中学校で習う漢字三体字典 Part26

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

126. [][かま][画数:10画][部首:金]

之養さんぷのよう

 『荘子』の「寓言ぐうげん」にあるようです。ただ、元になった話は、中国の春秋時代、孔子の弟子の曾子が僅かな生活費から親を養っていたのですが、給料が上がった頃には親は亡くなっていたという事でこの言葉が諺になったようです。【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 私も同じように親に仕送りをしていた時期があります。しかし、母がその全てを貯金していて、一円も手を付けないで置いていました。
 親孝行なのか、子を思う親の心なのか。迷う所ですが、親が子を思う気持ちには勝る事ができなかったと感じています。

楷書 行書 草書

127. [][かま][画数:18画][部首:金]

をかける』

 色々な説があるようですが、鎌の形状から引っ掛けてこちらに寄せる所から、この言葉があるように思います。
 こちらが意図する内容を、自分から喋らせるように仕向ける場合、言葉巧みに誘う方法ですね。
 ドラマでも裁判の場面で、「今のは誘導尋問です」。などと言うセリフを聞きますが、普通の生活の場面でも、上手く相手を誘導して聞きだす人がいます。
 これが何でもない事であれば問題は無いのですが、犯罪に関わる事や、会社の大切な情報が、自分の知らない間に喋らされていたら目も当てられません。
 「人の口に戸は立てられぬ」と言いますから、ご用心。

楷書 行書 草書

128. [][か-る][画数:4画][部首:刀]

かるかや

 どうも見た事のある漢字だと思ったのですが、高野山に刈萱堂かるかやどうと言うのがあった事を思い出しました。
 高野山は結構縁があって、高校の時には高野山の山奥の庵で空手の稽古をしていましたし、道場を開いてからしばらくは冬の合宿で宿坊を根城にしていました。
 その宿坊から奥の院に行くまでに、刈萱堂がありました。
 刈萱堂に興味もありませんでしたから、ただ名前が記憶にあるだけです。
 この刈萱堂は、刈萱道心と石童丸の物語で名高いお堂だそうです。その物語は説経節、浄瑠璃、歌舞伎、読本などで作品化されて、日本人なら誰でも知っていると言われていますが、私は知りませんでした。一応生粋の日本人ですが。

楷書 行書 草書

129. [][カン][あま-い][あま-える][あま-やかす][画数:5画][部首:甘]

言蜜語』

 普通に使う言葉としては、歯の浮くようなゴマすりの言葉、と思うとピンと来るかも知れません。
 「気をつけよう 甘い言葉と暗い道」こんな標語がありました。
 どうも、気を付けていても、自分に都合の良い言葉には、心が動いてしまうようです。
 私はお世辞やご機嫌取りの浮いた言葉は、生理的にも受け付けないのですが、それでも言葉巧みな人にかかっては、術中に嵌ってしまうかも知れません。

楷書 行書 草書

130. [][カン][あせ][画数:6画][部首:水]

綸言りんげんの如し』

 現象としては、「覆水盆に返らず」と同じで、汗も出てしまうと元の身体には戻りません。
 綸言とは「天子・天皇のことば。みことのり。」【出典:大辞林第三版 三省堂.】とありますから、人を束ねている上に立つ者が一度口に出すと、取り消す事が容易ではない事を意味しています。
 ただ、前にも「朝令暮改」の言葉でも書きましたが、確かに信用を無くすことが多いと思うのですが、世の中の動きに敏感である場合は、上に立つ者は決断しないとならない場合があります。
 そんな時は、勇気を奮って前言を撤回するべきです。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の126.~130.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【釜】金部(きんぶ)・かね・かねへん
  2. 【鎌】金部(きんぶ)・かね・かねへん
  3. 【刈】刀部(とうぶ)・かたな・りっとう
  4. 【甘】甘部(かんぶ)・あまい・カン
  5. 【汗】水部(すいぶ)・みず・さんずい・したみず

 ・・・・つづく。