実用書写「都道府県版」Part-9 2020年6月17日 / zuishin / コメントする 都道府県のうち、県を書いています。今日は新潟県と富山県を楷書と行書で書きました。 S字型 前回「S字型」について、もう少し詳しく説明する、書きました。 この写真は、横画を書こうと、筆を紙面に下ろし、起筆を書いて、今送筆に移ろうとしたところを撮影しました。 見ての通り、穂先は紙面に押し付けられ、筆の根本との間にS字のカーブが出来ています。 丁度自動車のサスペンションのような役割をしています。この上下に力を伝える事を利用して紙面に力を加えます。 これは、直接腕や手の押さえる力を伝えるのではなく、筆の持つ弾力を利用するということです。 「書写」や「書道」の毛筆で字を書く場合、この力を使って、「突く」とか「押し返す」と言う言葉を使います。 決して、筆先がべたっと紙面に付くように力を入れない事が、重要だと思います。 ☆このS字型のポイントは、2018年5月29日に掲載したものを参考までに再度載せました。 起筆・収筆 始筆・終筆 このブログでは、起筆と終筆と言う言葉を使っていますが、江守賢治先生の記述では、次のように書かれています。 『起筆と収筆とは昔から使われてきた用語であるが、始筆と終筆は戦後小学校で使われ始めた用語である。 起筆や収筆というのはむずかしいというので新しい用語を作ったと聞いているが、字がむずかしいのか、語の内容がむずかしいのか、私にはわからない。 単に、やさしい用語にするためならば、始筆・送筆・終筆とはいわないで、横画や縦画の「始め・途中・終わり」とすればよかったのではないか。転折を「折れ」といっているのと同じようにである。 収筆と終筆とは同じではない。一点一画が一つ一つで終わるという考えで書くと、字全体に脈絡がなくなる。収の字には「おさめる」の意味があって、そこでいったん筆をまとめて次の画に移っていくという意味で、収筆というのである。』(出典:江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会. このブログでは、起筆・送筆・終筆と書いてきましたが、これからは、『起筆・運筆・収筆』と改めたいと思います。 なお、東京書道教育会の資料では、始筆(起筆)・送筆(運筆)・終筆(収筆)となっています。ちなみに、江守賢治先生も東京書道教育会の『用具・用材について』と言うテーマで執筆されています。 江守賢治えもりけんじ 元・文部省主任教科書調査官(書道・書写・美術担当) 文部省認定・書写技能検定協会(書道検定・ペン字検定)理事 出典:江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会. ★書写技能検定は、現在文部省認定ではなく、文部科学省後援になっています。 楷書 行書 楷書 行書