿」の旁の上の部分がなんだか上手く書けませんでした。

 書写体の方も、線が一定せず、両方ともいまいちの文字です。

 

 
 「毀」の旁の上の部分は、「殿」の部分との中間位の縦の長さが良いのではと思います。この文字は額が広い頭のようになってしまいました。

 書写体の方は、まとまりよく書けたのではないかと思っています。

 

   

 一口メモ 

 「書道技法講座〈楷書〉九成宮醴泉銘」(余雪曼著)が、「結体三十六法」と「結構八十四法」を基に九成宮碑文の特殊な結構を参酌して四十四に書き表したものを紹介します。
 今回は、その7回目です。
 【ここで書いてある文字は、九成宮醴泉銘を私が臨書したものです。赤い線は。『書道技法講座〈楷書〉九成宮醴泉銘』を参考に入れています。】
  
(15) 左中右相等法
 
 ただ左右と中心になる部分を均等に書けば良いのではなく、中心になる字が幹になるようにしっかりと書き、それを左右も部分が支えるようにと説明されています。

 

 

(16) 左中右不等法
 
 この場合は、右側を幹にして強く書く、書き方としては、最後の部分になるので、左と中の部分に負けないように強く書くようにします。

 名前の通り、全ての部分が違う巾や縦の長さである事も注意すべきポイントです。


【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.
・余雪曼(1968-1990)『書道技法講座〈楷書〉九成宮醴泉銘』株式会社二玄社.
・續木湖山(1970)『毛筆書写事典』教育出版株式会社.

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