中学校で習う漢字三体字典 Part46

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

226. [][キン][画数:15画][部首:糸]

褌一番きんこんいちばん

 意味は「ふんどしを締め直す」でしょう。四文字熟語にするとふんどしも格調高く、・・・ならないですよね。
 最近は男女平等のせいか、「帯を締め直す」と言う人もいるようですが、取りあえず、まだ「帯」ではなく「ふんどし」が正解だと思います。
 類語に「心機一転」とありますが、似て非なるものがあるような気がします。

楷書 行書 草書

227. [][キン][にしき][画数:16画][部首:金]

『今日の襤褸つづれ明日の

 襤褸つづれと言うのは、「ぼろ」と読めます。「ボロ雑巾」の「ボロ」を漢字にすると「襤褸」になります。なんともまあ、難しい漢字ですね。
 水前寺清子さんの歌詞の中に「ボロは着てても心は錦」と言うのがありました。
 しかし、この言葉は、地位や賃金に恵まれない時代に、きっと将来は出世しようと、努力を積み重ねている時に言うのだと思います。
 人間は諦めてしまうと、どんどんと惨めになってしまいます。心意気だけでも先を見つめて努力したいものです。

楷書 行書 草書

228. [][キン][つつし-む][画数:17画][部首:言]

『大行は細を顧みず』

 これは、「史記」にある言葉ですが、続きがあります。「大礼は小譲を辞せず」ですが、まず最初の言葉は、大きな事を成そうとする者は、小さな事に拘ったり、いつまでも失敗をくよくよしない。そんな意味だと思います。続いて、大切な礼節さえ行えていれば、小さな謙遜などしなくてもよい。そんな意味に捉えられます。
 確かに急を要する時に、小さな礼儀や謙遜などは意に介さない方が大切です。それより、その急で大切な事を済ます必要があります。
 また、大きな事を成そうとした時には、小さなことに拘っていては機を逸する事にもなりかねません。まずは大きな事、目標に向かってまっしぐらに進む事を、考えるべきだと思います。
 小さな礼儀や謙譲あるいは謙遜などは、事態が解消されてからいくらでも取り戻す事が出来ると思います。
 しかし、その小さなことや相手に対する礼儀などが、本質を駄目にしてしまうようであれば、一考の余地があるのかも知れません。

楷書 行書 草書

229. [][キン][えり][画数:18画][部首:衣]

『胸秀麗』

 「正しく立派な考えや心構えを持っていること」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 最近、これが正しいと言える事が少なくなりました。あまりにも価値観が多様化しすぎたのでしょうか。時代の流れでしょうね。
 それでも、ぼやっとですが、立派な人は想像できます。しかし、その立派な人も少なくなったと感じるのは、やはり歳のせいかも知れません。
 人間は2:6:2で構成されると言われています。上の2がこんな胸襟秀麗に相応しい人であれば、世の中も安寧で過ごし易いのかも知れません。
 組織でも、上に立ちたい人ではなく、その地位に相応しい人が成れば良いのですが、どうも最近のニュースを見ていると違うようです。

楷書 行書 草書

230. [][ギン][画数:7画][部首:口]

無病呻むびょうしんぎん

 確かに世の中には、大げさに言ったり、大げさな素振りで、さも重大な事のように振舞う人がいます。
 この言葉は、病気でも無いのに病気の真似をして、人の気を引いたり、人の助けを求めたりする人、いわゆる詐病と言うのですか、つい騙されてしまいます。
 しかし、自分では騙すつもりも、大げさに振舞っているつもりは無くても、そんな人もいます。性格なのでしょうか。
 なんでも程ほどにしておかないと、オオカミ少年のように信用を無くしてしまいます。
 しかし、人に理解してもらえない病気もあります。そんな症状を訴えるには、地道な努力が必要なのかも知れません。また、お医者さんも、そんな解明されていない病気もある事を真摯に受け止め、研究してもらえればありがたいですね。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の226.~230.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【緊】糸部(べきぶ)・いと・いとへん
  2. 【錦】金部(きんぶ)・かね・かねへん
  3. 【謹】言部(げんぶ)・ことば・ゲン・ごんべん
  4. 【襟】衣部(いぶ)・ころも・ころもへん
  5. 【吟】口部(こうぶ)・くち・くちへん

 ・・・・つづく。