心
『礼と節』....<10/12>
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空手をはじめたら、どんな人でも強くなりたいと思います。相手を負かしたいと思います。これが、なかなかうまくいきません。場合によっては、コテンパに負けることもあります。

こんなことも思い出にあります。27歳くらいだったと記憶しています。アジア大会の選考会が行われるということで、東京都代表の一人が出場できなくなったので、急きょ出場枠ができ、先生からすぐに東京に来るようにといわれ、その日の夜行バスにのって出かけました。一応東京都の代表2名のうちの一人として出場しました。その当時の選考会には、大会用のドクターもいません。下は、コンクリート。各都道府県から選出された者ばかりですから、そう簡単に勝つことができません。
運よく、何人かに勝ち、最終30人ほどになりました。当たった相手が、東京都のもう一人の代表です。しばらく、動かないで見合っていましたが、辛抱しきれなくなって、攻撃を仕掛けました。
得意の前蹴りを打ち落とされ、軸足が滑り一瞬で床のコンクリートに後頭部を打ちつけ、ノックダウン。しばらく、休憩後、再開しましたが。あとの祭り。

世の中には、強い人がいます。
いやがおうでも、あなどれなくなります。ですから、なんとなく、初対面では下手(したて)に出るようになります。
とても礼節とはいえないですが、すくなくとも虚勢をはって相手と対等であろうとは、思わなくなります。
ところが、しまつの悪いことに、これが先輩であるとか後輩であるとか、年が上であるとか下であるとか、相手との社会的地位などによって、ちょっとでも自分が上であると思うやいなや、相手を見下しにかかります。

空手の世界に多いのは、自分より先輩に対しては対等に、自分より後輩に対して必要以上に虚勢をはり、態度が横柄になる人がいます。いや、空手界だけではないのかも・・・。

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