中学校で習う漢字三体字典 Part30

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

146. [][カン][すす-める][画数:13画][部首:力]

学院の雀は蒙求もうぎゅうさえずる』

 蒙求もうぎゅうは、唐の時代の歴史教訓書。勧学院とは平安時代の学校です。その勧学院の雀はいつも聞いているので、歴史教訓書を囀る、と言った譬えです。
 「門前の小僧、習わぬ経を読む」と言う事もありますから、確かに正式に習わなくても身につく事があります。
 私も時計屋の息子として生まれ、幼いころから時計屋の道具に馴れていましたから、正式に時計屋に就職(親の店ですが)、して一週間で腕時計の分解掃除が出来るようになりました。
 大工仕事も、大工さんの道具の使い方を見て、身に付けたと思います。これは不動産業をしている時に、大いに役立ったものです。
 ですから、空手道でも「見取り稽古」の大切さを、よく言います。
 書道では、初心の内は見る事と書く事が一体になって初めて手本を観察する事ができると思っています。そして、いつか手本が無くても、自分の文字が書けるようにしたいと、日夜頑張っている所です。

楷書 行書 草書

147. [][カン][画数:13画][部首:宀]

内深がいかんないしん

 「見た目は大らかに見えるが、心は厳しく、無慈悲なこと。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 この説明を読んで、矛盾している所が気にかかります。
 厳しさと無慈悲は、繋がる場合もありますが、繋がらない場合もあると思います。
 ただ、外見上で判断をして良い人と先入観をもつと、思わぬ時に裏切られた思いをする事もあります。
 しかし、これはあくまでも自分本位の考え方で、厳しくあろうと、無慈悲であろうと、それはその人の事であって、自分は自分らしく生きれば良いと思います。
 何度もこのブログに書いていますが「自灯明」が正に生き方として、揺らぎの無いものだと思っています。
 もし、この言葉が他人からの、自分への評価だとしたら、変える必要があると思います。
 「自灯明」と言うのは決して自分だけしか頼れるものはいないと世間から背を向ける、そんな意味では無いと思っています。
 人のせいにして生きるよりも自分自身を頼りにすれば、人を恨む事も、人と比べる事も必要なくなるという事だと思います。

楷書 行書 草書

148. [][カン][画数:15画][部首:欠]

『悲離合』

 小学校の時、きっといつまでも続くと思っていた友情も、中学校の時、永遠と思っていた恋心、高校の時の楽しかった出来事、そして大学生の時に味わったほろ苦い思い、どれもこれも淡い思い出に変わってしまいました。
 その時々に出会いがあり、また別れがありました。その度に胸を締め付けられるような思い、甘酸っぱさを感じて大人になって行ったと思います。
 誰もが、体験し経験してきた事が、今の自分を作ったのでしょう。
 もうそんな体験は無いのかも知れません。それでも出会いと別れは一生ついて回るのでしょう。

楷書 行書 草書

149. [][カン][画数:15画][部首:皿]

理』

 仕事をしている時に、「さらかん」と教えてもらった事があります。
 この言葉はその「さらかん」に当たります。なぜそんな言葉で表されるのかと言うと、「管理」と言う言葉と誤解しないためです。
 ちなみに「監理」は、決められたことを守られているか確認する事です。そして「管理」は、決められたように仕事がなされるようにする事です。
 どちらも、決められたことを、決められたようになされているか、見守る役目ですが、監理は取り締まりであり規制に当たると思います。
 それに対して管理は、取り締まりを受けても大丈夫なように仕事をさせる側になると思います。
 これは、私の体験上の解釈ですから、辞書の見解とは違うかも知れません。
 ただ、私は「管理」と「監視」は違うと、会社にいる頃は、言い続けてきました。

楷書 行書 草書

150. [][カン][ゆる-い][ゆる-やか][ゆる-む][ゆる-める][画数:15画][部首:糸]

急自在』

 どんな事をするにも、緩急が大切と言われます。例えば空手道においても、書道においてもです。
 しかし、この二つに限らず、人間のする事には緩急が無くてはならないと思います。
 その理由は、人間の持続性にあると思っています。いわゆる筋力においても持久力と言うものがあります。そして人間が集中していられる時間は15分が限界と言われています。
 ですから、最高のパフォーマンスを出すためにも、休むときと発揮する時の、筋力の使い方、あるいは気の入れ方を工夫しなければならないと思います。
 自分に合った工夫が出来る事を、緩急自在と言います。
 どんなに鍛錬をしている人でも、いつも最高のパフォーマンスが出来る分けでは無いでしょう。
 例えば、僅か1分程度の空手道の型をする場合でも、緩急が必要です。しかし、この緩急の緩が相手に悟られたら緩急自在とは言えないと思います。
 ただし、これが書道の場合になると、すこし変わってくると思います。緩急の軌跡が紙面に現れます。
 また、仕事などにおいては、息抜きも一つの緩でしょう。いわゆるガス抜きと言われるものです。
 最高の状態を発揮するために、緩急自在になりたいものです。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の146.~150.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【勧】力部(りょくぶ)・ちから
  2. 【寛】宀部(べんぶ)・うかんむり
  3. 【歓】欠部(けんぶ)・あくび・かける
  4. 【監】皿部(べいぶ)・さら
  5. 【緩】糸部(べきぶ)・いと・いとへん

 ・・・・つづく。