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お習字から書道へ Section 28

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 東京書道教育会や書道界では「部分」、一般的には部首と呼んでいると思いますが、その部分に従って、文字を選んで通信教育の課題とは別に練習しています。

 前回は、「ひらび」「がんだれ」を取り上げました。文字は「書」「最」、「原」「厚」「厘」」を楷書で、「書」「最」「原」の文字を書写体で書きました。

 今回は、「まだれ」「やまいだれ」を取り上げました。
 文字は、「広」「店」、「疫」「病」「疲」」を楷書で、「広」「疫」「病」「疲」を書写体で書きました。

 
「広」と言う文字は、旧字体「廣」ではよく見ますが、書写体で見る事は、一般の社会ではまれな事だと思います。「廣」も活字になっているものは、書写体ではなく、旧字体と言うよりも字典体を筆写した形になります。複雑ですね。

 それにしても、空間のバランスが思うように取れません。

 どうしても、頭が重くなってしまいました。

 


 「店」を手本で見ると、「まだれ」の点の位置と「占」の縦画の方が少し右側にあります。この部分を注意して書いて見ました。

 


 「疫」の楷書も、書写体も「やまいだれ」との調和が上手く取れません。
 
 なんども、書き直して見ましたが、こんな感じかな、で終わっています。

 書写体では、「々」に見える部分が「口」と書く場合もありました。その場合には「攵」に見える部分の左払いがない文字になっています。これも、『楷行草筆順・字体字典』(江守賢治著)によります。

 


「病」は、手本をよく見て、特徴を捉えられたのではないでしょうか。

 私は、書写体の字形の方が書きやすいと感じました。

 文字によって、なんとなくバランスが取りやすい文字と、取りにくい文字があるようです。

 また、文字によって合う合わないもあるのかも知れません。いずれにしても、練習しかないようです。

 


 「疲」の文字も、手本が無くては、とても書けません。

 空間の取り方の難しさを、思い知らされる文字ですね。

 手書きならではの工夫で、全ての線を同じ太さにしない事も、バランスを取るうえでは重要だと思います。また、線の太さを変える事で、安定した文字になります。

 この書写体の「やまいだれ」は、ここに書いた文字の他、楷書と同じように左払いになっている文字もありました。
 

 一口メモ 

 前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 まず第二回目に取り上げるのは、「分彊ぶんきょう」「三勺さんしゃく」「二段にだん」「三停さんてい」の4つです。

 「分彊ぶんきょう」は、偏と旁を同等に扱うような文字を言います。例えば「顧」などは、「雇」も「頁」もどちらも幅も長さもありますので、どちらか一方に偏らないように、境目を正しく表す事が必要です。

 「三勺さんしゃく」は、三つの要素で出来ている文字、例をあげると、「術」「徴」「緻」などをあげる事が出来ます。この場合に主となるのは、真ん中の文字で、両脇の文字がこれを包み込むよう、また保護するような配置にします。主体となる文字が左右のどちらにも偏ることなく書く事が重要です。〔【勺】と言う文字の中の点は、『はじめての書道楷書』では、横画になっています。

 「二段にだん」と言うのは、想像通り部分が上下に積み重なった漢字です。例をあげると、「需」「思」などがこれに当たると思います。この場合は、上下とも、一つの文字を書く時よりも扁平にして、上下を区別する事が大切であると思います。

 「三停さんてい」は、前の「二段」ではなく、三段重ねの要素を組み合わせた文字の事です。この場合は、扁平にするだけではなく、一部を小さく書いたりして、縦長になりすぎない工夫が必要な文字です。例えば「章」「彙」などです。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

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