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お習字から書道へ Section 47

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 東京書道教育会の通信教育を受講して、添削の細かさには感心しています。

 しかし、どうも釈然としない問題もあります。

 手本とは矛盾する添削がある場合には、困ってしまいます。

 前にも、どちらが正しいのか聞くためにメールで質問したのですが、どうも手本と私が思っていることが、ここでは正しいようです。
 そして、違う課題の時に、また同じ指摘を受けました。
 さて、どちらを信じれば良いのでしょう。

 私がこの問題をここに掲載しているのは、通信教育の事でも、お習字の事でもありません。

 私も日本空手道髓心会を主宰する関係で、気を付けなければならないと思うからです。これは、習い事一般に言えることで、指導者が常に心において置くべき事だと思っています。特に指導者は、その団体で正しいと思える事を共有しておかなければなりません。
 
 今は、お習字に対して、その上達の経緯が分ると思い、このブログで紹介していますが、日本空手道髓心会に席を置く指導者は、常にこのブログに書いてある、思想信条・技・型に対する骨組みを理解して、共有してもらいたいと思っています。

 前に書きましたが、指導者ごとに違う事を言われると、習う者は、やる気を削がれます。私が前に通っていた致道館でも、同じような事で愚痴を言う仲間が沢山いました。その頃の指導の仕方は現在のように、口で優しく指導する事など皆無でした。罵声を浴び、時には鉄拳制裁も常でした。愚痴で済めば良いのですが、やる気を無くして、空手を続けて行こうとする気までも無くしてしまい、止めていった人が沢山います。
 
 さて、今朝も文字を選んで書く事にします。

 この文字を選ぶときには、『楷行草筆順・字体字典』から、上手く書けそうな文字と、難しそうだな、と思う文字の二種類の文字を選ぶようにしています。

 前回は、「かたへん」「ゆみへん」を取り上げました。
 文字は、「片」「版」、「引」「弟」「強」、を楷書で、「片」「引」「強」を書写体で書きました。
 今回は、「ひへん」「やへん」を取り上げました。
 文字は、「灯」「燃」「燥」、「知」「短」「矯」、を楷書で、「燃」「知」「矯」を書写体で書きました。
 


「灯」は、「火」が偏になった時の書き方、そして旁の書き出しの位置も、回数を重ねて自分のものにしなければ、分からないと思いました。

 


 「燃」の「火」は二画目が少し「灯」とは違い、縦画から横に出た感じになっています。

 この場合は、偏よりも旁の方が複雑でバランスの取り方が分かりません。何度も書いて覚えるしかないようです。

 


 「燥」は「燃」と同じように片を書いています。しかし、ここでは口が三か所出てきますので、Section 18の一口メモに記載しました、「堆」の結構法の通りに書く事にしました。大きさは一番上、次に右側、最後が左の「口」の順です。
 

 この「知」の文字もペナントの三角形をイメージして書いています。

 割とこのペナントの三角形は、多いかも知れません。ただし、江守賢治先生が書かれた物を手本にした場合です。

 

 

 

 「短」は手本を見ずに書くと、こういう感じには仕上がりません。少し、最後の横画が太かったように思っています。

 

  

 この文字を使う事は、私にはまず無いかも知れません。と、言うより難しくて自分の物に出来そうにありません。

 文字は無数にありますが、ここで取り上げている文字は、その中で常用漢字から選んでいます。
 それでも、私には多すぎて覚えるのが大変です。しかも、上手に書こうと言うのですから、練習以外にはありません。

 

   
 一口メモ 

 前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第二十一回目です。取り上げるのは、「こう」「はい」「」「たん」の4つです。
 そして、「結構八十四法」の紹介は今回で完結する事になります。

 「こう」は、「おんなへん」で書いた「好」と言う文字です。手本としている文字とは、少し趣が違いますが、『偏と旁が調和して向かい合うようにしなければならない。』と書かれていますが、これでは抽象的で納得できる表現ではありません。ただ、『それぞれの字画がぶつかり合う形になってはいけない。』と言うのは、分かります。

 「はい」は、「乳」と言う文字についての説明ですが、ここでも、『脈絡が通じていなければならない。』という表現で書かれていますので、私なりに読解してみます。『偏は字画が多く一つでまとまっていますが、偏の最後の画で左下から右斜め上にはねた筆は紙面を離れますが、動きは止めずに旁の起筆で受けるようにして、縦画に筆を運び、勢いを弛めないよう曲げの部分を通り横画もしっかり長く取ってから上にはねます。』こんな感じで、旁と偏を一体化すると良いのではないでしょうか。

 「」ここでも、「十」の文字を取り上げ、軽薄にならないよう、と書かれていますが、この「軽薄」も文字としてはイメージしにくい表現だと思います。ようするに、字画の少ない文字の場合は、線に太い細いの強弱で変化をつけて、他の文字と合わせた時に、貧弱で浮いてしまわないよう諭しているのだと思います。

 「たん」は「月」の書き方ですが、長めに形を作る事が書かれています。『すらりとみえるように書く。よどみのない運筆で、きちんとめりはりをつける。』と言う、言葉は明瞭ですが、意味がなかなか理解するのに戸惑いができる表現でした。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.

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