中学校で習う漢字三体字典 Part28

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

136. [][カン][画数:11画][部首:力]

百舌もずかんじょう

 「自分はあまり金を出さず、他の人にばかり出させようとすること。」【出典:大辞林第三版 三省堂.】。
 確かにそんな人もいましたね。しかし、お金を出すか出さないかは、その時の上下関係もありますから、一概には言えません。
 私は、一度大きな失敗をして今でも思い出すと赤面する事があります。
 三つのグループで食事をした時です。一つは日本アミューズメント株式会社の社長、もう一つのグループは私の友人で、金型の会社の社長、そして私でした。
 さて、食事が終わって勘定をする時に、二人がお金を出すのを譲り合って、なかなか埒があかないので、私が勘定を済ませてしまった事がありました。

 私も一応会社の社長でしたが、ごく小さな不動産会社です。私がしゃしゃりでる場面ではなかったのです。今でも後悔しています。
 お金を出すと言うのは、色々な背景があり、そんな事情も解さなかったのかと思います。

楷書 行書 草書

137. [][カン][わずら-う][画数:11画][部首:心]

養虎ようこうれい』

 虎のような怖い獣を飼っているといつ自分に襲い掛かって来るかわからない。そんな意味だと思うのですが、そこから、心配の種を残して置くと将来敵になるかも知れない、そんな憂いを言うのでしょう。
 元は「史記」項羽本紀の「今てて撃たずんば、これ所謂虎を養いて患いを遺すなり」と言うもので、日本の歴史でも、親類縁者全て根絶やしにするような事もあったと記録されています。
 いわゆる禍根を残す事になるので、そういう気持ちは分かるような気がします。しかし、当の本人以外の人は、その時には寝耳に水だったかも知れません。とばっちりを受けた人は可哀そうなものですね。まして、子供まで惨殺すると言うのは、人間と言うのは愚かで、恐ろしい生き物だと思います。
 初めの解釈にもどりますが、昔私の家には、五月雨葵さみだれあおいという日本刀がありました。私も小さい頃には、庭でよく素振りをした事があります。誤って、梅の木の枝を切り落としてしまった事もありました。
 いつのまにか、その刀が無くなっていたのですが、父の友人の元警察官だった人が、そんなものを持っていると、何かの時に人を斬るかも知れない、早く始末してしまった方が良いと言われ、手放したらしいです。

楷書 行書 草書

138. [][カン][つらぬ-く][画数:11画][部首:貝]

『思案の案の字が百する』

 「百貫する」と言う言い方が、今では解りにくいので、「価値がある」と書き換えた方が解るかも知れません。
 「案」と言う文字は、考える事ですから、物事をする前にしっかり慎重に考える事に価値がある、と言う意味だと思います。
 そういえば、私が育った環境では、よく「百」の文字を使った言葉があったと記憶しています。例えば、百万長者、百貫デブなどです。
 百貫デブは今でも375kgですから、小錦でも最高で285kgと記録されています。やっぱり太り過ぎでしょう。
 ただ、百万円持っていても、長者では無くなってしまいました。

楷書 行書 草書

139. [][カン][画数:12画][部首:口]

指差しさかんこ

 よく見かけるのは駅のホームで、駅員さんが指差して確認している姿です。
 危険が予測される仕事では、概ねこのように指を差して、確認する習慣が徹底されています。ただし、日本では。
 ただこれも、慣れてしまい、惰性でやると、指を差しても確認できず、声をだしても目からの情報が頭に入らない場合も出てきます。
 初めは、関係のない人の前でやる事に躊躇して、何のための指差喚呼か分からない場合があります。そして、恥ずかしさが無くなって、長年やっていると、惰性になってしまう事もあるでしょう。
 事故を防ぐためには、もう少し進んだ方法が考えだされると良いですね。
 このルールが出来たのが明治の末だと言う事なのですが、やはり時代に合わせて変えても良さそうです。

楷書 行書 草書

140. [][カン][た-える][画数:12画][部首:土]

忍は一生の宝』

 特に現在の日本のような法治国家において、「ならぬ堪忍するが堪忍」だと思います。
 堪忍袋の緒が切れそうになる場合は、毎日のようにあると思います。しかし、自分の人生の将来を考えたら、するが堪忍だと思います。
 もちろん、良い人ばかりではありませんから、その堪忍を上手く利用してくる人も多く見られます。その手に乗せられない事が重要な処世術かも知れません。
 若い頃はそんな事もお構いなしでしたから、ほんの少し間違っていたら、と思うと冷や汗が流れます。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の136.~140.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【勘】力部(りょくぶ)・ちから
  2. 【患】心部(しんぶ)・こころ・りっしんべん・したごころ
  3. 【貫】貝部(ばいぶ)・かい・かいへん・こがい
  4. 【喚】口部(こうぶ)・くち・くちへん
  5. 【堪】土部(どぶ)・つち・つちへん

 ・・・・つづく。