中学校で習う漢字三体字典 Part18

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

86. [][カイ][いまし-める][画数:7画][部首:戈]

『前車のくつがえるは後車のめ』

 「子曰、温故而知新、可以為師矣」「ふるきを たずねて あたらしきを しる、もって しと なるべし」と言う論語為政第二に出てくる言葉とよく似ています。
 論語の場合は、先人の知恵の拝借と言う意味にも取れますが、この場合は、「人の振り見て我が振り直せ」と同じように、人が被った災難を見て、自分も注意しなければならないと言う事だと思います。
 よく、人が怒られているのを対岸の火事のように、まったく心に響いていない人は、きっと同じ過ちを起こしてしまうと思います。
 空手道では、見取り稽古と言うのがありますが、ただぼんやり見ているだけでは稽古と言えません。もしかしたら、自分が実際に稽古するより価値があるかも知れません。

楷書 行書 草書

87. [][カイ][あや-しい][あや-しむ][画数:8画][部首:心]

我の功名』

 この言葉は、一般的にも使うと思うのですが、近頃は使わないのかも知れません。
 本来は失敗であっても、その事が原因で良い結果になった場合に言いますね。
 ただ「人間万事塞翁が馬」とも言いますから、失敗などは、いつまでも気にしない事が大切だと思います。

楷書 行書 草書

88. [拐][カイ][画数:8画][部首:手]

『拐』

 この言葉は漢和辞典で調べても、良い意味はありません。「かたる。かどわかす。だましとる。」とろくな意味がありませんでした。
 この漢字がなぜ中学校で習わなければならいのか、不思議に思いますが、新聞などにはよく出てくるのかも知れません。

楷書 行書 草書

89. [][カイ][く-いる][く-やむ][くや-しい][画数:9画][部首:心]

『後は知恵のいとぐち

 宮本武蔵の独行道に「我事尓於ゐて後悔を勢寸」「我事において後悔せず」と言う言葉があります。この言葉に真っ向から反対する言葉です。
 ことわざや、戒律、あるいはスローガンなどは、真逆の言葉もあります。それだけ、色々な事があると言う事ですね。
 私は、このどちらもに共感します。後悔も上手く活用すれば次のステップの糧になりますし、自分の心を悩ませたり、あるいは身体に偏重を来すような後悔の仕方では、ストレスになってしまいます。
 このページの二番目の漢字に「怪」と言う字を取り上げましたが、その最後に「いつまでも気にしない事が大切」と書きましたが、「いつまでも」が重要な事で、まずは、失敗の原因は何であったのかを知る事も、必要だと思っています。

楷書 行書 草書

90. [][カイ][みな][画数:9画][部首:白]

五蘊ごうんかいくう

 般若心経の中の一節にあります。
 全文は「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界 無無明 亦無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛到夢想 究境涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 羯 諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 般若心経」。
 全文の意味はここでは割愛しますが、五蘊とは「色・受・想・行・識」で、「色」は、物体。「受」は、感受。「想」は、表象。「行」は、意志、そして「識」は、認識の事だと云われています。
 この五蘊が全て空なんだ、と言うのがこの教えです。
 しかし、この世に生きていると、この五蘊が全て現実に見えます。しかし、ふっと「皆空」と思う事もあります。さて、どちら何でしょうか。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の86.~90.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【戒】戈部(かぶ)・ほこ・ほこづくり・ほこがまえ・たすき・かのほこ
  2. 【怪】心部(しんぶ)・こころ・りっしんべん・したごころ
  3. 【拐】手部(しゅぶ)・て・てへん
  4. 【悔】心部(しんぶ)・こころ・りっしんべん・したごころ
  5. 【皆】白部(はくぶ)・しろ・しろへん

 ・・・・つづく。