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文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【32】

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 今日の一文字は『雪』です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第三十一段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る 機知 間柄

 

 この暑い最中に「雪」とは、と思います。しかし、徒然草の初めから読んで来ましたので、たまたま、「雪」に当たりました。

 最近は、雪のようなかき氷が流行だそうですが、まだ口にしていません。セブンイレブンの九州名物「氷」いちご味、と言うのに、エッセルスーパーカップ超バニラを載せると、美味しいですよ。
 
 
 さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第三十一段 〔原文〕

 雪の面白う降りたりし朝、人のがりいふべき事ありて文をやるとて、雪のことは何ともいはざりし返事に、「この雪いかゞ見ると、一筆のたまはせぬ程の、ひがひがしからん人の仰せらるゝ事、聞き入るべきかは、かへすがえす口惜しき御心なり」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。

 今は亡き人なれば、かばかりの事も忘れがたし。

 
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『現代文』

 まず、我流で現代文にしてみましょう。

 『 雪が降って風流な朝、知り合いに言う事があったので手紙を出したが、雪のことには一切触れずに送ったところ、返信で
  「この雪をどう見たのかと、ひとこと触れもしないような情趣を解さない者の言うことは聞けません。どう考えても残念な彼方の心です」と書いてあったのはおもしろかった。
  今はもう亡き人なので、この程度のことでも忘れがたい。』

 

『機知』

 この返信文を、どう取るかは、お互いの関係だと思います。兼好は、この手紙を見た時に、どう思ったのでしょう。

 亡くなってから読み返してみると面白いと感じたのでしょうか、それとも、返信をもらった時に、面白いと感じたのでしょうか。

 兼好と返信の主との関係がどのようなものであったか、想像するしかありません。

 もし、この返信の手紙をもらって時に、「にこっ」と笑った兼好を想像するなら、これは非常に仲の良い人だったと思えます。

 「忙しいかもしれないけど、雪を見て綺麗だと思うくらいは、心に余裕をもったら」と機知に富んだ言い方に聞こえます。

 しかし、「親しき中にも礼儀ありじゃないか」と「しかめっ面」をしたとしたら、そんなに信頼関係の無い関係だったと思われます。

 機知に富んだ人は、親友と言える人でしょう。勝手な想像に過ぎませんが、相手の状況を分かった上で、「まぁ、まぁ、まぁ」と気持ちを落ち着かせているように思えます。

 こういう機知に富んだ、何でも言い合える友達は、そうはいないでしょう。

 これは、関係性ですから、間違うと只の無礼者になってしまいます。冗談も時により、相手の機嫌を損なう事になります。

 この文章の最後に、『今は亡き人なれば、かばかりの事も忘れがたし』となっているのも、私には二通りの理解の仕方をしてしまいます。

 一つは、「今は亡き人なれば」と言う部分です。返信が来た時には、「いらっ」としたが、亡くなった人にいつまでも怒っていても仕方がない。と思い、こんな些細な事すら、良い思い出に変わってしまった。

 と考えるか、それとも、生きている時は、常に自分に対して、歯に衣着せぬ物言いで、叱咤激励してくれた人ももういない。もっともっと親交を深めたかったが、今は、この程度の手紙でも有難いと思い、在りし日を懐かしく思い出す。

  兼好はどちらを思ったのでしょう。私は良き友から来た、機知に富んだ返信のように思います。

 

『間柄』

 人は生きている間に、どれほどの人と顔見知りになり、そして友人としての付き合いがあり、それが男女の場合は、恋人にも発展する事でしょう。

 私の人生の大半は、会社や組織に属していました。そして、一番苦労したのが人間関係でした。

 好むと好まざるとに関わらず、上下関係が出来るのが社会の仕組みです。特に会社の場合は、上司と部下という関係を余儀なくされます。

 自分が上司の場合でも、「命令」と言う言葉を使った事はありません。理由は簡単です。「指示・命令」では、人は気持ちよく働けないと思うからです。

 私も若い時には、「指示・命令」に従って仕事をしていました。いつの頃からか、そんな「指示・命令」が正しいのか疑問に感じてしまった事があります。ですから、私は、部下に対しては、「依頼」する事に徹しました。

 部下であっても、同じ人間です。嫌な事をいやいやしても、良い仕事をする事はできませんし、良い結果を生み出せるとも思えません。ですから、部下に依頼する時には、その内容をしっかり説明して、理解してもらう事に時間を費やしました。そして、やり方については、部下のやりたいようなやり方で行えるような環境作りに奔走したように思います。

 私が一番気を使ったのは、「間柄」です。先述の兼好と返信の主のような関係を構築できれば、どちらも気持ちよく仕事をする事ができると思います。

 なかなか、大人になると、親兄弟と言えども、このような「間柄」になる事は難しいと思います。

 出来れば、諫言を聞き入れる耳を持ちたいものですが、それ以前にそういう関係が出来れば良いですね。

 人間は、と一括りには出来ないと思いますが、私の場合は、同じ内容の事でも、聞ける人と聞けない人がいました。単純に言えば好き嫌いになるのですが、同じコーヒーでもカップが違うと飲みたくなるようなものです。

 和食などは特に、器の洒落たもので出されると、おいしく感じてしまいます。

 人間の「間柄」もそんなもんだと思っています。多分、そんな相手は、同じ辛辣な内容でも、心に響く言い方をしているのかも知れません。

 いわゆる、「琴線に触れる」言い方と、「逆鱗に触れる」言い方があると思います。

 「ものには仕方がある」と何度もこのブログでも記載しましたが、「丸い卵も切りようで四角」「物も言いようで角が立つ」と昔から言う通りだと思います。

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