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中学校で習う漢字三体字典 Part50

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 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

246. [][ケイ][ちぎ-る][画数:9画][部首:大]

『双務約』

 契約関係は不動産を仕事にしている時に、少し勉強しました。その時にこの「双務契約」や「片務契約」の事を知ったのです。
 契約と一口に言っても、かなり沢山の種類があります。この双務契約は、契約の性質上区分されたものです。
 契約の性質上分けられたものに、双務・片務、有償・無償、諾成・要物などがあります。
 この内、双務契約は、契約をした当事者双方が何らかの義務を負うようになっています。
 例えば、建物を購入する為の契約をする場合、一方は建物を引き渡す義務が生じます。もう一方は契約書に書かれた通り金銭を渡す義務が生じます。この他にも義務が生じますが、ここでは割愛します。
 このように契約と同時に双方に義務が生じる契約です。一般的な契約の一つです。
 では、片務契約と言うのは、どうなんでしょう。書いて字の通り、片方だけに義務が生じる契約です。
 一番わかりやすいのは贈与契約だと思います。贈与される側には何も義務が発生せず、単に贈与する側が契約により贈与する義務が発生します。

楷書 行書 草書

247. [][ケイ][エ][めぐ-む][画数:10画][部首:心]

『知ない神に知付ける』

 この言葉は少し混乱しますね。神様を引き合いに出されると、神様に知恵を付けるのは、確かに余計なアドバイスになります。
 しかし、前に知恵の無い神、とありますが、神様を愚弄しているかのような言い方です。ばちが当たりそうです。
 類語に「寝ている子を起こす」、「藪蛇」などがありますが、すこしニュアンスが違うように思います。
 同じ類語に「知恵の無い子に知恵付ける」と言うのも、余計な入れ知恵のような解釈が書かれていますが、これも、なぜ余計なのか分かりません。
 余計な入れ知恵は確かに物事を複雑にしたり、混乱を招きますが、「子」や「神」を付ける必要があるのでしょうか。

楷書 行書 草書

248. [][ケイ][画数:11画][部首:口]

『一筆上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ』

 こんな手紙を書いて見たいですね。日本一短い手紙として、手紙の見本として習った事があります。
 最近はSNSやLINEなどでは、もっと短い文章があると思います。しかし、この文章の凄い所は、必要な事が全て書かれているという点です。追伸、なんて事もありません。
 しかも、これ、戦場から妻に宛てた手紙です。その戦いは有名な長篠の戦いでした。
 手紙を書いた人は、本多重次と言う徳川家康に仕えた武将で、怒りやすいので鬼作左とニックネームが付けられたとか。
 この手紙の内容に似つかわしくない、剛毅な人だったようです。しかし、この手紙は家族を心配しての配慮がにじみ出ています。
 ここで、この原文を知りましたので載せておきます。「一筆申す 火の用心 お仙痩さすな 馬肥やせ かしく」
 ちなみに、この「お仙」は、仙千代が名前で、本多重次の息子です。後の本多成重の事ですから、跡継ぎの将来を思っての一筆だったのかも知れません。
 美談として後世に伝えられてきましたが、実際の所はもっと複雑で、人間臭い部分も垣間見られます。
 しかし、この手紙は要点を網羅した短い手紙として覚えて置く事にします。

楷書 行書 草書

249. [][ケイ][かか-げる][画数:11画][部首:手]

『斧をげて淵に入る』

 淵と言うのを、深い池を想像してみます。その池に斧を振り上げて入って行っても、その斧は斧としての機能を発揮できません。要するにTPOが間違っていると言う事です。
 適材適所も大事ですが、その時に必要な物を使わなければ、物の役には立ちません。紙を切るのにのこぎりを持ってきても、ドライバーを持ってきても、道具には違いありませんが、役に立たないどころか台無しにしてしまうでしょう。

楷書 行書 草書

250. [][ケイ][画数:11画][部首:水]

『虎三笑』

 こういう事って、最近は常にあります。例えばテレビに夢中になって、鉄瓶で湯を沸かしているのを忘れて噴き出してしまう事も度々です。
 この場合は中国のお坊さんの話ですが、話しに夢中になって、二度と渡らないと誓った石橋を、気が付いたら渡ってしまい三人が大笑いしたと言うことから出来た言葉と書かれていました【出典:大辞泉 小学館.】。
 最近と書き出しましたが、東京で道場に通っている時に、稽古に夢中になり時間を忘れ、終電車に乗り遅れた事もありました。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の246.~250.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【契】大部(だいぶ)・ダイ・だいかんむり・だいかしら
  2. 【恵】心部(しんぶ)・こころ・りっしんべん・したごころ
  3. 【啓】口部(こうぶ)・くち・くちへん
  4. 【掲】手部(しゅぶ)・て・てへん
  5. 【渓】水部(すいぶ)・みず・さんずい・したみず

 ・・・・つづく。

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