中学校で習う漢字三体字典 Part58

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

286. [][ゲン][つる][画数:8画][部首:弓]

『伯牙絶

 今年も同い年の友人が先に逝ってしまいました。去年も随分仲の良かった人が亡くなりました。毎年これからも増えて行くのでしょう。
 まあ、その内私もその仲間に入るのでしょうが、若いうちに親友を亡くすと、ぽっかりと心に隙間ができるようです。
 この四字熟語は、「琴の名手である伯牙は、自分の一番の理解者であり、親友だった鐘子期が亡くなり、自分の琴を理解してくれる人はもういないといい、琴の弦を切って、二度と弾くことはなかったという故事から。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 確かにそんな気分にもなりますが、自分はまだ生きているという気持ちにならなければだめだと思います。
 天命を全うするまで、命の尽きるまでは、前を向いて歩きたいものです。

楷書 行書 草書

287. [][ゲン][画数:11画][部首:舟]

窓』

 特に意味のある言葉でもないのですが、私にとっては初めての経験だったので今でもよく覚えています。
 この舷窓は、船の横っ腹にある小さな丸い窓の事だと思います。
 18歳の時にソビエト社会主義共和国連邦を訪れた時に、横浜からナホトカまで船に乗りました。横浜・ナホトカ間の所要時間は、52時間、2泊3日を要した船旅で、船の名前はバイカル号と父が撮った写真に書いてありました。
 ちょうど岩手県沖を船が航行した時に、三陸海岸の為か嵐にあったのか記憶にありませんが、船室にいた私は、この舷窓から、空が見えたと思った瞬間海の中が見え、その繰り返しが随分長く続いたと思います。
 船室を出て、何と言う名前の場所か忘れましたが、いわゆる食堂に行きつきました。テーブルにしがみついてる老夫婦が、そのままの形で滑って片側に押しやられていました。それほど船が海の上で木の葉のようになっていたのでしょう。
 バイカル号は、総トン数5.230トン、全長122.15m、幅16mですが、私にとっては大きな船でした。その船がまるでおもちゃの船のように荒波に揉まれていたのです。
 ほとんどの人が、船酔いで大変だったことも思い出の一つです。私も最後の方は酔いそうだったのですが、廊下をずっと走って酔わないようにしていた事も記憶にあります。
 今では懐かしい思い出の一つです。

楷書 行書 草書

288. [][コ][また][画数:8画][部首:肉]

懸頭刺けんとうしこ

 何もそんなにまでして勉強しなくても、と思います。
 「中国の漢の時代の楚の孫敬は、勉強をしているときに眠らないように、天井から下げた縄を首にかけて眠るとしまるようにして勉強し続けたという故事と、中国の戦国時代の蘇秦が眠くなるとももを錐で刺して、眠気を覚ましながら勉強したという二つの故事から。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 ただ、似たような事をした事はあります。学生の時ですが、天井から包丁を吊るして寝ていた事がありました。
 多分何かの剣客の話を読んだのでしょう。まったく何の効果もありませんでした。

楷書 行書 草書

289. [][コ][とら][画数:8画][部首:虍]

ここうを逃れて竜穴に入る』

 「一難去ってまた一難」と同じ意味だと思います。悪い事は重なると言います。しかし、これも窮地に追い込まれて判断力が低下しての事でしょう。いわゆるパニック状態だと思います。
 窮地に立たされた時に、如何に普段と変わらない精神状態になれるかも、武道を志す人は常日頃から修行しておく必要がありそうです。

楷書 行書 草書

290. [][コ][画数:9画][部首:子]

掌鳴らし難し』

 人間は社会的な動物ですから、一人で生きて行く事はできないのでしょう。この諺は、片方の手の平で拍手はできない譬えです。
 しかし、禅問答の中に「両手をうてば声がするが、隻手せきしゅには何の音があるか」と言う公案があります。白隠禅師が創作したとされていますが、さてどのように答えれば良いのでしょうか。これは最初の関門とされています。
 白隠禅師は、疑団がなければ悟る事ができないと感じ、この公案を作ったそうです。
 疑団とは、心の中にわだかまっている疑いの気持ちですから、これをまず起こしてからが修行だと言う事ですね。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の286.~290.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【弦】弓部(きゅうぶ)・ゆみ・ゆみへん
  2. 【舷】舟部(しゅうぶ)・ふね・ふねへん
  3. 【股】肉部(にくぶ)・ニク・にくづき
  4. 【虎】虍部(こぶ)・とらかんむり・とらがしら
  5. 【孤】子部(しぶ)・こ・こへん・こども・こどもへん

 ・・・・つづく。