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お習字から書道へ Section 26

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 東京書道教育会や書道界では「部分」、一般的には部首と呼んでいると思いますが、その部分に従って、文字を選んで通信教育の課題とは別に練習しています。

 前回は、「あめかんむり」と「くさかんむり」そして「たけかんむり」を選び、文字は、「雪、雲、雷、霜」、「芝、花、芯、若」、「笑、第、笛、答」を楷書で、その中から「雲」「花」「若」「第」「答」を書写体で書いて見ました。
 

 今回は、「あさかんむり」「あみがしら」「かみがしら」を取り上げました。文字は、「麿」、「署」そして、「髪」を楷書で、「髪」だけ書写体がありましたので、書写体を添えています。

 この3つの部分の漢字では、常用漢字が少ないので、手本がありませんでした。「罕」は、音読みで「かん」訓読みで「とりあみ・はた・まれ」と言うそうです。この文字が「署」と同じ「あみがしら」になると言う事なので、書いてみようと思ったのですが、残念ながら手本が見当たりませんでした。
 ちなみに、「摩」は、「て・てへん」、「魔」は、「おに・きにょう」で、「あさかんむり」ではありませんでした。
 

 「髪はなが~い友達」と覚えましたが、私の場合は、違ったようです。

 上に書いた文字が「楷書」です。下が「書写体」です。もう一つ「書写体」の文字がありましたが、それには、友の部分が火と思える文字になっていました。

 この「さんづくり」と部分名のある三本の左払いに、工夫があります。今回の「一口メモ」に書きましたが、「部分の変化」にあたります。

 「麿」の左右にある「木」の書き方にも変化を付けています。このあたりが、活字では見られない書き文字特有の書きぶりではないでしょうか。

 一口メモ 

 漢字は、点画の組み合わせである事は、理解できます。しかし、単純に点画を組み合わせるだけでも、調和の取れた美しい文字になるとは限りません。

 また、部分と言う漢字の部品を寄せ集めるだけでも、上手に書けないのが日本語の難しい所だと思います。

 そこで、字形に拘って見る事にしました。日本習字普及協会発行の『はじめての書道 楷書』(関根薫園著)では、字形には部分の変化が必要であるとの記述があります。

 次にその『はじめての書道 楷書』(関根薫園著)を元に自分の言葉で要旨をまとめてみました。

 【同じ用筆が重なる字形として、右払いが二つある場合には、その一つを違った書き方にする事で、文字が一本調子にならない。これははねる場合も同様で、縦に二つ並んではねる場合、一方をとめにする事で、単調で面白みのない文字にはならずに済みます。

 また、同じ形が重なる場合でも、少し大小をつけたり、変形させる事によって文字に躍動感が生まれます。

 これは、私が書く時にいつも気をつけていることですが、バランスよく部品を組み合わせる事も必要です。

 あとは、文字全体の形、三角形とか菱形とか扁平の形があると思います。

 もう一つ大事な事があります。それは筆順です。意外とこの筆順で文字の形が変わります。例えば、「右」と「左」などは活字で見ると同じように見えますが、書き文字になるとまったく違う形になります。「必」などは、その典型かも知れません。正しい筆順を覚えたいものです。

 そして、偏と旁との面積のバランスなどを、イメージできれば、美しい文字が書けるのではないでしょうか。】

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

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