下世話な言い方をすると、武蔵の商売道具の事です。【兵具八各別よの道具多し奈ま寸】『兵具は格別よの道具嗜まず』と読んでみます。
ここでは、『格別「よ」の道具』の「よ」が、読む取るうえで、ポイントになります。
ここでも、参考文献の訳文には、『武具は別であるが、他の道具に心を費やすことはない。』とされています。
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そこで、まず意味から合う漢字を選んで見たいと思います。
漢字だとしたら、前者の意味は、『武具はとりわけ多くの道具を持たない
』、後者の場合は『武具は特別の為に道具を嗜まない』と訳すことができます。ちなみに、「与」は、漢文では、色々の読み方があるようですが、「ため」と読んで見ました。どちらも、『武具として必要なものは持つが、必要以外の物は持たない』と言う意味に取れます。前者の場合は、『あれもこれもと色々な武具を集める事は無い』と取れますし、後者の場合は、『武具を趣味的に嗜むことはない』、と言う事だと思います。
私は、どちらの意味も、武蔵は考えていたのではないかと、思います。
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武蔵は、武具に対しての造詣も深かったのか、常人が嗜む以上の目を持っていて、武具を選んでいたように思います。
武蔵が吉岡一門との戦いで使ったとされる刀は、「無銘金重」ではあったものの、金重は、関鍛冶の実質的な祖と言われていますので、名刀であったと思われます。
ちなみに、無銘とは、刀の茎(なかご)[刀身の柄の中の部分]に銘が彫られていな刀の事を、言います。ただ、見る人が見ると誰の作か分かるそうです。
また、養子の伊織に贈ったとされる和泉守藤原兼重という武蔵が使ったとされる刀が、戦前まで熊本に存在したそうです。「左右海鼠透鍔」(さゆうなまこすかしつば)と言う、刀の鍔も考案して作ったとされています。左の広告の写真が「左右海鼠透鍔」を鍔に拵えた藤原兼重の模造刀です。
武蔵が意識しなくても、目が肥えていれば、良い物を選べるのではないでしょうか。
特に趣味として集める必要もありませんが、着るもの、持ち物でその人の価値が現れます。それは、その人の物を見分ける目が、良い物を選択しているからだと思います。
良い物を選択できるように、良い物を見る習慣を付けて置く必要があると思っています。
人間性と関係ありませんが、出来る人としての評価は、受ける事ができます。
ただし、権力者には、この考えは、当てはまりません。なぜなら、評価を受ける必要がなくなりますし、いわゆる、サイコパスでも、成功者になれるのですから。
【参考文献】
・佐藤正英(2009-2011) 『五輪書』ちくま学芸文庫.
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