『組手考察』....<9/10>
一度思うとその思いに心が留まり、本心(止まらない心=不動智=動かされない知恵)が働かないと続きます。
ただし、修行にも執着するのではないが、道から外れないように心を求めてわが身に返し、その返った心は、一箇所に止めるなと警鐘をならします。
逆説的な言い方ではありますが、止まっているものは、転がる。転がっているものは、すでに転がっているのだから、転がらないという言い方をしています。
過去にも未来にも囚われず瞬間を最大限活き切る。
沢庵和尚が柳生但馬守に伝えたかったのは、この後の文章かも知れませんが、剣術に対する造詣は剣術家以上ではないかと思わせる文章です。
さて、今一度五輪の書(細川家本参照)を見てみましょう
水之巻 2
一 兵法の目付と云事。
目の付やうは、大キに廣く付る目也。
観見二ツの事、
観の目つよく、見の目よハく、
遠キ所を近ク見、ちかき所を遠く見る事、
兵法の専也。
敵の太刀をしり、聊敵の太刀を見ずと云事、
兵法の大事也。工夫有べし。
此目付、ちいさき兵法にも、
大キなる兵法にも、同じ事也。
目の玉うごかずして、
兩わきを見る事、肝要也。
かやうの事、いそがしき時、
俄にはわきまへがたし。
此書付を覚へ、常住此目付になりて、