今日のメニュー
1 | 動きの主体とは何か? |
1) 柔軟体操? | |
2) ストレッチ? | |
3) 「しなやか」な腰の柔軟と強化 | |
2 | 「しなやか」な「腰」の作り方 |
【動きの主体とは何か】
日本では、技術を学ぶときに必ずと言って良いほど「腰」を入れて、「腰」が入っていない、などと叱責されます。
もちろん、月へん(臓器を表す)に要(かなめ)と書きますから、体の中で大事な所である事は想像できます。
しかし、長い年月稽古している人たちでも、腰を活かして動ける人が少ないのが実情です。
簡単に言ってしまうと、腰が入っていない状態というのは、体のバランスが崩れているからに他なりません。
骨格筋と呼ばれている筋肉がないと、途端に人は立っている事も、動作を起こすことも、できなくなります。
その筋肉がうまくバランスを取っているから色んな動きが出来るのです。
筋肉というのは器用にアンバランスをバランスしてくれます。
全く、気が付かないうちにです。
ですから、人に「腰が入っていない!」と言われてもピンとこないのです。
なぜ、腰が動きの主体なのかを生物学的に解説する知識もありませんが、長い間空手道に勤しみ、多くの人たちを指導してきた経験から、動きの主体が腰であることを確信しているのです。
次にその「腰」を如何に正常に整備していくかを示していきましょう。
【柔軟体操】
当然、動きに応じて骨格筋は、伸びたり縮んだりします。この筋肉を、伸ばせる限界まで可動範囲を広げる事は、ケガの防止や技術の幅を広げる上で、大変重要です。
その手立てを柔軟体操と呼んできました。
昔は開脚をした人の前で一人が手を引っ張り、そして後ろから背中を押す。と言うのが定番でした。
それから約半世紀が過ぎ、今では柔軟性を高める運動というと、ストレッチが取って変わってきました。
【ストレッチ】
なぜ、ストレッチが柔軟体操を凌駕したのでしょう。
ストレッチには、スタティックストレッチ・バリスティックストレッチ・ダイナミックストレッチ・PNFストレッチと言った種類があります。
すこし、その違いについて簡単に解説したいと思います。
- スタティックストレッチ
静的ストレッチと言われています。反動は使いません。心地よい痛さを感じながら筋肉を弛緩して30秒~40秒間、筋肉を伸ばした状態を保ちます。
特徴は筋肉の弛緩です。 - バリスティックストレッチ
動的ストレッチのひとつで反動をつけて行うストレッチです。
筋肉を急激に収縮するのが特徴です。 - ダイナミックストレッチ
バリスティックストレッチとの違いは反動を使わないという点です。
特徴は*拮抗筋の収縮です。 - PNFストレッチ
*伸張反射を利用して柔軟性を高めます。
筋肉の防御本能を活かすのが特徴です。
どうもストレッチの中に、昔から行われてきた柔軟体操が含まれてしまった事が、凌駕された理由だと言えるのではないのでしょうか。
【「しなやか」な腰の柔軟と強化】
柔軟性、いわゆる骨格筋の可動範囲が広い事。この柔軟性に弾力を持たせる事が「しなやか」な柔軟性だと言えます。
私が推奨するストレッチは、ダイナミックストレッチとPNFストレッチの特徴を使ったストレッチと言えると思います。
【「しなやか」な「腰」の作り方】
上の動画は実際に柔軟ストレッチ(仮名)を、約20分間したものを、
早送りして2分程にしています。
バランスボールでも良いですが、バランスボールに乗ると思わぬ反発が負担になる事もあります。
私は動画のような台の上に乗って(高さは自分の柔らかさを考慮)、体が温まるまで準備運動のつもりで行います。
ある程度、体が動くようになってから、台を外します。
動画の順序を書いておきましょう。
- 片足から少し柔軟ストレッチをします。
- 左右の足を開きます。
- 合蹠(<がっせき>と読みます:足の裏を合わせる事です)
- 台の横に左右の足を移します
- そのまま片足づつ膝を落とします
- 足を揃えて、前屈
- 左右の足を開いて開脚
- 台を使ったまま前後に足を開きます
- 左右の足を開いて開脚
- 台から降りて、正座をします。
- 合蹠をします
- 片方の足を胸の下にたたみ、片方の足を後ろに引きます
- 合蹠をします
- 左右の足を開いて開脚
- 合蹠をします
- 片方の足を胸の下にたたみ、片方の足を後ろに引きます
- 合蹠をします
- 前に足を伸ばして前屈をします
- 左右の足を開いて開脚(この時、股関節から膝にかけて手のひらで気を送ります)
- 痛みが絶対に出ないように前に倒していきます。
- 合蹠をします
- 次は柔らかくなった腰・股関節を動かします。
- ここでは、左右の手の向いている方向に空気を押し出します
- 次に片方の手で横に、片方の手で下に空気を押し出します
◎動作はゆっくり
◎静止時間は5秒以下
◎動作・静止の間は*主導筋と*拮抗筋を少し抵抗させる。
◆空気を感じるために、胸の前で手のひらを近づけてみましょう。すこしムズムズする感じがつかめたら、その感じで空気を押してみましょう。
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*言葉の説明
*主導筋と拮抗筋
骨格筋と呼ばれる筋肉は、一方の骨ともう一方の骨を筋肉で繋いでいます。
肘を曲げた場合には上腕二頭筋が主動筋として収縮し、その対である上腕三頭筋が拮抗筋として弛緩します。
肘を伸ばす場合には、逆に、上腕三頭筋が主動筋として収縮し上腕二頭筋が拮抗筋として弛緩します。
こういう関係にある筋肉の事を主導筋と拮抗筋と呼び一対になっています。
*伸張反射
筋が急に引き伸ばされると脊髄から信号が送られ、無意識に反応して、その筋を急速に収縮させることを言います。