文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【93】

 今日の文字は『唯一ゆいいつ』です。唯一無二の唯一です。書体は行書です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第九十二段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る 唯一

 

★『また変わる高血圧基準「何を信じればいいの…」と落胆の声も』
(NEWSポストセブン2018/10/21 16:00)
 前文略—————
 2014年4月、同学会は約150万人のデータをもとに、当時の基準より大幅に緩い「147/94」という新たな健康基準を発表し、厳しくなる一方だった基準値に一石を投じた。診断基準についての研究を行なう東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所所長がいう。
 ————-中略————
「そもそも血圧には個人差があり、一律に130以下を目標にすべきではありません。本来は数値が高くても医師が3か月ほど生活指導をして、それでも改善が見られない場合に薬を処方すべきですが、実際には経過観察を待たずに降圧剤を処方する医師も少なくないようです。患者の側も『先生に処方してもらったから』と安易に薬を受け入れるケースが見受けられます。安易に薬を頼らないことが重要です」(岡田氏)※週刊ポスト2018年10月26日号

 現在も血圧は130を基準に医者は判断しているようです。2年ほど前に近くの医院で、妻が高血圧の薬を処方され、調べてみると横紋筋融解症だと記憶していますが、副作用があると言う事でした。

 その医師に確認する為に聞いたのですが、その時の返答は、「患者の自己責任で飲んでください」でした。

 普通は、それを勧めた医師の責任だと思うのですが、説明もせずに、いきなりそう言われたので、それからその医院には行かない事にしました。

 お医者さんは、友人や知り合いにも沢山いましたが、最近はこんな医者もいる事を知っておいた方が良さそうです。
 
 さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第九十二段 〔原文〕

 ある人、弓射る事を習ふに、諸矢をたばさみて的に向ふ。師の云はく、「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度たゞ得失なく、この一矢に定むべしと思へ」と言ふ。わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろそかにせんと思はんや。懈怠けだいの心、みづから知らずといへども、師これを知る。このいましめ、萬事にわたるべし。

 道を學する人、夕には朝あらむことを思ひ、朝には夕あらむことを思ひて、重ねてねんごろに修せむことをす。いわんや一刹那のうちにおいて、懈怠けだいの心あることを知らんや。何ぞ、たゞ今の一念において、直ちにすることの甚だ難き。

 

 

『現代文』

 まず、我流で現代文にしてみましょう。

 『ある人、弓を射るのを習っている時、二本の矢を持って的に向かった。
 師が「初心者は、二つの矢を持ってはならない。もう一矢あると思い、初めの矢に真剣になれない。いつも、ただ一心に、この一矢で仕留めようと思いなさい」

 僅か二本の矢を、師の前で一本でもいい加減にするだろうか。自分では気付かない内に、気が緩む場合もある。師はこの事を知っている。この事はその他の事にも通じる。

 道を学ぶ人で、夕べには明日の朝がある、朝には夕べが来ると思い、今日の分も明日すれば良いと予定をたてる事がある。言うに及ばず、一瞬の内に怠け心が起こる事を知らない。

 どうして、今やる気を起こして、直ぐにやる事が出来ないのか、非常にこれが難しい。』

 

 

『唯一』

 私は、空手の稽古では、常にこの事は伝えているつもりでいます。空手の場合は、弓の練習のように次の一手がありません。

 弓道の場合でも実践では、一本の矢で仕留めないと、次には間合いを詰められて、窮地に追い込まれるかも知れません。

〔ワンチャンス〕

 空手の場合は、一撃で相手を制する事が出来ない場合は、間合いが相手の間合いに入りますので、一撃目のチャンスを逃すだけではなく、次は自分が攻撃される間合いになってしまいます。

 ですから、私は、基本組手と言う練習が一番大切だと思っています。この練習の場合は、攻撃する側が一度しか攻撃する事が出来ません。

 しかも、相手にどの場所を攻撃するかを伝えてから、間を見て攻撃を仕掛けます。ですから、ここで学んで貰いたいのは、この一撃に、極端に言えば命を懸ける覚悟が出来るかどうかにかかっています。これを練習によって身に付けるのです。

 この意味が分からないで、千回練習しても、万回稽古しても見に付くものではありません。一回勝負です。しかも瞬時に覚悟しないとならないのです。

 兼好法師は、『このいましめ、萬事にわたるべし。』と言っています。確かに、戒めとしては、その通りだと思いますが、場面場面によって、気持ちの持ち方、臨み方が違うと思っています。

 空手の場合や、陸上のスタートや水泳のスタートなどは同じだと思います。要するに気持ちを追い詰める事ができます。一回きりしかチャンスがないと思いやすい状況が目の前にあります。

