サイトアイコン 髓心

文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【47】

スポンサーリンク

 今日の一文字は『盗』です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第四十六段』を読んで見て、感じた文字です。

原文 現代文を見る 強盗

 
 朝起きて、ニュースを見ると、北海道で震度6強の地震があったと言っています。

 人間は、自然の災害に打つ手はないのでしょうか。

 今後30年の間に、南海トラフ巨大地震が起こる可能性が70~80%と70%から引き上げられました。

 最近も大阪で震度6弱があったばかりです。九州から北海道まで、いつどこで地震があるか分かりません。

 今朝の北海道の上空から映されている映像を見ると、山がまるでスキー場のスロープか、大量のゴルフ場のようになっていました。如何にその威力が想像を絶するかわかります。

 まだ、大阪も台風の傷跡が、あちこちで生々しく残っています。折角気温も少し下がり、過ごしやすくなりそうなのに、いったいどうなるのでしょうか。
 
 しかし、前を向いて生きる他はありません。さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第四十六段 〔原文〕

 柳原のほとりに、強盜法印ごうとうほういんと号する僧ありけり。度々強盜にあひたる故に、この名をつけにけるとぞ。

 

 
スポンサーリンク

『現代文』

 まず、我流で現代文にしてみましょう。

 『  柳原の辺りに強盜法印ごうとうほういんと呼ばれた僧侶がいた。たびたび強盗に遭ったのでこの名を付けたのだとか。 』

 

『強盗』

 ただ事ではありません。強盗は窃盗とは違います。

 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者。と言うのが強盗罪です。また、人を昏酔させてその財物を盗取した者も同じです。そして、たとえ初めの目的は窃盗のつもりでも、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたとき 、も同様です。

 当然時代が違いますから、法律も違うでしょう。しかし、その時代でも、強盗はあったのですね。名前を付けるくらいですから。山賊とか海賊はイメージできますが、強盗とは・・・。

 直ぐに、安土桃山時代の盗賊の首長、石川五右衛門が浮かびますが、江戸時代でしたら、鼠小僧は窃盗に当たると思いますし、義賊と言われています。また、火付盗賊改方ひつけとうぞくあらためがたなどの登場する盗賊が、強盗に当たるのでしょう。

 いずれも、映画やテレビドラマでしかイメージが湧きません。

〔法印〕

 ここで、調べてみると、この法印自らが、強盗法印と名付けたとの説と、あだ名を付けられた説の二つが見つかりました。

 ちなみに、法印とは僧位の最高の位の称号ですから、普通に考えると、自分から法印とは付けないでしょう。
 
 また、鎌倉時代や室町時代には、医師・仏師・絵師・連歌師などにも授けられた称号とされています。ただし、この段に書かれてある法印は、僧侶と明記されています。

 さて、そんな偉いお坊さんが、兼好法師のようにぶらぶらと散策して町や強盗の出るであろう所を、一人でうろつくと言うのも解せません。

 学研全訳古語辞典では、この訳を「強盗の法印と称する僧がいた。」とあります。この文言も、句点をつける場所によって、解釈が違ってきます。「強盗の」とありますから、「強盗である、法印と称する僧がいた」とも取れますし、「強盗の法印、と称する僧がいた」と読む事もできます。

 自分から強盗法印と名乗ったのか、それとも本当に法印と言う称号をもらう立場の僧だったのか、断定する事が出来ません。

〔ミステリアス〕

 ミステリーなのか、サスペンスなのか、ミステリアスですが、強盜法印ごうとうほういんと呼ばれる僧侶が実在していると仮定して、この文章を読んで見る事にしましょう。

 少なくとも、何度も強盗に遭遇したとの記述から、運の悪い僧侶であると言えると思います。

 しかし、逆に考えると、強盗にあっても生きているのですから、それも何度も、と言う事ですから、運が良いのかも知れません。

 何度も強盗にあって、命を亡くしていない事も、ミステリアスですし、もし怪我などしていれば、何らかの記述があっても良さそうです。

 何かにつけて、謎に包まれる僧が、京都の柳原なる所にいて、その異名が強盗法印と言うのですから、これも謎に包まれた名です。

〔憶測〕

 この文章から、兼好が何かを描写、もしくは言いたい事、あるいは表現したい事を推測するとしたら、 歴史的な世情を、この短文に表したのではないかと、思います。

 まさに、勝手な憶測です。

 であれば、強盗法印と言う僧は、実在するとは限りません。何かを表現する為にこのような文章にしたと考える事にしました。まるでミステリー小説の謎解きです。

 「柳原のほとりに」と、わざわざ地名が出てきます。そして、「度々」と言う言葉と「強盗」を繋げて想像をたくましくしてみましょう。

  僧を襲うほど、治安の悪い所が、京都の都にあった。それも、襲われたのは、一度や二度ではありません。

 立ち入るのは危険です。そんな警告の文章かも知れません。

 私が幼かったころは、意外とそういう噂は、大阪でもありました。その頃治安の悪い事で有名だった、西成ですが、ある場所に車で行くと、その場所から出る時には、身ぐるみはがされて、ハンドルだけ持って出てくる。と言った、話しが、まことしやかに言われていました。

 今は治安が良くなったとは言え、全国に治安の悪い所は、点在していると思います。

 「君子危うきに近寄らず」と言いますから、そういう場所を避けるのも、武道家の智慧、いや武道家だけではなく、智慧のある人の勇気と言えます。蛮勇は、何も良い事がありません。

スポンサーリンク
モバイルバージョンを終了