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お習字から書道へ Section 35

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 体軸運動を済ませ、お習字を始めようと、用意をして、さて座ろうと思った時に、大きな地震がありました。

 ニュースでは震度4らしいのですが、とても震度4とは思えないくらいの揺れでした。隣の区が震度5なので、それに近いのかも知れません。しばらく酔ったような気分が続きました。

 関東に住んでいる時に、震度5を経験したことがありましたが、そんな感じでした。

 まだ、テレビではニュースが続いていますが、とりあえず、お習字の用意ができていますので、書き始めました。 

 最近は筆記用具を使う事も少なくなりましたが、お習字を始めてから、毎日少しでも筆を持つようにしています。

 できれば、十文字程度、半紙に三枚くらいは、書きたいと思い、毎日文字を選んで書いています。

 この文字を選ぶときには、『楷行草筆順・字体字典』から、上手く書けそうな文字と、難しそうだな、と思う文字の二種類の文字を選ぶようにしています。

 前回は、「てへん」「うしへん」「けものへん」を取り上げました。
 文字は、「打」「扱」「持」、「物」「特」「犠」、「独」「狩」「猫」を楷書で、「物」「犠」を書写体で書きました。

 今回は、「きへん」「のぎへん」「こめへん」を取り上げました。
 文字は、「村」「柱」「桟」、「私」「秋」「稲」、「粉」「粗」「精」を楷書で、「秋」「稲」「紛」を書写体で書きました。
 


 
 「きへん」は、活字と違い、はねがあります。「村」と言う文字も、手本では「木」と「寸」ではねがありますが、Section 34 の一口メモに『減勾』と言う結構の法則から見ますと、どちらかを止めても良いかとは思います。しかしあくまでも原則ですから、手本では、両方ともはねるようにしているのかも知れません。

 ちなみに、行書では「村」の「きへん」では、はねがありません。

 「柱」の文字は、「偏」と「旁」の間をもう少し詰めてもバランスがとれるかも知れません。

 「桟」も、もう少し工夫が必要かと思っています。
 


 「私」の文字も、まだどこか分かりませんが、バランスが悪いような気がします。なんだかしっくり来ていません。

 


 「秋」のポイントは「火」に置きました。「火」の左払いは、途中までほとんど縦画のように書くようにしています。そして左に払う方向も、偏より長くならないよう気を付けました。

 それにしても、書写体は、楷書の「偏」と「旁」が逆になるのですね。「あき」には見えませんが、なんだか、格好の良い文字ですね。

 

 


 「稲」と言う文字は、楷書よりも書写体の方が、安定していると思います。

 前にも感じた事ですが、書写体の方が毛筆としては書きやすいのかも知れません。

 

 


 「粉」と言う字は、「分」と言う文字の上を付けない事を知らなければいけない事を、書写体から想像する事ができました。

 書写体は、「旁」のバランスを取るのに注意しなければ、バラバラの文字の配置になりかねません。これは、練習を重ねて覚える他ないでしょう。

 
 


 「粗」は、「こめへん」をもう少し短い方がバランスが良いかも知れません。手本を見る限りでは、このように見えたのですが、なんだか違うようにも見えます。

 「精」は、僅かに「青」の文字が縦に細くなったように思います。心持横に広がりを持った方が安定すると思いました。

 

 一口メモ 

  前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第九回目です。取り上げるのは、「横勒おうろく」「均平きんへい」「縦波じゅうは」「横波おうは」の4つです。

 「横勒おうろく」の例は「也」です。一画目の横画の事を指していて、この横画を少し右上がりに運筆すると、筆勢が出ると説明があります。この短い横画にあたる他の文字を思い浮かべる事は出来ませんが、もしこういう文字を書く時には、思い出して見ましょう。

 「均平きんへい」、この文字の例が「去」ですが、横画が重なる文字であれば、他の例の方が分かりやすいと思いました。推測ですが、一画目の横画三画目の横画、そして四画目の右はねの事を横画と言っているのでしょうか。でなければ、二つの横画の間隔を均一には出来ません。であれば、この三つの間隔を均一にすると言う事でしょう。そして、この文字の場合、三画目が一番長い横画になりますので、これを十分長くすると言う事だと思っています。

 「縦波じゅうは」の文字は「丈」ですが、左払いが縦に近い為これを縦波と名づけています。この左払いをのびやかに書く事がポイントであると説明しています。

 「横波おうは」の場合は「足」を取り上げて、右払いが横に伸びるため形が取りにくいので、要領としては、起筆で筆が滑らないよう穂先を起こし、ゆっくりと筆を運ぶように書かれています。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

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