中学校で習う漢字三体字典 Part17

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

81. [][ガ][(ゲ)][きば][画数:4画][部首:牙]

絶弦はくがぜつげん

 私も何度か親友を無くして、気持ちのやり場に困った経験がありました。
 この言葉は、そんな深い関係の友を亡くした時の悲哀を言う時に使うそうです。
 この歳になると、毎年のように友人が亡くなります。最近は自分もそろそろか、と思うのですが、若い時は世の中の無常を感じたものでした。

楷書 行書 草書

82. [][ガ][かわら][画数:5画][部首:瓦]

解氷消がかいひょうしょう

 和解でも氷解でもありません。組織が倒壊してしまうことです。
 瓦は組み合わせですから、一つ壊れると次から次に壊れてしまいます。ちょうど、ドミノ倒しのように。
 建物は屋根が命、一番の問題は雨漏りです。屋根がしっかりしていなと、建物まで崩壊する事になります。
 前に住んでいた家も、50年以上も経っていましたから、屋根は本瓦から現在の瓦に葺き替えてもらった事があります。
 組織が崩壊するのも、同じで少しの歪が全体を壊してしまうかも知れません。

楷書 行書 草書

83. [][ガ][画数:13画][部首:隹]

体貌閑たいぼうかんが

 この文字から上品と言うようなイメージは湧いてきません。しかし、閑雅は、落ち着きと品を表わすようです。貌と言ういう漢字が「むじなへん」だからでしょうか。
 勝手な解釈はしない方が良さそうです。
 昔、「知らない事は罪」、と言った友人がいました。そうですね、勘違いすると真実がどこかに行ってしまいます。

楷書 行書 草書

84. [][ガ][画数:15画][部首:食]

『墨は鬼に磨らせ筆は鬼にとらせよ』

 これは、書道の戒めのためにできた言葉でしょうか。
 墨は柔らかく力を込めないで磨り、筆を持つときは、鬼のように力を込める。そんな意味で言われたのでしょう。
 確かに、墨の磨り方は的を得た指導だと思います。しかし、筆を持つ手は、その時々によって変化する物だと思います。出来れば、筆を持つ手には力を込めない方が良いと思うのですが。
 まだまだ書道師範と言っても、初心者に毛が生えたような、いや私は毛も生えていませんが、判断する事ではないように思います。
 しかし、空手でも徐々に無駄な力は抜いて行く方が望ましい動きが出来ると思っています。

楷書 行書 草書

85. [][カイ][画数:4画][部首:人]

常鱗凡じょうりんぼんかい

 この言葉から「普通」をイメージするのは、余程見識の高い人だと思います。
 私は、この言葉さえ知りませんでしたから、四字熟語事典ONLINE.のお世話になりました。
 この言葉のように「普通の人」になるにはどうすれば良いのでしょうか。
 私の子供の頃に「私は貝になりたい」と言うドラマがありました。フランキー堺と言う多才な俳優が主人公でした。ですから普通の人ではありませんが、セリフにありました。
 この言葉は、その平凡な貝と普通の魚の事を言うらしいです。
 このドラマでは普通の理髪店のご主人ですが、戦争犯罪者として裁かれるのです。
 子供心に考えて、どう考えても理不尽な判決でした。そんな時に牢獄の中で、フランキー堺さんが遺した遺書の文面が「もう人間には二度と生まれてきたくない。生まれ変わるなら、深い海の底の貝になりたい」でした。
 今、この文章を書いていても、なんとも切ない思いに駆られます。
 心に残る番組でした。世の中の理不尽さに振り回されて、そして人間の手によって裁かれ、この世を去らないといけない境遇に、子供心にも涙した思い出があります。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の81.~85.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【牙】二部(にぶ)・ニ
  2. 【瓦】瓦部(がぶ)・かわら
  3. 【雅】隹部(すいぶ)・ふるとり
  4. 【餓】食部(しょくぶ)・ショク・しょくへん
  5. 【介】人部(じんぶ)・ひと・にんべん・ひとがしら・ひとやね

 ・・・・つづく。