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中学校で習う漢字三体字典 Part91

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 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

451. [][ジュク][画数:14画][部首:土]

松下村しょうかそんじゅく

 塾と言うものは平安時代から存在したそうです。もちろんその頃は貴族の教育の為だったのでしょう。
 私が塾と言う文字を聞いて、最初に浮かぶのは、この「松下村塾」です。吉田松陰の叔父さん(玉木文之進)が開いた私塾であったと聞きます。吉田松陰は藩校明倫館の塾頭を務めていたのですが、27歳の時に「松下村塾」の名を引き継ぎ開塾したのですが、29歳で刑に処せられ亡くなっています。しかし、僅か1年程で囚われの身となっています。この間に高杉晋作、伊藤博文、他にも明治維新に加わった人材を輩出していますので、どんな教育を行ったのでしょう。
 このように、ごくごく僅かの間、松下村塾を率いたのですが、その吉田松陰と言う人、9歳のときに明倫館の兵学師範に就任したと言いますから、俄かには信じがたい秀でた才能の持ち主だったのでしょう。
 ちなみに、明倫館と言うのは、学ぶ事ができる資格が、限定的で、士分と認められた者しか入学を許させていなかったようです。

楷書 行書 草書

452. [][シュン][画数:9画][部首:人]

敏』

 俊敏と聞くと直ぐに、運動能力と思ってしまいます。空手道に必要なのは、一番は速さだと思っています。次にチャンスを活かす間が大切ではないでしょうか。その後に力や持続力、持続力に必要な緩急が重要な要素となります。
 如何に持久力やパワーがあっても、チャンスを逃すと宝の持ち腐れ、チャンスを捉えても俊敏さがなければ、元も子も無くなってしまいます。
 俊敏さとは、個々の速さも必要ですが、瞬発力が何より大切です。例えば100mを10秒で走っても、初めの10mが弾丸を発射するようなスタートできなければ、空手道の場合には役に立ちません。
 と、ここまで俊敏と言う言葉を運動能力だけに、特化しましたが、俊敏とは言うのは、これだけではありません。
 「頭のはたらきがよく、すばやく適切な行動をする・こと(さま)。」【出典:大辞林第三版 三省堂.】にあるように、頭の働きが必要です。
 空手道も、チャンスを捉えるのは、感覚を通して察知する事が何よりも大切である事は、言うまでもありません。もちろん、この頭は知識ではなく、経験を活かす事のできる能力であり、条件反射のようなものです。
 誤解されると困るので追記しますと、速さは確かに大切なのですが、では力は、と言うと、如何に早く相手に到達できても、その攻撃に破壊力がなければ何もなりません。そして、相手を制するまでに疲れ果てるような体力では戦う事すら出来ません。ですから、全てが十分に鍛錬された後に必要な物は、速さ、と言う事になると思います。

楷書 行書 草書

453. [][シュン][またた-く][画数:18画][部首:目]

息万変』

 最近の時代の流れや、気候の変化は、正にこの言葉が匹敵すると思います。
 これも空手道から見ると、全てが留まる事はありません。「息万変」でなければなりません。
 武道の言葉に「居着き」と言うのがあります。これも、一瞬でも止まると、そこに付け込む余地ができます。
 空手道の「型」を打つときに、一番気を付けないといけないのは、この「居着き」でしょう。
 型は幾つもの技の集約ですから、繋ぎ合わせた部分から成り立っていると思っています。ですから、その連結部も、戦いであると考える必要があります。
 プツンプツンと繋ぎ合わせるのであれば、技を取り出して一つずつ稽古した方が理に適っています。
 それを「型」として打つのであれば、全体を一つの戦いと解釈するべきでしょう。であれば、その繋ぎの部分にも居着きが起こらないよう、配慮しなければならないと思っています。

楷書 行書 草書

454. [][ジュン][(シュン)][画数:6画][部首:日]

天魔波てんまはじゅん

 これは仏教の修行の邪魔をする悪魔だと言う事です。しかし、一般的にも、何か事を成そうとする時、弊害になる事も沢山あります。
 しかし、この悪魔は、結局自分自身の妄想ではないでしょうか。座禅の言葉に「莫妄想まくもうぞう」があります。妄想するなかれです。
 この言葉の悪魔は「第六天魔王波旬」が由来とされていて、天上に居るとされていますが、私はその事を信じるだけの情報を持っていません。
 ここで言う妄想とは、自分自身の欲望、則ち貪瞋痴とんじんちと言われているものです。人間は自分で何かを成そうとする事も心に発生しますが、同時にそれを遮るように欲が起こります。
 ある時には怠惰と言う気持ち、ある時には好み(貪欲)に走り、嫌いなものには排他的(瞋恚)に、またある時には的確な判断力をなくし迷ったり(愚痴)、それはそれは多種多様です。
 私は、悪魔のせいにするより、自分のせいにした方が理解し易いように思っています。

楷書 行書 草書

455. [][ジュン][めぐ-る][画数:6画][部首:巛]

『遅疑逡

 あまり考えすぎると、なかなか決断できません。この言葉はそんな時に言うのでしょう。
 私は、一人の人が考え過ぎると、物事の本質が見えなくなる場合があると思っています。
 理由は自分の経験、知識は、世の中の経験や知識量とは比較にならないくらい、少ないからに他ならないと思っています。
 ですから、あまり考えすぎると、同じ事の繰り返し、堂々巡りをしてしまいます。あるいは、考える事で満足してしまっているのかも知れません。
 英知を集めて宇宙ロケットを発射させても、途中で軌道修正を余儀なくされます。ある程度考えがまとまったら、英断する必要もあるのではないかと思います。たとえそれが英断ではなく早計であったとしても。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の451.~455.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【塾】土部(どぶ)・つち・つちへん
  2. 【俊】人部(じんぶ)・ひと・にんべん・ひとがしら・ひとやね
  3. 【瞬】目部(もくぶ)・め・めへん・よこめ
  4. 【旬】日部(にちぶ)・ひ・にち・ひへん・にちへん
  5. 【巡】巛部(せんぶ)・まがりかわ・かわ・さんぽがわ

 ・・・・つづく。

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