中学校で習う漢字三体字典 Part44

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

216. [響][キョウ][ひび-く][画数:20画][部首:音]

『打てば響く』

 誰にでもそんな機転が効けばいいんですが、そんなわけにも行きません。
 しかし、そんな関係の人と仕事が出来れば、きっとスムーズに事が運ぶと思います。
 価値観がどんどん多様化する中で、価値観を共有できる人と出会えれば、それだけでも幸せな人生だと思います。
 今東光氏の「悪名」では、主人公の八尾の朝吉と弟分のモートルの貞が、そんな関係だったと思います。
 モートルの貞は、早々と死んでしまうのですが、弟の清次のセリフに「梅にうぐいす、松に鶴、朝吉に清次ちゅうたらツキもんでんがな」がありますが、ふと思い出しました。

楷書 行書 草書

217. [][キョウ][おどろ-く][おどろ-かす][画数:22画][部首:馬]

『草を打って蛇をかす』

 この諺の出所は『書言故事』だそうですが、要するに「藪蛇」と言う事です。蛇を驚かせるつもりはなく、草むらを叩いたら、蛇がびっくりしたのでしょう。
 すこし、藪蛇とニュアンスが違う部分があるのは、藪蛇の結果は余計な事に繋がりますが、この場合は一挙両得のような感じです。
 結果的に大きな獲物を得た、そんな感じでしょう。

楷書 行書 草書

218. [][ギョウ][(コウ)][あお-ぐ][おお-せ][画数:6画][部首:人]

『天をいでつばきす』

 まあ、実際やって見ると、一目瞭然です。唾は自分にかかります。
 別に唾の話ではなく、人を騙したり人を陥れて危害を加えようとしたら、結局自分に帰って来る、そんな意味で使います。
 使い方をよく間違うのは、「天」を上司とか、自分より権力を持っている人に対して言うのは違います。
 「天」はあくまでも「天網恢恢疎てんもうかいかいそにして漏らさず」の「天」であり、世の中の習わしと解した方が良いのではないかと思います。

楷書 行書 草書

219. [][ギョウ][あかつき][画数:12画][部首:日]

『男は二十五のまで育つ』

 この言葉はいつ出来たのでしょう。少なくとも現在では無いとしましょう。
 仮に「敦盛」に謡われた「人間五十年下天の内をくらぶれば夢幻の如くなり」の時代だとしたら、現在ではもっと後になるかも知れません。
 男性の平均寿命が80歳を超えた現在では、40歳程度まで成長すると考えても可笑しくは無いかも知れません。
 ただ、この謡にある五十年は平均寿命の事では無く、人生の短さを言っているのだとか。ちなみに、「下天」の一昼夜が、人間世界の一日にあたるそうです。

楷書 行書 草書

220. [][ギョウ][こ-る][こ-らす][画数:16画][部首:冫]

っては思案に余る』

 あまり考えすぎるのも良くない、という警鐘の言葉ですね。また熱中しすぎると、冷静な判断ができなくなる事もままあります。
 私はよく人に言うのは、考えると言うのは自分が知っている事だけで、物事を判断しようとしているか、答えを導きだそうとしているので、堂々巡りになる事が多いと。
 ですから、KJ法など問題解決の手法では、ブレーンストミングと言う方法で意見を出し合います。これも余り沢山の人ではなく少人数が良いとされています。
 もし、その思案が問題解決の為なら、一人で考えすぎない方が良いと思います。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の216.~220.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【響】音部(おんぶ)・おと・おとへん
  2. 【驚】馬部(ばぶ)・うま・うまへん
  3. 【仰】人部(じんぶ)・ひと・にんべん・ひとがしら・ひとやね
  4. 【暁】日部(にちぶ)・ひ・にち・ひへん・にちへん
  5. 【凝】冫部(ひょうぶ)・にすい

 ・・・・つづく。