中学校で習う漢字三体字典 Part36

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

176. [][キ][画数:18画][部首:馬]

『一当千』

 『一旦事ある場合、自ら正しいと信じたら千萬人の反對をも押切り、如何なる困難でも辭せぬと云ふ意氣がなければいけない。』また『空手を學ぶ者は常に内に謙譲の心を養ひ、外に温和の態度を忘れてはならぬ。而も一旦義を見て立てば千萬人を敵とするも恐れぬ勇氣がなければならぬ。』【出典:富名腰義珍著 空手道教範 廣文堂書店.】、この言葉以外にも、大義があれば相手が一千万人でも屈しない心がなければならない。そんな意味の言葉を幼いころから正しいと信じて生きて来たと思います。
 この『一騎当千』ほどの強さは無いと思っていますが、その覚悟はしているつもりです。
 今ではその面影も無くなってしまいましたが、足手まといになるかも知れませんが、その気持ちだけはいつまでも持っていたいと思っています。

楷書 行書 草書

177. [][ギ][画数:8画][部首:宀]

『礼はよろしきに随うべし 令は俗に従うべし』

 礼儀は、社会生活を営む上で無くてはならないものだと思います。
 髓心会のホームページ『礼と節』にも書いていますが、《社会の秩序を保ち、他人との交際を全うするために、人としてふみ行うべき作法。》、社会の秩序を保つためのものですから、礼儀作法に拘り過ぎて、秩序や人との交際を壊しては、元も子もありません。当然この言葉のように、「宜しきに随う」ことが重要だと思います。
 また、法令などはその土地にあっている事が大切です。でなければ絵に描いた餅のように、役に立たないものになるでしょう。

楷書 行書 草書

178. [][ギ][いつわ-る][にせ][画数:11画][部首:人]

詐謀さぼうぎけい

 戦争だけの策略ではなく、通常の経済活動でもこのような相手を騙して有利に進めようとする動きがあります。
 ただ、騙されている事が解かるような策謀については、愚策と言わざるを得ません。反って反発を買って、窮地に立たされる事になります
 人間と言うのはいつまで経っても愚かな動物だと思います。戦ったり争ったりして経済を豊かにしても、どこかの地域、どこかの国がある時期に豊かになるだけの事です。
 もっと知恵を働かす事ができれば、地球上の全ての生き物が、豊かに暮らせる世界を作る事も可能ではないかと、ふと思います。

楷書 行書 草書

179. [][ギ][あざむ-く][画数:12画][部首:欠]

『英雄人をく』

 人を欺いていては英雄になれないと思いますが、その言動は近いものがあるかも知れません。
 まず、普通の考え、普通の言動では、普通の人に終わってしまいます。
 普通の人から見て、ちょっと理解に苦しむような考え方や言動があっても不思議な事ではないと思っています。
 ですから、歴史上の人物で英雄と言われている人には、すこし普通の人間からみて変わった事を言い、そして行う人に見えるのかも知れません。

楷書 行書 草書

180. [][ギ][画数:15画][部首:人]

『礼も事による』

 このページにも『礼はよろしきに随うべし 令は俗に従うべし』と諺を書きましたが、正にTPOが伴っていなければ、礼儀とは呼べません。
 作法や仕来りは、世の中が上手く運ぶために、人間が考え出した知恵です。
 この言葉のように、礼儀が後回しになったり、時にはその礼儀が非礼や無礼になる場合もあります。
 まして、その礼儀が人を苦しめたり、人との交際を壊す原因になる事など、望んで作られたわけでもありません。
 若い頃は礼儀を教わると、如何にもそれが正しい振る舞いだと固執してしまい、排他的になっていた事があります。
 しかし、それはあくまでも小さな社会での決まりであり、万人に通用するものではありません。ですから人に強要するなんて、とんでもない事に気が付いたことがあります。
 一つの礼ですが、私が通った致道館では、帯は座って結び、解く時にも同じように正座します。これは、私から見ると美しい作法だと思います。ですから髓心会においてもこれを継承しています。
 しかし、一般に浸透している分けでは無いので、空手は言うに及ばず、柔道でも試合の最中に帯がほどけると、みんな立って直しているのを見かけます。
 初めの内はかなり違和感を感じましたが、他の人に強要すべきものではないと思っています。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の176.~180.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【騎】馬部(ばぶ)・うま・うまへん
  2. 【宜】宀部(べんぶ)・うかんむり
  3. 【偽】人部(じんぶ)・ひと・にんべん・ひとがしら・ひとやね
  4. 【欺】欠部(けんぶ)・あくび・かける
  5. 【儀】人部(じんぶ)・ひと・にんべん・ひとがしら・ひとやね

 ・・・・つづく。