中学校で習う漢字三体字典 Part7

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

31. [唄][(うた)][画数:10画][部首:口]

『唄』

 中学校で同じクラスだった人で「ばい」と言う苗字の人がいました。常に成績はトップで穏やかな人です。今は小児科医をやっていると思うのですが、どうしているのでしょう。
 その時この文字を「ばい」と読めるのだと知りました。
 意外と知っている人の名前で、漢字を覚える事もありました。
 それまでは、「うた」と読むしか知りませんでしたが、めずらしい名前だと思いました。この文字を見ると彼を思い出します。
 私の中学時代とは真逆の人でした。

楷書 行書 草書

32. [][ウツ][画数:29画][部首:鬯]

頓挫ちんうつとんざ

 「詩文に深い意味を込めすぎて、意味がなかなか理解できないこと。」【出典:四字熟語事典ONLINE.】。
 どうなんでしょう、読解力の問題かも知れませんよ。
 と言っても、やけに難しい言葉を使って、内容が複雑になってしまう文章を書く人もいますね。
 私のような文学に見放されて育った人間は、文学的な表現にはちょっと入り込めない壁を感じてしまいます。
 それでも、ある程度の読解力が無ければ、この言葉のような深い意味を織り込まれた詩文で無くても、理解出来ないかも知れません。
 特に昔の詩文は、その時代を知っていなければ分かりようのない場合もあります。
 ただ、この沈鬱頓挫と言う言葉には、少し非難めいた響きがあるように感じるのですが、やはりこれも理解の無さから来るものかも知れません。

楷書 行書 草書

33. [][うね][画数:10画][部首:田]

杉原千すぎはらちうね

 2015年に映画にもなり、NHKでも報道されたので知っている人も多いと思います。第二次世界大戦時にナチスの迫害を避けてるユダヤ人に対して独断で日本通過のビザを発行し、6,000人以上の人を救ったとされています。
 この話が事実では無いと言う人もいます。落合道夫氏(東京近代史研究所代表)がその人ですが、彼の主張が正しいのであれば、この映画も顕彰事業をしようする自治体も、もう一度史実を洗い直す必要があると思います。
 私は、小説や映画の中で史実を取り上げながら、フィクションとしている物に非常に違和感を感じています。
 確かに歴史に詳しい人であれば、嘘、作り話として内容や展開の面白さで、その物語を評価するのかも知れませんが、私などは、歴史の流れと同じように、また時々名前や場所などは史実の通り、あるいは、実際の名前を想像できる表現をされていると、まんまと騙されてしまいます。
 随分前になりますが、日曜劇場「JIN –-」を観て、まさかの展開なのですが、信じてしまい、しかもウィキペディアのパロディ版、アンサイクロペディアに引っかかってしまい、もう少しで人に話す所でした。あぶねぇあぶねぇでした。

楷書 行書 草書

34. [][うら][画数:10画][部首:水]

阿漕ゲあこぎがうらに引く網』

 人知れずにこそっとしている事でも、度重なると見つかって捕らえられてしまった、と云う話から来ている言葉ですが、禁じられた所で密猟をする人は今でもいます。
 この言葉から何を学ぼうと言うのでしょう。ダメなものは、度重ならなくてもしない方が良い、と言うべきではないのでしょうか。
 会津藩に伝わっている「什の掟」の最後の言葉「ならぬことはならぬものです」の方が為になると思うのですが。

楷書 行書 草書

35. [][エイ][よ-む][画数:12画][部首:言]

『花鳥ふうえい

 高浜虚子たかはまきょしと言えば明治・大正・昭和の有名な俳人です。私でもその名前は知っています。その方の俳句理論で、高浜虚子の造語です。
 言葉の意味は、自然をありのままに客観的に詩にすると言う根本理念です。
 絵画で言えば写実派にあたるのですかね。
 どちらかと言うと、捻じ曲げてアレンジしている、と言うと語弊があるかも知れませんが、そんなものよりも、素直に表現しているものの方が、私の性に合います。
 空手道でも、書道でも、目的を間違えないよう素直に表現してほしいと願っています。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の31.~35.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【唄】口部(こうぶ)・くち・くちへん
  2. 【鬱】鬯部(ちょうぶ)・チョウ・においざけ
  3. 【畝】田部(でんぶ)・た・たへん
  4. 【浦】水部(すいぶ)・みず・さんずい・したみず
  5. 【詠】言部(げんぶ)・ことば・ゲン・ごんべん

 ・・・・つづく。