中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。
表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。
ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。
391. [恣][シ][画数:10画][部首:心]
『荒怠暴恣』
精神状態が不安定で、本来やらなければならない事をしないで、わがままな振る舞いをしている人の事を、こんな四文字熟語で言うのでしょう。
四文字熟語が難しくて、本来知らなければならない意味が頭に入らない。そんな時に使うのでしょうか。
しかし、じっくりこの漢字を見ていると、「荒怠」は、心が荒れると思えますので、それで本来しなければならない事を怠けると言う事だと理解出来ます。そして、次の「暴恣」も、勝手気ままに暴力的になると解せます。
兎に角こんな四文字熟語で、自分の行動を評価されたくはないですね。まず、心を乱さないように、本来すべきことを成す事から始めたいと思います。
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392. [脂][シ][あぶら][画数:10画][部首:肉]
『氷に鏤め脂に描く』
「鏤める」は、「散りばめる」と違い、彫って金銀珠玉をはめ込むと言う意味です。
もちろん氷を彫って埋め込んでも、氷は直ぐに解けてしまいます。また油に絵を描いても消えてしまうと言う事なのですが、この油は水のようなものと思った方が良いでしょう。
要するに、どちらも、一生懸命努力しても徒労に終わってしまうと言いたいのだと思います。
こんなに、ハッキリした物であれば、だれも行わないのでしょうが、物事はそんなに簡単ではありません。
傍から見ていると、徒労である事が明らかでも、当の本人は気が付かない場合が殆どです。
客観的に、俯瞰的な目を持つか、ちょっと離れて見るのも良いと思います。
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393. [紫][シ][むらさき][画数:12画][部首:糸]
『紫の朱を奪う』
「邪道なものが正しいものに取って代わり、その地位を奪うことのたとえ。」【出典:ことわざ辞典ONLINE.】と書かれています。
なぜ紫が邪道なのか解りませんが、孔子が忌み嫌った事から邪道としたのでしょう。
ただ論語を読んで見ると、時代の背景もありますが、孔子は昔から続く風習を正しいと思っていたふしがあります。
懐古主義と言うのは言い過ぎかも知れませんが、「子曰、温故而知新、可以為師矣」と論語に見る言葉とは、ちょっと違うのかな、と思います。
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394. [嗣][シ][画数:13画][部首:口]
『継嗣』
跡継ぎの事です。他にも跡取りや後継などの言葉もその類の言葉で、もっと沢山の言葉があります。
最近ではあまり家を継ぐと言う風習が無くなってきましたので、この言葉も使われていないでしょう。
昔は、家督と言う家父長制における家長権を継承する事でしたが、日本では核家族化が進んで、各家庭は両親と子供の形態が主になっていると思うのですが、案外大家族の家もまだ存在し、古くからの家訓を守っている家もあります。
私は大阪で生まれ、関東に何度か住みましたが、一般的には都会で生活しているせいか、徐々に核家族化された歴史を見てきました。
今でも田舎の方に行くと、家父長制度の風潮が残っているのかも知れません。
これは、どちらが良いとか悪いとかいう問題ではなく、その時代に応じて変化してきたものと思います。
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395. [雌][シ][め][めす][画数:14画][部首:隹]
『雌雄を決する』
勝負をして勝ち負けをハッキリさせる時に使います。この場合は雄が強い、雌が弱いと決めています。
「願わくは漢王との戦いを挑み、雌雄を決せん」と四面楚歌の言葉で有名な、項羽が云ったと記載された『史記』に由来していると言います。
現在では男女平等ですから、特に男性が強いと言うと、やり玉に挙げられそうですが、一般的に動物の世界では雄の方が強いとされています。もちろん例外的にカマキリなどのように雌が強い場合もありますが。
さて、人間の場合はどちらが強いのでしょうか。
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