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お習字の方は、空手と違い、まだライフワークと言う分けにはいかないので、毎日筆を持って書くのは、少し苦痛に感じる事があります。
しかし、空手を長くやっていると、毎日の練習が積み重なって自分のものになっていく事も、経験しています。
一日一文字でも、書き続ける事が、前に進めてくれます。
空手の場合で言えば、その場突き10回、その場蹴り10回、多分1分もかからないでしょう。お習字の方は、用意して、書いて、それから筆を洗って、と言う作業が入りますので、もう少し時間がかかります。それでも、1文字なら5分もあればなんとかなります。「一日一善」は無理でも、「一日一文字」、「一日10突き」「一日一型」なら、やってみましょう。
さて、今朝も文字を選んで書く事にします。と、その前に東京書道教育会の次の課題が、半切なので、一枚書く事にします。34.8×136.3(cm)ですから、ちょっと集中力がない時は、書けません。
「星河不動天如水風露無聲月満楼」「せいがふどう、てんみずのごとし、ふうろこえなく、つきろうにみつ。」と読みます。漢詩ですが、『天の川は動かないが、天は水のように静かである。風や露には声はなく、月の光はたかどのに満ちている。』(陳安)と言った意味でしょうか。
洗濯ばさみでつるして撮りましたので、綺麗に撮れませんでした。これは、第一回目の練習です。後何枚か書いて、良い物が出来れば、提出する事になります。
さて、いつものように部分の名称から文字を選んで書いて見ます。
前回は、「ひへん・にちへん」「めへん」「しろへん」を取り上げました。
文字は、「早」「明」「春」、「直」「眼」「睦」、「百」「的」「皆」、を楷書で、「明」「直」「皆」を書写体で書きました。
今回は、「たへん」「みみへん」を取り上げました。
文字は、「甲」「画」「番」、「聖」「聞」「職」、を楷書で、「番」「聖」「職」を書写体で書きました。
ここで、東京書道教育会の課題のために書いた半切〔34.8×136.3(cm)〕の写真と、部分の文字の違いを説明しておきます。半切は先述したように、吊り下げて撮り、そのまま画像にしたものを掲載しています。
部分(へん・つくり)の名称の漢字を選んで書いたものは、プリンターでスキャンしたものを、文字の背面を半紙の色の中の一色に変えたものです。したがって、綺麗に文字が見えると思います。
ただ、半紙全面に書くと小さい家庭用のプリンターなので、全部が入りきらないため、半紙のA4部分に書いています。
「たへん」と言うのですね、「にんべん」や「ごんべん」、あるいは「うかんむり」などは聞き覚えがあるのですが、他の旁や偏の名称となると、ここで改めて知る事になっています。
「甲」や「画」と言う字には、確かに「田」があるようですが、「甲」下に、「画」は上に突き抜けています。書き順も「甲」の場合と「田」では違います。
書き順が違うと、文字の出来具合も変わって来ると思います。その辺りを注意して書きました。
「画」の場合は、七画目から折れがあって横画になる、起筆の位置に注意しないと、文字のおさまりが悪くなってしまいます。
「番」の書写体では、楷書の一画目がないのですね。
この文字の注意点は、中心軸を合わせる事だと思って書きました。そして、左払いと右払いの角度に注意すると変化が生まれますが、この角度を間違うと不安定になりますので、手本をよく観察して書きました。
「聖」と言う文字を書いていて、下の文字は「王」では無かったような気がしました。「壬」のように一画目は左払いだったような気がしています。いつの間にか、「王」に変わっていました。
書写体の方は、左払いのように見えましたので、左払いで書きました。
この文字のポイントは「耳」と「口」と「王」又は「壬」のバランスの取り方にあると思っています。
感覚としては、「耳」の五画目の線の方向と口とのバランスにあると思っています。
書写体は、「耳」の一画目が横に長いので、その分口を下目にしています。もちろんこれも手本がそうなっているので、そのように感じて書いたのですが。
「聞」は、書写体が見つかりませんので、この文字は楷書です。
手本を観察した結果「耳」の右の縦画の位置に注意する事にしました。結果は、右側の余白が十分に取れた文字になり、窮屈さが無くなったように思えます。
また、上の「日」と言えるのか分かりませんが、二つの「日」に変化を持たせることと、大きさに注意しました。
「職」は、手本をある程度再現できたと思っています。
自分で何も見ずに書くのとは、雲泥の差があります。結構良い字になったのではないでしょうか。自画自賛です。
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【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.