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お習字から書道へ Section 31

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 東京書道教育会や書道界では「部分」、一般的には部首と呼んでいると思いますが、その部分に従って、文字を選んで通信教育の課題とは別に練習しています。

 前回は、「とらかんむり(とらがしら)」「にすい」「さんずい」を取り上げました。
 文字は、「虎」「虐」「虚」、「冬」「冷」「凍」、「池」「沢」「治」を楷書で、「虎」「虐」「虚」「沢」を書写体で書きました。

 今回は、「にんべん」「ぎょうにんべん」を取り上げました。
 文字は、「仏」「仕」「働」、「役」「後」「復」、「役」「後」「復」を書写体で書きました。


 手本を観察してから、文字を書き始めるようにしています。今回の「仏」は、四角に書かかない事が大事だと思いました。もちろん個人的な見解です。そして、ペナント(三角形の旗)をイメージしました。底辺が左端で右側に段々細くなるイメージです。

 「仕」と言う文字の場合は正方形に近いのですが、左の偏より旁の下の横画を少し上げるようにしました。最後の横画は、もう少し水平にした方が良かったかも知れません。

 「働」は、上手くバランスが取れたように思います。一口メモで解説しています、「結構八十四法」の「左右占地歩さゆうせんちほ」に当たると思います。『左右の文字は大きく長く書きますが、中の字画を小さく短く書きます。ただし、バランスを取るために線を幾分太くします。』と解説しましたが、手本を見ないで書くと、「力」をここまで下に下ろす勇気が出ません。やはり、手本は必要ですね。
 


 前回も「虚」の文字については、線が細すぎたと書きましたが、東京書道教育会の添削のコメントにも、何回か線の細さを指摘されています。

 まだ、実感が湧かないのですが、この「役」は、自分でも細いと思います。特に右側の旁は、少なくとも「ぎょうにんべん」とつり合いの取れる太さにするべきだと思っています。

 「役」の書写体はバランスよく書けたのではないでしょうか。

 「後」もやはり細くなってしまいました。楷書、書写体とも、手本にもう少し忠実に再現する必要があると思っています。

 「復」は、楷書、書写体ともまずまずの出来だと思っています。しかし、一度で書けた分けではないので、問題ありだと思います。

 

 一口メモ 

  前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第五回目です。取り上げるのは、「平四角へいしかく」「開両肩りょうかたひらき」「匀画いんかく」「錯綜さくそう」の4つです。

 「平四角へいしかく」の例は「固」をあげています。説明では少し長めの四角に書く、となっていますので、名称と食い違うのですが、上下の角をハッキリと書く事が重要です。また、漢字の書き方の中で、字画の構え方と向背とをよく研究する必要がある。と書かれてありますが、字画の構え方はイメージがわきませんが、向背と言うのは、縦画の方向の事で、「直勢」「背勢」「向勢」とありますが、要するに縦画を内側に反らせるか、内側を膨らませるか、それとも、真直ぐに書く方法を言っていると思います。作品や文章として書く時は、統一した方が良いでしょう。

 「開両肩りょうかたひらき」の読み方が「かいりょうかた」ではなく、「りょうかたひらき」になっている理由は分かりません。返り点を打って漢文のように読むのでしょうか。例は「而」をあげています。両肩と説明がありますが、三画目の起筆と四画目の「折れ」の部分を言っているのだと思います。
 また、下の両足と言っている部分は、三画目の縦画をやや左に倒し収筆が内側になり、「折れ」からの縦画を内側に傾ける事で、全体のつり合いを取る方法の事です。

 「匀画いんかく」の例の文字を「壽」をあげています。ここで「黒白均衡なるをよろこぶ」という。と説明がありますが、そんな言い伝えがあるのでしょう。要するに点画の黒い部分と余白を同じ幅にすると言う意味です。

 「錯綜さくそう」は、「繫」と言う文字をあげていますが、「殳」の部分は「々」の下に「攵」と言う文字になっていますが、『楷行草筆順・字体字典』の書写体にはありません。この説明に「三部犯礙はんがいを成すをおそる」と言う言葉をあげて、それぞれの部分が入り組まないようにする必要性をあげています。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

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