お習字から書道へ Section 42

 お習字から、少しは書道ぽくなって来たかも知れません。

 単なる主観です。多分まだまだ、お習字で、続けて行こうと思っています。
 
 さて、今朝も文字を選んで書く事にします。

 この文字を選ぶときには、『楷行草筆順・字体字典』から、上手く書けそうな文字と、難しそうだな、と思う文字の二種類の文字を選ぶようにしています。

 前回は、「たへん」「みみへん」を取り上げました。
 文字は、「甲」「画」「番」、「聖」「聞」「職」、を楷書で、「番」「聖」「職」を書写体で書きました。

 今回は、「かいへん」「とりへん・ひよみのとり」を取り上げました。
 文字は、「財」「買」「賦」、「酒」「酔」「酸」、を楷書で、「財」「賦」「酒」「酔」「酸」を書写体で書きました。 


「財」は、旁にポイントを置いて、書きました。字画が少ないですが、偏との釣り合いを取るのが難しい文字です。「才」の二画目の縦画をやや左斜めに倒す事で、左払いとのバランスを取るようにしています。

 この文字は、書写体よりも楷書の方が、しっくりいくような感じです。バランスだけの問題ですが。

 
 

 「買」と言う字のポイントは、頭でっかちに書くと、意外とバランスが取れるようです。ただ、気を付けたのは、上の部分を扁平に書かないと、やたらと縦長になってしまいます。そして、「貝」の下の左払いと右の長点で、上の部分とのバランスを取るようにしています。
 

 「賦」は、書写体の方が楷書よりも、自分では良くできたように思っています。

 ただ、どちらも、「貝」との横幅とのバランスが難しいと思いました。

 

 
 「酒」は、「酉」の下の部分を狭くして縦長に書くようにすると、「さんずい」とのバランスが取れると思いましたが、これは、手本を観察しての意見です。

 この文字の場合は、楷書よりも横画が一本多い書写体の方が、書きやすかったと思います。

 

  
 「酔」もやはり「酉」の文字を細長く書きました。しかし、全体的には小さめに旁の方を縦長に書く事で、字画の調整が取れていると感じます。

 書写体の方は、少し柔らかく起筆を入れて書いて見ました。そのため手本よりも丸い文字になってしまいました。ただこういう感じも、場合によっては良いのかもと、勝手に思っています。

 

  

 「酸」は、楷書、書写体とも、駄作でした。自分でもバランスが悪いと感じていますが、どうすれば安定するのか、今のところ分かりません。

 

   

 一口メモ 

 前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第十六回目です。取り上げるのは、「縦敝じゅうべつ」「横敝おうべつ」「聯敝れんべつ」「散水さんずい」の4つです。【「べつ」の文字は左側に〔てへん〕が入りますが、環境依存の文字なので、この字を当てました。】

 「縦敝じゅうべつ」、「居」の左払いの書き方を、説明しています。これも部分の繋がりではなく、点画の書き方です。この場合には左払いを直ぐに開くのではなく、縦画を縦に引き、ある程度縦画を引いてから左に払うと言う事です。

 「横敝おうべつ」、これも左払いの筆の運び方を説明し、「考」の「土」の右側から左斜め下に払う場合を言っています。長い払いなので途中で力が抜けないように注意しています。

 「聯敝れんべつ」は、「參」をあげていますが、『ちょうど魚を串刺しにしたような形になる。』とありますが、私にはそう見えそうもないですし、気脈が切れないと言う表現も理解できませんので、分りかねます。
 ただし、最後に書かれてある、『穂先の方向にも、それぞれ変化を求める。』と言うのは理解できます。「ひとやね」と言われる部分の左払いがあり、その下に三本の左払いが並びます。この一つづつに変化を持たせないと文字が単純になってしまいます。

 「散水さんずい」ここも、例は「海」をあげていますが、「さんずい」の点の打ち方を示しています。『第一点は力強く、第二点は第一点よりわずか左へ出て少し平に打ち込み、下方へはね出し、第三点へ気脈を通じる。』要するに点画の説明に他なりません。ここでも、「気脈」と言う言葉がありますが、単純に筆の運びを繋げると言った方が、私には分かりやすいです。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.