中学校で習う漢字三体字典 Part93

 中学校の三年間で習う、1110文字の内の5つの漢字を書いています。漢字は2020年度施行の学習指導要領に対応しています。

 表示は左端が対象漢字、続いてカタカナは音読み、平仮名は訓読み、画数、部首の順です。そして、ことわざ・故事・文章などから一つを選んでその漢字の使われ方を示す事にしました。

 ちなみに、文部科学省では学年ごとに習う漢字は、1学年250字程度から300字程度、2学年300字程度から350字程度、3学年では、その他の常用漢字(小学校で習う漢字1026文字以外の常用漢字1110文字の大体)と学年ごとに決まっていないようです。

461. [][ジュン][画数:15画][部首:辵]

法闘争』

 最近は大部分の企業が、国から民間に経営が移っていますので、この言葉自体が実施されると聞いたことはありません。
 順法闘争とも言われていますが、国鉄が民営化されるまでは、よくこの言葉を聞きました。
 官公部門の労働組合は、ストライキが法律で禁止されていて、これを破ると解雇される場合がありました。
 労働組合は、この法の盲点をつき、業務のルールを完全に順守するのですが、作業能率を落とし、当局の業務に打撃を与える方法を考えたのが、この遵法闘争でした。一種のサボリです。
 しかし、労働者の待遇は改善されるべきですが、鉄道などの場合は、しわよせは、利用する立場の国民にきます。どちらを優先するべきなのでしょうか。

楷書 行書 草書

462. [][ショ][画数:11画][部首:广]

人食力しょじんしょくりき

 「官職についていない平民は、肉体労働で生計を立てるということ。」【出典:四字熟語辞典ONLINE.】。
 今では使われないと思って、インターネットを調べると、自虐的なパロディですかね。「庶人食力」と書いたTシャツが売られていました。またシャツに印字する宣伝もありました。
 日本では、職業も多岐に渡っていますから、何も肉体労働だけが庶民の仕事でもなくなったと思います。それでも、競争の社会ですから、現在の仕組みについて行けない人などは、今でも手っ取り早く日雇いの肉体労働で、生計を立てている人も沢山いるのでしょう。

楷書 行書 草書

463. [][ショ][(チョ)][お][画数:14画][部首:糸]

『後悔は知恵のいとぐち

 「我事尓於ゐて後悔を勢寸われことにおいてこうかいをせず」宮本武蔵が遺した「独行道」の六番目に書かれている言葉です。
 武蔵の言う後悔は、その事を後まで引き摺って、悩みを持つことはしない。そんな意味に捉えています。
 しかし、ここで言う「後悔は知恵の緒」は、「失敗は成功の母」や「失敗は成功の基」と言われるのと同じで、失敗した事を前向きに捉えようとする気持ちと同時に、その失敗の中に成功するための知恵がある事を、示唆しています。
 なかなか意味深長な言葉だと思います。

楷書 行書 草書

464. [][ジョ][ニョ][画数:6画][部首:女]

『剣禅一

 このブログでも取り上げましたが、禅僧・沢庵和尚が「不動智神妙録」を、柳生但馬守に宛てた手紙の中に由来となった言葉がありました。今手紙と書きましたが、書き記した書物なのかは判明していません。
 しかしこの「不動智神妙録」の文面に、「剣禅一如」とも「剣禅一致」と言う言葉も見当たりません。
 ただ、その意味する所は、禅で求められる心も剣に求められる心も、つまるところ同じである。そんな意味であると思います。
 少林寺拳法を創始した宗道臣の著作「少林寺拳法 その思想と技法」と言う書物の第二章金剛禅の思想、第二の表題に「拳禅一如」と言う言葉を見る事ができます。
 今では空手道でも、この「拳禅一如」を志している人達が沢山います。また、弓道でもこの言葉に愛着を感じている人達がいます。
 武道を志す人にとっては、単なる四字熟語が時代を越えて、心に根差しているのですから、言葉って言うのは、凄いなと思います。

楷書 行書 草書

465. [][ジョ][画数:9画][部首:攴]

久闊きゅうかつする』

 こんな言葉をまず使う事も無いと思います。意味は無沙汰を詫びる挨拶の事だと言う事ですが、そんなに襟を正して言う人もいません。
 ご無沙汰と、「ご」を付けていう事が多いと思います。しばらく会っていない人に、久しぶりに会った時、あるいは、今ではメールが滞っていた時などに使うと思うのですが、やはり「久闊を叙する」は、時代かかっているような気がします。
 しかし、こんな言葉も知識の中にあった方が、文学書などには出てきそうな気がします。

楷書 行書 草書
覚 書

 現在中学生編として、2020年度施行の学習指導要領に対応した漢字を、楷書・行書・草書と三体の文字を毛筆で書いていますが、初めに部首と書いていますが、通常呼ばれている読み方ではないと思われたと思います。

 そこで、一般ではどんな読み方をされているのか一覧にしてみました。

 今回は、中学校三年間で習う文字の461.~465.の部首を取り上げていますが、日本では部首の正式な名称は決まってないようです。辞書によって統一されていないのが現状です。

部首 部首名称 (読み方) 部首通称

  1. 【遵】辵部(ちゃくぶ)・しんにょう・しんにゅう
  2. 【庶】广部(げんぶ)・まだれ
  3. 【緒】糸部(べきぶ)・いと・いとへん
  4. 【如】女部(じょぶ)・おんな・おんなへん
  5. 【叙】攴部(ぼくぶ)・ぼくづくり・ぼくにょう・のぶん・しぶん・とまた

 ・・・・つづく。