「無くて七癖」と言います。また「有って四十八癖」とも言います。数字はともかく、人にはなぜだか、癖ができます。個性は良い意味に使われますが、癖は悪い時に使われることが多いと思います。
字にも、人それぞれに癖があります。よくサスペンスなどの警察が関係するドラマには、「筆跡鑑定」などと言う事をして、その人である事を確定したりするのを、よく目にします。
字は体を表すと昔から言われますが、本当にそうなのか、私には分かりません。しかし、字には、爽やかな文字がある事は、腑に落ちる所があります。
半面上手と言われる人の字でも、癖なのか、馴染めない字にも出会います。
文字に対する意識は、決して日本だけのものではありません。漢字圏だけでもないのです。カリグラフィーペンで書いた文字など、デザイン的にも魅力のある文字が書けます。当然の事のように英語などの横文字です。この文字は、デザイン化した文字です。
最近はコンピュータが文字を書く主流になり、私なども、ご多分に漏れず、コンピュータを会社に導入し始めたころから、コンピュータやワードプロセッサーを使っていますので、何かというと、文字を書くのはコンピュータに頼ります。
お陰で、もとから漢字を書けない人が、ますます漢字を書けなくなっています。最近学校ネットで中学生卒業程度のテストを毎晩寝る前にやる事にしています。少し漢字を書けるようになってきました。
さて、今紹介しているのは、お習字でも、ペン習字と言われている硬筆の文字を紹介しています。毎回書いていますが、鷹見芝香先生の文字を模写した、ひらがなを掲載しています。
私は、この文字が好きで、爽やかさと共に、癖のない文字だと思っています。この感覚が、この文字を習得する上で、最も大切な事だと思っています。よい字だと思わない字を、毎日書ける人がいるとしたら、それはもう凄い人だと思います。
字を練習するのは、忍耐ではありません。少なくとも、楽しく練習したいものです。
ちょっと空手の道とは、違うようです。空手の場合は耐えることも必要な道と言えるでしょう。
では、いつものように一文字一文字、観察して、書いて見ましょう。
「は」と言う文字の特徴は、赤い枠の内側にほぼ正方形に収まるように書きます。赤い枠線ぎりぎりに大きく書くのではなく、少し余裕をもって書くと良いでしょう。
ここでも、結びがありますが、 上達ポイント(Section 6)の特徴をよく知って書いて見てください。
左側の縦線は、少し左側に膨らませると、右側と調和が取れるでしょう。ひらがなの場合は、真直ぐに引く線は殆どありません。このあたりも、ひらがなを書くポイントです。
「ひ」の特徴は、右に傾いた楕円形に添って書く気持ちが必要です。難しい文字です。文字の始めの横線は、ほぼ水平に短く引いて、中央の線に接すると左斜めに膨らませながら、縦の長さの半分くらいで少しだけ右斜めに下します。下にある横に伸びている赤い点線まできたら、徐々に右斜めに上げて、中心線を越えてから鋭角に上に上げます。頂点の位置は四角の赤枠の上から四分の一程度を目安に真下に引き下ろします。少し下ろしてから徐々に真横に線を書きますが、水平までいかない時に終わります。
「ふ」の文字は、赤の点線の三画の二等辺三角形をイメージしてその中に書きますが、一画目の位置と、四画目の位置には注意して書きます。一画目は、図のように中心線から45度程度傾けて点を打ち、中央線に接したら左下にハネて、二画目に書かずに繋げます。二画目の下の曲がる部分の接点は中央線です。そして、三画目に行くハネも斜めに赤い点線で引いた上に添うように、次の線に繋げます。しかし、三画目は一旦外に行った気持ちを引き戻すように、左から右に点を打ちます。そして、最後の四画目は、三画目との繋がりを意識しながら、右上がりの赤い点線の上にやや長い点を打ちます。
「へ」は、非常にバランスの取りにくい文字です。そこで、書き始めは、四角の赤枠の縦の半分くらいから右上がりに中央線を越えてから徐々に枝がしなるように下に下ろします。
この文字がバランスを取るためには、左側の線より右側の線の長さを長く書く事と、カタカナの「ヘ」のように頂点が角ばらないように気を付ける事です。三角形の赤い点線の枠が中央線のどの部分にあるかを覚えておきましょう。
「ほ」は、正方形になりやすい文字です。ほんの少し縦長の長方形になるよう、赤い点線の枠をイメージしましょう。
ここでも結びがでてきますが、縦線よりも上で結びの最下点がくるようにすると良いでしょう。
また、四画目の縦線の始まりは、二画目と三画目の横線のほぼ中央から書きだすようにしましょう。
上にある「は」の結びと種類が違うので、注意して書いて下さい。 上達ポイント(Section 6)の特徴を参照してください。
【参考文献】
・鷹見芝香(1966)『ペン習字』 株式会社主婦の友社.