中学校で習う漢字三体字典 Part19

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

91. [][カイ][かたまり][画数:13画][部首:土]

『雨を破らず 風枝を鳴らさず』

 「世の中が大平であることのたとえ。周公が中国を統治していた頃は天下泰平で、雨は静かに降って土のかたまりを壊さず、風は木の枝も動かないように静かに吹いたという故事から。」【出典:ことわざ辞典ONLINE.】。
 この説明を聞いて、「そんなアホな」と思ったのですが、譬えとしておきましょう。
 如何に天下泰平でも、雨は静かに降る時もあれば、荒れ狂うように地面を叩きつけるように降る時もあります。風もそよそよと吹くだけではありません。暴風雨が吹き荒れても、天下泰平と言われる世の中もあります。確かに近年の台風や地震のように災害もありますが、それは、政治のせいではないと思います。
 ただ、政治がもっと災害の予防に力を入れれば、少ない被害で済むかも知れません。

楷書 行書 草書

92. [][カイ][画数:13画][部首:木]

書』

 文字の書き方には、篆書てんしょ隷書れいしょ・草書・行書・楷書などがあります。その楷書は一番最後に出来た文字の書き方だと云われています。それでも今から1400から1600年ほど前に楷書が標準の書き方になったされていますから、すごく長い歴史をもっています。
 特に現在でも欧陽詢(557年 – 641年)の楷書は端正な字形が有名で『九成宮醴泉銘きゅうせいきゅうれいせんのめい』と云う記念する碑が遺され、楷書の究極の手本とされています。
 ただいずれの文字も、元は篆書にあるので、書道を志す者は、その書き方を研究すべきかも知れません。

楷書 行書 草書

93. [][カイ][つぶ-す][つぶ-れる][画数:15画][部首:水]

螻蟻ろうぎかいてい

 蟻は、なんとか読めますが、「おけら」と読むと、あぁ、と解ります。ただ「おけら」を変換すると、Microsoft IMEの場合は「螻蛄」と変換されます。意味は昆虫の一種で「おけら」と同じです。
 昔は足袋でお馴染みの福助株式会社のテーマソングに「おけらなぜ泣くあんよがさむい 足袋がないから 泣くんだよ」の一節がありました。詩人のサトーハチローさんの作詞だそうです。
 話は大分それましたが、前にも紹介した「応力集中」の事です。少しのほころびが、全体を壊してしまう戒めの言葉として四文字熟語にしたのでしょう。

楷書 行書 草書

94. [][カイ][こわ-す][こわ-れる][画数:16画][部首:土]

『偶像破

 私の記憶に強く残っているのは、ベルリンの壁崩壊の象徴として解体され運ばれるレーニン像の映像です。
 社会主義国の偶像ともいえる、と思っているのですが、かつてはソビエト社会主義共和国連邦には、随分沢山のレーニン像があったようです。
 私は、1965年の夏にそのソ連を訪れたことがありました。その時にもこのレーニン像を目にした記憶があります。無造作に他の芸術作品であると思われる像が、あちらこちらに置かれてあったと思います。
 一般にはキリスト教の一つの運動とされる場合がありますが、私はそんな偶像の記憶が残っています。

楷書 行書 草書

95. [][カイ][ふところ][なつ-かしい][なつ-かしむ][なつ-く][なつ-ける][画数:16画][部首:心]

『述奉公身を持たず』

 「不平、不満を持ちながら働いていても、身が持たないということ。」【出典:ことわざ辞典ONLINE.】。
 そうですね。「滅私奉公」もそうですが、我慢には限界があると思います。
 そこで、私が若い頃に学んだ「活私奉公」と言う言葉が頭をよぎります。この言葉は自分を活かしながら会社勤めをしようと思う事です。
 どんな組織でも、自分が考える環境や仕事のやり方と違うのが自然だと思うのですが、仕事に慣れない間は、その環境に馴染めない事や、仕事のやり方に不満が溜まる事もしばしばあると思います。
 そんな時には、我慢をするのはほどほどにして、積極的に自分を活かせる事を考え、そのノウハウを蓄積すればどうでしょう。何時の日か自分が組織を動かしているかも知れません。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の91.~95.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【塊】土部(どぶ)・つち・つちへん
  2. 【楷】木部(もくぶ)・き・きへん
  3. 【潰】水部(すいぶ)・みず・さんずい・したみず
  4. 【壊】土部(どぶ)・つち・つちへん
  5. 【懐】心部(しんぶ)・こころ・りっしんべん・したごころ

 ・・・・つづく。