文武両道のために・・・・『徒然草』を読んで見る。【221】

 今日の文字は『基準きじゅん』です。書体は行書です。今日読んで見ようと思う、『徒然草 第二百二十段』を読んで見て、感じた文字です。

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☆『「日本最強の語学使い」首相通訳に迫る 43の言語で専門担当官、トランプ氏の「ゴルフ外交」では泥仕事も』
(withnews 2019/03/03 07:00)

 安倍晋三首相は第2次政権が発足した2012年12月から18年までの間に78の国・地域を訪れました。一方、日本にも外国からは多くの首脳や外相がやって来ます。そこで行われる会談を支えるのが、外務省の「通訳担当官」。“国内最強の語学使い”と言える通訳たちは、外交の最前線でどんな仕事をしているのでしょうか。(朝日新聞政治部記者 清宮涼、鬼原民幸)
—–後略」【引用記事

 この記事で殆ど割愛したのは、内容そのものよりも、通訳に興味があったからです。

 先日のトランプ大統領の会見を視聴していましたが、英語が分からない私に問題があるとは思いますが、通訳の女性2名が交代で、同時通訳していました。

 いつも思うのですが、相手が話すとほぼ同時に通訳を始めます。この会見の女性も同様に、間髪を入れず通訳していました。

 しかし、この二人から受ける印象は、一人は上手、もう一人は日本語になっていない部分もありました。ですから、内容が上手く伝わってきません。

 どちらもテレビ局が選んだ有能な同時通訳の人なのでしょう。ですから能力的には優秀だと思います。

 ですが、本当に会見している人の言葉がそのまま聞けるのでしょうか。これだけ、AIが発達してきているのですから、少し遅れても、本人が話す内容に間違いのない通訳を報道してほしいと思います。

 特に大事な場面では、速さよりも確実な言葉を報道する方が、良いのではないかと思いました。
 
 
 さぁ、今日も一日元気で過ごしましょう。

 
徒然草 第二百二十段 〔原文〕

「何事も邊土は、卑しくかたくななれども、天王寺の舞樂のみ、都に恥ぢず」といふ。天王寺の伶人の申し侍りしは、「當寺の樂は、よく圖をしらべ合せて、物の音のめでたく整ほり侍ること、外よりも勝れたり。ゆゑは太子の御時の圖、今にはべる博士とす。いはゆる六時堂の前の鐘なり。そのこゑ、黄鐘調の最中(もなか)なり。寒暑に從ひて上り・下りあるべきゆゑに、二月 涅槃會ねはんゑより聖靈會しゃうりゃうゑまでの中間を指南とす。秘藏のことなり。この一調子をもちて、いづれの聲をもとゝのへ侍るなり」と申しき。

 およそ鐘のこゑは黄鐘調なるべし。これ無常の調子、祇園精舍の無常院の聲なり。西園寺の鐘、黄鐘調に鑄らるべしとて、あまたたび鑄替へられけれども、かなはざりけるを、遠國をんごくよりたづね出されけり。法金剛院の鐘の聲、また黄鐘調なり。

 

『現代文』

『「何事も片田舎は、粗末で体裁が悪いが、天王寺の舞楽だけは、都に恥じる事はない」と言うと、天王寺の音楽、特に雅楽の演奏を職とする人が「当寺の音楽は、よく音律の正しい調子を定め、音がよく整っています。これは他の所よりも優れています。その理由は、聖徳太子の時の音律の正しい調子を定めるものを、今でも基準としているからです。いわゆる六時堂の前の鐘です。その音は、黄鐘調おうしきじょうと一致しています。寒暑によって上り・下りがあるため、二月 涅槃会ねはんゑより精霊会しゃうりゃうゑまでの間を基準にしています。秘伝のことです。この一調子で、いづれの音をも整えるのです。」と言った。

 大体鐘の音は、黄鐘調おうしきじょうであるべきだ。これは無常の調子であり、祇園精舍の無常院の音である。西園寺の鐘を、黄鐘調おうしきじょうに鋳造するべく、何度も造りなおしたが、上手くできなかったので、遠国より探し出して取り寄せた。法金剛院の鐘の音も、また黄鐘調おうしきじょうである。』

 

 

『基準』

 前にも基準になる物の例えとして、メートル原器を挙げました。音には音叉で基準の音を出します。

 それにしても、兼好法師は、『何事も邊土は、卑しくかたくななれども』と、常に田舎の事をこけ下ろしていますが、当時はやはり都と比べて、文化や生活にも差があったのでしょう。

 ここまで言われると、その音色、聞いて見たい気もします。

 そこで【祇園精舎の鐘】を載せている人がいましたので、音を聞いて下さい。こんな音です。もう少し、強く鳴らしてほしかったですね。せっかく本場まで行ったのですから。

 また、管楽器と絃楽器の黄鐘調、音取の様子が【黄鐘調 音取】にありましたので、載せておきます。