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お習字から書道へ Section 40

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 毎日筆を持って書くと、少しは上手くなっていくように思っているのですが、如何でしょうか。

 空手の練習と同じで、遅々として進まないようにも思えます。

 その進まない事を、あれこれ考えずに、毎日練習する事が「道」の本分だと思っています。
 
 さて、今朝も文字を選んで書く事にします。

 この文字を選ぶときには、『楷行草筆順・字体字典』から、上手く書けそうな文字と、難しそうだな、と思う文字の二種類の文字を選ぶようにしています。

 前回は、「いしへん」「したへん」「ごんべん」を取り上げました。
 文字は、「研」「砂」「礎」、「舎」「舗」、「記」「試」「識」、を楷書で、「研」「砂」「礎」を書写体で書きました。

 今回は、「ひへん・にちへん」「めへん」「しろへん」を取り上げました。
 文字は、「早」「明」「春」、「直」「眼」「睦」、「百」「的」「皆」、を楷書で、「明」「直」「皆」を書写体で書きました。

 


 「ひへん」は、「にちへん」とも言いますが、前回の「口」とは違い、縦画に横画が当たる「日」を書きます。

 「日」の下が少し上よりも狭めるようにすると、下の「十」とのバランスが取れると思いました。

 「春」は横画の間隔がポイントで、思ったよりも三本の横画を狭めて書く事により、文字としての調和がとれると思いました。それでも、左右の開き方や、下の日の字の大きさなど、考えさせられる文字です。
 


 
 「明」の書写体の偏が「目」とは、全く知りませんでした。
 見慣れているせいか、書写体の方は、初め漢字とは思えませんでした。当然バランスも取りにくいと思ってしまいましたが、これは見慣れないためだと思います。

 


 「眼」と言う文字を書いていて、ふと、結構法とまでは行きませんが、こんな法則があっても良いか、と思いました。それは目の横画と、旁の上の横画を右上がりに一直線上に書く。そして、目の右下の収筆は目の一画目の収筆とを結んだ線上に、旁の縦画が来てからはねる。こうする事でバランスがとれるのではないか、と思った事です。他の文字もこういった法則があるような気がしています。一つの法則を見付けられれば、文字も書きやすくなるのですが。まだまだ、手本を良く観察する域から出そうにありません。
 「睦」の文字は、旁の上の「土」の下の部分でバランスが取れると思っています。
 
 

 「直」は、八画目の縦画にポイントがあるのでは、と思って、少し垂直よりも左側に倒して見ました。そうする事により、すこし空間ができ、文字が四角定規にならずに済みました。

 書写体の方は、全ての横画は、少し右上がりに書く事で、調整できます。空間をわざわざ作らなくても、両脇が広々としています。

 

  

 「百」と言う文字は、逆三角形に書く事で調和すると思います。ですから、「日」の上の横画よりも下の横画を短く書いています。

 ここでも、「日」などは、縦画に横画が当たります。こうして原則が分かっていると文字と言うのは書きやすくなります。
 

 

 「的」と言う字の偏も「口」とは違い、縦画に偏の最後の横画が当たるようにしました。そうする事によって偏が締まった感じになると思うのですが、気のせいかも知れません。ただ、文字としては偏と旁が上手く調和した文字になったと思っています。
 
 

 「皆」と言う字は、三つの部分を、「白」の最初の画に引っ張られるように書くと調和が取れると思いました。

 「皆」の右側の部分の「ヒ」の収筆をしっかり止める事も、文字を安定させるためには、重要な要素だと思います。

 特に書写体の方は、「ヒ」ではありませんが、同じ部分の右斜め下に引いた線の止めによって、バランスが取れているように思います。

 

 
 一口メモ 

  前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第十四回目です。取り上げるのは、「伸勾しんこう」「屈勾くつこう」「左垂さすい」「右垂うすい」の4つです。

 「伸勾しんこう」、前回も「勾」について、漢字の説明をしましたが、やはり、「勾」の字がありますので、曲げる部分です。この文字の例は「旭」があげられています。この説明には「勾」には二つあり、一つがここで取り上げられている「乙」の形です。もう一つは「弋」の上から徐々に曲げていく形です。この説明にはありませんが、縦画から曲げた線をしっかり上の部分を載せるように伸ばして引く事がポイントだと思います。

 「屈勾くつこう」は、「伸勾しんこう」の逆で縮まった「勾」の形です。しかし、ここで例に上げられている「輝」の偏の部分を説明しているのですが、これは「乙」の形ではなく、はねの形になっています。書写体では、「伸勾しんこう」の形の偏もあります。

 「左垂さすい」の例は旧字体の「弗」をあげていますが、できれば楷書、あるいは書写体が例であれば、良かったと思います。この特徴は、二本並んだ縦画の左側より右側の方がやや長くすると言う事です。

 「右垂うすい」の方は、左側は縦画と言うより左の曲がりのような形の「升」を取り上げて、右側は、垂針のように真直ぐに長く伸ばすとなっています。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

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