 簡単ではありませんが、その間(チャンス)を捉まえさえすれば、可能な事です。

〔チャレンジ〕

 では、チャンスが何度もある場合はどうでしょう。ここにあるように『懈怠けだいの心』ではなくても、懸命になりにくいのが、人間の心情だとおもいます。

 これを懈怠けだいの心と言うことも出来ますが、単なる怠け心から来るものではなく、躊躇する気持ちが働きます。このチャンスを逃しても、もう一度チャレンジ出来ると思うのです。

 例えば、大きな縄跳びが回っている時に、自分だけが入る場合は、格好良く成功させたいと思います。しかし、人に迷惑を掛けないので、躊躇してしまう事があります。

 ところが、次の人も入るとなると、真剣度が増します。次の人に迷惑がかかり、その原因が自分になる事を避けたいと思います。

 このように、今置かれている立場によって、人の心は変わるのです。

 ここでは、今書いたような状況と、次に書く内容が同じ土俵の上で書かれてありますので、戒めなど、文字に書いた座右の銘としては、大切な事ですが、ニュアンスが違うと思っています。

 ですから、前述した事が出来たとしても、次に書く事が出来ない場合もあり、またその逆もあるのです。

〔行動〕

 『一瞬の内に怠け心が起こる事を知らない。』と解釈しましたが、原文では『何ぞ、たゞ今の一念において、直ちにすることの甚だ難き。』と書かれています。

 また、明日やればいいか、とか、夜に時間を作ろう、とか言う場合について書かれていますが、このような場合は、確かに一瞬の内に怠け心が働く場合もありますが、もっと先送りしたい欲求が起こります。

 それは、期日に余裕がある場合、例えば提出期日のある場合や、納品日が決まっている場合などです。

 こんな場合は、自分の仕事の能力により、先送りしても良いと判断します。しかし、状況は刻一刻と変わるのが世の中です。提出日が前倒しされる事も、納品日が変更される事もあります。でなくても、新しい仕事や要求が増える事もあるのが社会です。

 怠ける気が無くても、ちょっと後回しにすると、つけが回って来るのが現実です。

 そうは思うのですが、私も先送りのくちです。学生の頃から計画だけは、しっかり立てる性格だと思うのですが、計画を守ったためしがありません。ですから、いつも一夜漬けで済ませていました。

 その時は、次は、と思うのですが、これも実行した記憶がありません。

〔ファジー〕

 ですから、最近は、守らなくても良いカリキュラムを立てます。

 昔の計画やカリキュラムは時間を設定していましたが、今作るカリキュラムの場合は、始める時間は決めないようにしています。とにかく怠惰な人間ですから、決めた時間を一分でも過ぎると、もう計画通りにならなかったから、とやる気を無くしてしまいます。

 もう5,6 年になりますか、会社を辞めてからのカリキュラムは、起きて何も考えないようにして運動できる服に着替えをして、直ぐに外に出て歩き出すようにしていました。

 当時は、約2時間ほど稽古を兼ねて練習していました。1年程は大阪城に自転車で行っていましたが、お習字を始めてからは、家の中で体を動かすようにしています。

 長く続ける事が大切だと思っていますが、なかなか続けることは難しいと思います。

 今は、すごくいい加減にカリキュラムを実施していますので、常にカリキュラム通りではなく、気が向いたらカリキュラムよりも沢山の種目にもなりますし、気が向かなければ、種目を省く事は、日常茶飯事です。

 それでも、欠かさず続ける事を心がけています。やはり習慣にしてしまうのが手っ取り早い方法かも分かりません。

 私が思うのは、自分が怠惰な性格である事を認めてから、その正確に合わせて計画する事が大切ではないかと思っています。

 吉田兼好が最後に『何ぞ、たゞ今の一念において、直ちにすることの甚だ難き。』と言っていますが、本当に難しいと思います。

〔錬気〕

 なぜ難しいかと言いますと、気持ちが向くには、理屈ではないものが影響していると思うのです。例えば、やる気、とか、惹かれる、というような理由を見つけられない原因が、自分を動かしてくれます。

 その為には、まず健康である必要があります。心は身体の健康に大きく左右されます。ですから、いわゆる体を動かす事のできる身体にする事と、もう一つは、気を練ることです。

 気を練るのは、根拠はありませんが、座禅や、立禅など、昔から行われていて、 私も気が落ちていると思う時は、手の平を旨の前で20cm程間隔を開けて、気を通します。身体も暖かくなりますし、意外と、元気になりますよ。

呼吸と気の関係を探るに、気の練り方を書いています。