文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【243】

 今日の文字は『順逆じゅんぎゃく』です。書体は行書です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第二百四十二段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る 順逆

 

☆『地上300メートル「満開」お花見 まもなく本物も登場』
(朝日新聞デジタル 2019/03/24 19:08)

 「日本一高いビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の天空庭園に、お花見スペースが登場した。高さ約300メートルからの展望とサクラを同時に楽しめる。

 本物のサクラの木の枝に造花をつけ、満開に見えるよう演出。今月末ごろからは本物のサクラも加わり、「超満開」になるというのがポイントだ。

 24日現在で、大阪でのサクラの開花は発表されていない。今なら日本一の「高さ」と、一足お先に観賞できる「早さ」も兼ね備えている。4月14日まで。」

 東京は3月21日に開花宣言したようです。大阪はもう少しかかりそうです。桜前線も、西から順に東へと昇っていくと思っていましたが、最近は、順序が違うようですね。

 私が毎朝行く公園でも、まだ蕾のままです。今日も鶯と思われる鳥が、梅ではなく、桜の木に数羽止まっていましたが、鳴き声は聞いていません。もしかしたら、メジロかも知れません。
 
 
 さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第二百四十二段 〔原文〕

 とこしなへに、違順につかはるゝ事は、ひとえに苦樂の爲なり。樂といふは好み愛する事なり。これを求むる事 む時無し。樂欲ごうよくするところ、一つには名なり。名に二種あり。行跡と才藝とのほまれなり。二つには色欲、三つにはあじわいなり。萬の願ひ、この三つにはかず。これ顛倒てんどうの相より起りて、若干そこばくの煩ひあり。求めざらむには如かじ。

 

『現代文』

『永遠に不満と満足に支配されるのは、ただただ苦楽の為である。楽と云うのは好み愛する事である。これを求める事は、止む事はない。欲望が起こるのは、一つは名誉である。名誉には二種類ある。行ってきた事柄と、才能と技芸の称賛を受ける事である。二つ目は、色欲。そして三つ目が食欲である。あらゆる願望は、この三つに勝るものはない。これは、真理とは反対のものを正しいと思い込んでしまう考えであり、多くの心配事がある。求めない事に越したことはない。』

 

 

『順逆』

 『違順』と言う言葉は、聞きなれないので、『順逆』にしました。『順境と逆境』の事です。

 順風満帆と云う言葉のように、人生が上手く行く時と、何をしても苦境に立たされる事があると思います。

 顛倒てんどうの相』と云う言葉で私が知っているのは、「般若心経」の中の一節に『遠離一切>顛倒夢想おんりいっさいてんどうむそう』と云うのがあります。意味は、『一切の真実に背くような夢想から離れ』と云う事だと思います。要するに真実をしっかり受け止めるという事でしょう。

 しかし、同じ般若心経では、『五蘊皆空』と云う一節もあります。五蘊と云うのは、しき=肉体・受=感覚・想=想像・ぎょう=心の作用・識=意識ですから、人間を人間として成り立たせている要素です。

 という事は、『五蘊』皆空になれば、人間として成り立たない事になります。確かに、お釈迦様の云う通り、煩悩を無くそうとすれば、ここで云われているように、欲望を持たない方が良いと思いますし、その根源である『五蘊』を失くせば良いのですが、人間ですから、そういう訳には行かないでしょう。

 確かに『解脱』する事が出来て、悟りを開く事ができれば、生きながらになるのですから、そんな能力を持つ事も出来るのでしょう。

 そうすれば、ミクロからマクロの世界まで見えてしまうのかも知れません。お釈迦様って云うのは、そういう存在だったのでしょう。

 一つ目の名誉は兎も角、二つ目の色欲、そして三つ目の食欲を失くせば人間の存在は無くなります。私は、この欲望も、ほどほどが良いと思っています

 何事も『過ぎたるは猶及ばざるが如し』、そして『足るを知る』事で、人間は人生を豊かに、幸せな一生を送る事が出来るのではないでしょうか。