文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【159】

 今日の文字は『たく』です。洗濯の濯です。すすぐとも言います。書体は行書です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第百五十八段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る

 

『年末荒天 帰省や旅行に影響か』
(国内 2018/12/26 16:37)

「冬将軍がいよいよ活動を開始します。30日頃にかけて、北日本から東日本の日本海側を中心に、天気は大荒れになるおそれ。交通機関の乱れなどに警戒して下さい。」

 冬将軍 がやって来そうです。28日には全国的に寒くなるようで、関東の一部では29日、30日は氷点下、昼間も10度以下、真冬の寒さになりそうと言う事ですが、12月ですからようやく冬らしいと言った方が良いのかも知れません。

 今年は、このまま冬が来ないのかと思うほど、暑かったのが夢のように、やっぱり寒くなりました。 
 
 さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第百五十八段 〔原文〕

 「杯の底を捨つることは、いかゞ心得たる」と、ある人の尋ねさせ給ひしに、「凝當ぎょうたうと申し侍れば、底に凝りたるを捨つるにや候らん」と申し侍りしかば、「さにはあらず。魚道なり。流れを殘して、口のつきたる所をすゝぐなり」とぞ仰せられし。

 

『現代文』

『「盃の底に残った酒を捨てるのは、なぜと思うか」と、ある人がお尋ねになったので、「凝当ぎょうどうと申しますのは、底にたまった酒を捨てることですか」と申しましたところ、「そうではない。魚道ぎょどうである。盃に酒をわずかに残して、口をつけた所をすすぐのである」と仰せられた。』

 

 

『濯』

 【凝当・凝濁】『杯の底に残った酒。また、杯を他の人にすすめるとき、口を当てた部分を飲み残した酒ですすぎ流すこと。「魚道(ぎよだう)」とも。』
(出典:学研全訳古語辞典 学研.)

 とありますから、聞かれた人、ここでは兼好法師と思われますが、その答えが違っているので、聞いた人が正しい意味をいったのでしょう。しかし、当時はどちらの漢字をこの言葉に当てていたのでしょう。

 自分が飲んだ器で、次に違う人が飲む場合には、昔から作法と言うか、それなりに理由があったのだと思います。

 茶道の場合も、飲んだ後に指で口をつけた後を拭きます。

 神社にお参りする時も、口をすすぎます。この事を手水を使うといいます。柄杓に口を付けるのではなく、手をすすいだ後、その手に水を入れて、手の水で口をすすぎます。

 映画などでよく、盃の酒を飲んだ後、御返杯などと言って、相手に盃を渡す前に、盃を振ったり、水で少しゆすいだりする場面を見ます。

 衛生上の事を考えての事だったかも知れません。現在のように清潔でもなかったようですし、伝染病もあったと思われます。

 これも、世界に目を向けると色々な方法がありますから、「郷に入っては郷に従え」と言いますから、その地域の作法に則った方が無難だと思います。

 さて、ここで兼好法師の答え、凝当ぎょうどうと言う意味が間違えていなくて、学研全訳古語辞典にあるように魚道ぎょどうとも言うのであれば、この魚道ぎょどうであると言った人は、知ったかぶりをした事になります。

 であれば、兼好法師が言わなくても、どこかで二つの意味がある事を知る事になり、恥ずかしい思いをすると思います。

 現在でも、自分の知識、聞いた事だけが正しいと思う事は、なるべくなら避けたいと思います。

 それでも、合点のいく事を知識として知ったら、正しい事だと思ってしまいます。早合点をして恥をかかないよう、注意したいと思います。