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文章の青字で記述したものは、現在、日本空手道髓心会で行っている方法です。しかし、これも全日本空手道連盟の指定の方法がありますので、これに従って練習しているのが実情です。これについては、記述していません。 なお、緑字で記述したものは、原点に戻した方が合理的と思われるところです。 昭和10年当時まだ立ち方、受け方、突き方の名称が定まっていなかったと思われる記述があります。この場合も現在の方法として、青字で書く事にします。現代文にしても意味が分かりにくい部分については、赤字で追記するようにしています。同じく、写真(『空手道教範』にある)を参照の部分については、赤字文章で分かるように追記しています。『空手道教範』に掲載の写真は著作権の関係もあると思いますので、載せていません。 |
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観空大-46~65
「空手道教範」では、観空となっていて、大はありません。現在は、小がありますので、大をつけて松濤館流の流れをくむ団体では、観空大と呼称しています。
今回は、観空大ですが、少し長いので、序盤・中盤・終盤と三つに分けて掲載します。今日はその終盤です。
序盤は、 観空大序盤を参照。
中盤は、 観空大中盤を参照。
『現在はこの受け方の名称を、外受けと呼称しています。』
47.足そのまま、左拳を引くと同時に右方中段突。
48.足の位置そのまま、上体を右へ捻じって(右足前屈)右拳で右方中段内受け、左拳腰に引く。
49.下体そのまま、右拳を引くと同時に左拳中段突。
50.下体そのまま、左拳を引くと同時に右拳中段突。
(注)(49)(50)は連突きをする。
52.左足で立ったまま、第二線後方に向って右裏拳にて上段を打ち、同時に右足刀にて下段を蹴放す。
『髓心会では、中段又は、上段の横蹴込をしています。私は相手の腕の付け根を目標にしています。』
★横蹴りは、松濤館流の特徴となっていますので、原点には戻さずに、知識だけは、持っていた方が良いでしょう。
54.第二線上に右足一歩前進すると同時に、右四本貫手にて中段突(掌左向)左手刀は右腕下を滑るように、右脇下にとる(掌下向)。
56.左方(第二線上前方)へ(寄足にて進むと同時に、左拳を大きく廻して裏拳にて上段を打つ。姿勢 崩さないよう。
『騎馬立ちのままです。』
『髓心会では、左の拳は右肩に引き寄せ、寄り足で歩を進め、肩の高さに鉄槌を打つようにしています。』
『この動作は原点に戻した方が良いと思っています。理由は裏拳を鉄槌に変える根拠が曖昧だと思うからです。』
★髓心会では、鉄槌と呼称していますが、全日本空手道連盟では、拳槌と呼称しています。ちなみに、「空手道教範」の第二篇空手の組織第一章拳の握り方には、手槌と呼称されています。ただし、当時は道場で口頭で聞いていますので、手槌を鉄槌と聞き間違えたのかも知れません。
57.足の位置そのまま、上体を左へ捻じりながら、右猿臂にて左方(第二線前方)の敵に一撃、左掌にて右肘を打つ。左足は自然前屈になる。
『髓心会の場合は、前屈立にまでにはならず、騎馬立の変形で立っています。』
『原点のように前屈立の方が、スムーズな動きができますので、原点に戻します。ただし、通常の前屈立ではなく、肩幅を開かない前屈立が良いと考えます。』
『髓心会では、この場合も上半身を捻るだけで騎馬立の変形です。』
『原点のように前屈立の方が、スムーズな動きができますので、原点に戻します。ただし、通常の前屈立ではなく、肩幅を開かない前屈立が良いと考えます。』
59.姿勢そのまま、右拳にて下段払。
60.右足を軸として、(60)のように右廻りに左足を第二線後方に移す(騎馬立)と同時に、左拳を上より大きく打下し、右拳を高く振り上げる。
61.姿勢そのまま崩さないよう、(61)のように、振り上げた右拳を左拳の下(左右の手首が交叉するよう)に打下ろす。
62.その位置で、両手を開きながら(手首交叉したまま)頭上に突上げると同時に、両膝を伸ばす。(62)の手の形参照。
64.下体そのまま、手首組んだまま両手を握りしめながら少しく引き下げる(目より見下す高さまで)。
『(62)から(63)に回転する時に、両手を(64)の状態になるようにしています。ですから、右足前屈の姿勢が極まる時にはすでに、(64)の姿勢になっています。』
65.第二線後方に向って、左足にて蹴上げると直ぐに、右足も続けて高く蹴上げる(左足の地に着かぬ先に右足を蹴上げよ)と同時に、左手を以て前の物を掴み寄せる心持にて左拳を腰に引き、右拳は腹から胸を摺り上げるように大きく廻して、裏拳にて前方(第二線後方)上段に打ち込む。手の極まる時、両足は地上について右足前屈となる。
(直れ)右足を軸として右廻りに、左足を左第一線上に移しながら、上体を屈して右拳(甲下)にて下段を内より払うように廻しながら、左足の地に着く時、両拳は腿の前に自然に垂れる。平安初段の用意の姿勢と同じである。
(注)この観空の型は、空手の型の中でも最も長いものの一つで、俗に「八人の敵と闘う手」と言われている位、非常に変化に富んだいい型である。たとえ敵が何人いても同一人に同時に襲いかかれるのは四人に過ぎないという事は、昔から言われている通りであるから、この型に熟練すれは、何百人を向うに廻しても立派に闘い得るのである。
【参考文献】
・富名腰義珍(1930)『空手道教範』 廣文堂書店.
・富名腰義珍(1922-1994)『琉球拳法 唐手 復刻版』 緑林堂書店.
・Gichin Funakoshi translated by Tsutomu Ohshima『KARATE-Do KyoHAN』KODANSHA INTERNATIONAL.
・杉山尚次郎(1984-1989)『松濤館廿五の形』東海堂.
・中山正敏(1979)『ベスト空手6 抜塞・観空』株式会社講談社インターナショナル.
・中山正敏(1989)『ベスト空手6 抜塞・観空』株式会社ベースボールマガジン社.
・内藤武宣(1974)『精説空手道秘要』株式会社東京書店.
・金澤弘和(1981)『空手 型全集(下)』株式会社池田書店.
・笠尾恭二・須井詔康(1975)『連続写真による空手道入門』株式会社ナツメ社.