宮本武蔵の『五輪書』もようやく、読み終える事ができました。
【出典:熊本県立美術館 所蔵品 データベース 独行道】
ちょっと、横道にそれていましたが、それも愛嬌、横道の方が良いと思う人の方が多いかも知れません。( ^ ^ ;
私、一応仙人を目指す、武道家ですので、閑話休題。折角宮本武蔵が、身近に感じたので、宮本武蔵が残した、独行道を取り上げて見る事にしましょう。
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獨行道
一 世々の道をそむく事なし
【世々の道をそむく事なし】
『古より伝わる道に背かない』
一 身尓たのしみをたくま須
【身にたのしみをたくまず】
『身に楽しみを企まない』
一 よろ爪尓依怙の心奈し
【よろずに依怙の心なし】
『万事に依怙贔屓する心なし』
一 身をあさく思世越ふかく思ふ
【身をあさく思世をふかく思ふ】
『身を浅く思い世を深く思う』
一 一生の間よく志ん思王須
【一生の間よくしん思はず】
『一生の間欲心思わず』
一 我事尓於ゐて後悔を勢寸
【我事において後悔をせず】
『我事において後悔をせず』
一 善惡尓他を祢多無心奈し
【善悪に他をねたむ心なし】
『善悪に他を妬む心なし』
一 いつ連の道尓も王可れを可奈しま寸
【いづれの道にもわかれをかなしまず】
『何れの道にも別れを悲しまず』
一 自他共尓うら三をか古川心奈し
【自他共にうらみをかこつ心なし】
『自他共に恨みを口実とする心なし』
一 連ん本の道思ひ与る古ヽろ奈し
【れんほの道思いよるこころなし】
『恋慕の道思いよる心なし』
一 物毎尓春起古の無事奈し
【物毎にすきこのむ事なし】
『物毎に好き好む事なし』
一 私宅尓おゐてのそむ心奈し
【私宅においてのそむ心なし】
『私宅において望む心なし』
一 身ひとつ尓美食をこのま須
【身ひとつに美食をこのまず】
『身一つに美食を好まず』
一 末々代物奈留古き道具所持せ寸
【末々代物なる古き道具所持せず】
『子孫に残す価値ある骨董品を所持せず』
一 王か身尓いたり物い三春る事奈し
【わか身にいたり物いみする事なし】
『我が身に必要以外の物は意味する事なし』
一 兵具八各別よの道具多し奈ま寸
【兵具は格別よの道具たしなまず】
『武具は格別の道具を慎む』
一 道尓於ゐて八死をいと王寸思う
【道においては死をいとはず思う】
『道においては死を厭わず思う』
一 老身尓財寳所領もちゆる心奈し
【老身に財宝所領もちゆる心なし】
『老身に財宝所領を持ちたい心なし』
一 佛神八貴し佛神越太のま須
【仏神は貴し仏神をたのまず】
『仏神は尊し仏神を頼まず』
一 身越捨ても名利はすて須
【身を捨てても名利はすてず】
『身を捨てても名誉は捨てず』
一 常尓兵法の道を者奈礼寸
【常に兵法の道をはなれず】
『常に兵法の道を離れず』
正保弐年
五月十二日 新免武藏
玄信(花押)「二天」(朱文額印)
寺尾孫之丞殿
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上記の黒文字は、墨蹟原文をそのまま活字に写しましたが、かなり見えない所もあり、参考文献から判断しました。変体仮名については、元の漢字と思われる漢字をあて、黒字(太文字)の活字としました。
同じく【】内の文字は、墨蹟原文を活字にしたものの内、変体仮名のみを現代仮名遣いに替えました。
又、『』内は、平仮名を漢字に替え、現代文として読みやすくしました。
しかし、墨蹟原文自体が不鮮明で、かつ、私の浅学によって活字に変えていますので、正否については責任を負えません。
さて、明日からは、しばらくの間、『独行道』を一つづつ、紐解いて行くことにしましょう。
【参考文献】
・佐藤正英(2009-2011) 『五輪書』ちくま学芸文庫.