【競技空手で使われる、「刻み突き」について、練習する前に知っておくべき事】 |
前回、刻み突きの種類について、投稿しましたが、今日は4.と5.について考察してみたいと、思います。
[刻み突きの種類]
- 寄り足による刻み突き
- 継足による刻み突き
- 越し足による刻み突き(日本空手道髓心会独自の名称)
- 競技用寄り足刻み突き(日本空手道髓心会独自の名称)
- 競技用継足刻み突き(日本空手道髓心会独自の名称)
※その他各会派、各道場、各団体、各選手ごとに独自の方法があると思います。
どちらも、ダイナミックバランス(動的バランス)と言う言葉で、説明しましたが、実際にどういう状態かを説明したいと思います。
空手道において、通常は、まず自分の体の安定を確保して、攻撃、或いは防御の姿勢を取ります。しかし、この場合(4.5.)は、逆に不安定の状態から、安定した姿勢を確保します。
- 写真右が武道としての空手で使う、刻み突きの特徴。
- 写真左が競技としての空手でよく使われる刻み突きの特徴。
競技でよく使われる方法を動画(4.5.の内5.のみ)で観てみましょう。
5.のみを紹介した理由は、現在の競技においては、常に動きがありますので、その時の間合いにより、4.にも5.にも変化するもので、練習する場合も4.5.が混合されて練習する方が良いと思うからです。
○エネルギーの移動
- 床に足が付くか、付かない状態で、上下動、左右前後の運動をしながら、攻撃のタイミングを掴みます。
- チャンスがくれば、突き手に体がついて行くように、突き手が初動します。この初動のエネルギーが上半身から下半身に伝えられます。
- 前足に重心が移ったと同時に、後ろ足を前足に引き付けます。
- 前足の膝を抜いて(前回同様カックンと膝を折る)、後ろ足の足裏を踏み込みます。上半身から伝わったエネルギーを足裏に伝えます。
- 流れるように、前膝を浮かし、前に踏み込みます。反作用として足裏からエネルギーは、両膝・腰・脊柱・肩を通して突き手に伝えられます。
- 両膝は前へのベクトル、腰・脊柱・肩は螺旋状に上に巻き上げながらエネルギーを拳に伝えます。
- 2.~5.の間に突き手は、すでに終了していなければなりません。ただし、まだ、突きの移動は前に動きます。体全体を鎗のように一本化して突くさまは、松濤館流から派生した流儀にも見る事ができます。
- 前足が踏み込まれると同時に、後ろ足を前足に引き付け、相手の攻撃に備えます。
※この技は、突きが始まって終わるまでに、下半身をアンバランからバランスを取った姿勢にしなければなりません。
余程、足腰を鍛えなければ、使える技ではありません。現役の選手生活をしている人でないと、使えないものと思います。
動画では、理論的な技術の要素を表現しているに過ぎず、とても、70才を過ぎて出来るとは、思っていません。悪しからず。