中学校で習う漢字三体字典 Part62

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

306. [][コウ][カン][画数:5画][部首:田]

『蟹は羅に似せて穴を掘る』

 面白い譬えですね。蟹と人間の考えを同一視するのはどうかと思いますが、当たらずとも遠からずと言うべきか。
 確かに人は分相応に物事を考え行おうとしますが、これに反して、自分の分を知らない事で不幸を招く事になります。
 そして、残念ながら、私の知る限りでは、分相応に生活している人は少ないような気がしています。
 殆どは勘違いしながら、あるいは我慢しながら、自分の思うように行かず、不平不満を抱えて齢を重ねているように思います。

楷書 行書 草書

307. [][コウ][え][画数:6画][部首:水]

渭樹いじゅこううん

 「渭水の北の地にいる杜甫が、長江にいる李白を思って詩を作ったということから。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】が由来とされている四字熟語です。
 杜甫も李白も詩人ですから、ロマンチックな風景を想像します。しかし、彼らの歳は。11歳の差がありますから、先輩後輩の関係でしょうか。

 それでも、歳の差があっても気が合う友人はできるものです。もしかしたら、お互いに才能を評価していたのかも知れません。また同じ詩人としてライバル関係にあったのでしょう。
 そんな二人が遠く離れて生活をしている時に、やはり気の合う人は少ないですから、ふと一緒にいた時を思い出したのでしょう。
 人間は誰しも思い出はあると思います。ふと昔を懐かしく思う気持ちは詩人と変わりありません。ただ、詩にできるかどうかです。

楷書 行書 草書

308. [][コウ][画数:7画][部首:土]

焚書ふんしょこうじゅ

 時の為政者、あるいは主義、思想によって、今でも言論や思想、また学問などを規制されている国を知る事ができます。
 その点、日本では信教の自由、学問の自由、表現の自由、言論の自由など他にも自由に対して憲法で保障されています。
 この四字熟語は、書物を焼いたり、穴に生き埋めにしたりする様子を表わした言葉だと言う事ですが、日本でも過去にはそんな歴史がありました。
 人間は社会を形成する事で成り立ってきました。そこまで排他的になる必要があるのでしょうか。
 勝手な思いかもしれませんが、政治を司る人達の傲慢さからくるのではないかと思います。それともあまりにも主義主張が強すぎるのかも知れません。
 ただ、日本が報道の自由度で、国境なき記者団のランキングが72位や、別のフリーダムハウスのランキングでも33位とされているのには、少し驚かされます。ちなみに、どちらの調査にも当てはまる国は179か国だそうです。
 これを信じるとすれば、もっと自由な国がありそうです。ただし、これを良しとするのは国民の自由かも知れません。

楷書 行書 草書

309. [][コウ][画数:7画][部首:手]

拒不承こうきょふしょう

 絶対に受け入れられない要求などを拒否する場合に使う言葉でしょう。
 余りにも自分勝手な要求や依頼に対しては、断固拒否する必要がある場合があると思います。
 それでも、その要求を受け入れなければならない場合があります。
 今ではハラスメントと言う言葉に代表されるような横暴な申し出を、法律でなんとかカバーしようとしていますが、やはり権力に従わざるを得ない場合も出てきます。
 背景に力がある場合には、この力に対抗する事ができるような力が、必要なのかも知れません。

楷書 行書 草書

310. [][コウ][せ-める][画数:7画][部首:攴]

墨守しゅこうぼくしゅ

 当然戦いは知恵を絞っての事だと思います。この四字熟語は、「宋を攻めようとしていた楚の公輸盤を墨子が机上の仮説で守り抜き、それを見て感嘆した楚王は、宋を攻めないことを誓ったという故事から。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】と由来が書かれています。ここに登場する輸は、公輸盤の人名で、墨は墨子と言う人のことです。
 実際の戦いの中で、机上論が功を奏することもあるのですね。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の306.~310.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【甲】田部(でんぶ)・た・たへん
  2. 【江】水部(すいぶ)・みず・さんずい・したみず
  3. 【坑】土部(どぶ)・つち・つちへん
  4. 【抗】手部(しゅぶ)・て・てへん
  5. 【攻】攴部(ぼくぶ)・ぼくづくり・ぼくにょう・のぶん・しぶん・とまた

 ・・・・つづく。