今日の文字は『花』です。書体は行書です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第百三十九段』を読んで見て、感じた文字です。
原文
現代文を見る
花
今日は花尽くし。写真は「百日紅」、「ひゃくじつこう」とも読むそうです。開花時期は七月中旬から三か月位です。
さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。
徒然草 第百三十九段 〔原文〕
家にありたき木は、松・櫻。松は五葉もよし。花は一重なるよし。八重櫻は奈良の都にのみありけるを、この頃ぞ世に多くなり侍るなる。吉野の花、左近の櫻、皆一重にてこそあれ。八重櫻は異樣のものなり。いとこちたくねぢけたり。植ゑずともありなん。遲櫻、またすさまじ。蟲のつきたるもむつかし。梅は白き、うす紅梅。一重なるが疾く咲きたるも、重なりたる紅梅の匂ひめでたきも、みなをかし。おそき梅は、櫻に咲き合ひて、おぼえ劣り、けおされて、枝に萎みつきたる、心憂し。「一重なるがまづ咲きて散りたるは、心疾く、をかし」とて、京極入道中納言は、なほ一重梅をなむ軒近く植ゑられたりける。京極の屋の南むきに、今も二本はべるめり。柳、またをかし。卯月ばかりの若楓、すべて萬の花・紅葉にも優りてめでたきものなり。橘・桂、何れも木は物古り、大きなる、よし。
草は山吹・藤・杜若・撫子。池には蓮。秋の草は荻・薄・桔梗・女郎花・藤袴・しをに・吾木香・刈萱・龍膽・菊・黄菊も・蔦・葛・朝顔、いづれもいと高からず、さゝやかなる、垣に繁からぬ、よし。この外の、世にまれなるおの、唐めきたる名の聞きにくく、花も見なれぬなど、いとなつかしからず。
大かた、何も珍しくありがたきものは、よからぬ人のもて興ずるものなり。さやうの物、なくてありなん。