お習字から書道へ Section 33

 『お習字から書道へ Section 1』で報告したとおり、課題の一つが再提出の指定があり、この時に不合格になりました。
 理由は、用紙の大きさが間違っていたという事なので、指定通り色紙大の用紙に書いて5月31日に提出のため投函しました。
 今回その課題が返還され、合格しました。
 二行目の「し」の部分を穂先だけで軽く書くと言う事と、「ら」をもう少し滑らかに、そして、落款(名前)をもう少し小さく書くよう、指示がありました。

 内容は、「めのうつしてとめたら(ば)ぐともたみ万志まし」と言う「寸松庵色紙」というもので、伝 紀貫之筆となっています。提出した課題は、これを臨書したものです。

 東京書道教育会は、五段制で、初段で普通科師範に合格し、現在は、今回の課題が合格しましたので、三段になりました。

 昨日、正師範の課題を送りその結果を待っています。また、2週間後に結果が分るでしょう。

 東京書道教育会や書道界では「部分」、一般的には部首と呼んでいると思いますが、その部分に従って、文字を選んで通信教育の課題とは別に練習しています。

 前回は、「りっしんべん」「しょうへん」「はばへん(きんべん)」を取り上げました。
 文字は、「必」「快」「忙」、「壮」「状」「将」、「帳」「師」を楷書で、「忙」「師」「将」を書写体で書きました。

 今回は、「こざとへん」「ころもへん」「しめすほへん」を取り上げました。
 文字は、「阪」「限」「際」、「社」「神」「票」、「被」「袖」「袋」を楷書で、「際」「社」「神」「票」「被」「袖」「袋」を書写体で書きました。
 


 「阪」と言う漢字は、東京書道教育会を受講した最初の頃、名前の上に都道府県名を書くためよく書きました。しかし、この文字は「へん」と「つくり」のバランスが難しく、今でも書きづらい文字です。気をつけている部分は、「反」の転折(折れ)からの左払いです。この収筆を最初の左払いの収筆に向かうようにしています。

 「限」の文字の特徴は、最後の右払いを下まで伸ばさない事だと思います。この長さと位置によってバランスを取るようにしています。

 「際」は、意外と書きやすい文字だと思っています。「示」の文字の大小と位置によって文字全体のまとまりが出来る気がしています。もちろん、右払いの長さも注意しています。

 「書写体」の文字は、右の旁の右払いと最後の三点に注意を払う必要がありそうです。

 

 

 「社」は楷書、書写体共に初めの点の角度と位置、そして二画目の折れに繋がる横画の角度が重要なポイントだと思って書いています。特に折れから左払いの長さと角度には注意しています。

 文字全体としては、まとまりやすい文字だと思いました。

 


 「神」は、自分でも上手く書けたと思います。この文字の注意している点は、「しめすへん」と旁の位置によって文字の安定性ができると思います。

 書写体の方は「申」の位置を、楷書より少し下目に書いてみました。意外と落ち着いた字になったと思います。

 並べて見ますと、楷書の最後の縦画は、もう少し太い方が良くなったと思います。

 


 「票」はバランスが取りにくく感じています。この文字は、楷書より書写体の方がまとまり良く書けたと思います。

 しかし、どちらも、点の変化に注意して書きました。

 点は、この文字に限らず、色々な変化を持たせて書く事により、文字のバランスをとる役目をしてくれます。

 


 「ころもへん」は、「しめすへん」と良く似ていますが、点の打ち方に工夫が必要だと思います。

 最後の点の位置を色々変えて見ましたが、やはり、旁により変わると思いました。

 

 「袖」の書写体は少し旁が下になり過ぎたように思います。もう少し上げても良いと思っています。

 

 「袋」は、楷書も書写体もアンバランスで、何度も書き直しました。

 それでも、納得のいく文字にはなっていません。

 

 一口メモ 

  前回からの続きで、『はじめての書道楷書』(関根薫園著)で、中国の李淳と言う人の手による「結構八十四法」と言う文字の組み合わせ方を説明していきたいと思います。

 今日は第七回目です。取り上げるのは、「上平じょうへい」「下平かへい」「上寛じょうかん」「下寛かかん」の4つです。

 「上平じょうへい」の例は「野」です。「里」を字画が短いと表現しています。この字画とは、横画の事でしょう。横画が短い線が沢山ある場合は、上に詰めて書けば良いと言っています。ですから、当然下は空く事になります。そして、上を揃えて右側の部分を書きますが、ここでも、左側の横画と一直線上にならないよう配慮すると言う事です。そして右側は左側で空いた下の空白を埋めるように長く書くとつり合いが取れるのでしょう。

 「下平かへい」の場合は、「上平じょうへい」とは逆に右側の字画が短いと書かれてあり、文字は「故」をあげています。右側の部分の字画が短いと、俄かには思えませんが、その場合には左右の字画の下を揃えると書かれてあります。

 「上寛じょうかん」の文字の例は「事」です。ここで言われているように、逆三角形に書くと言うのも、少し納得はできません。気を付けたいのは、横画の間を広く書かない事が大切だと思います。

 「下寛かかん」は、「上寛じょうかん」の逆と書かれています。文字は「蔡」をあげていますが、ここに書かれてあるように上が狭く下が広くなった三角形の字形と書かれてあります。私には「示」があるので、ここで言われているような下が広い三角形には見えません。まだまだ見る目が無いのかも知れません。

 

【参考文献】
・青山杉雨・村上三島(1976-1978)『入門毎日書道講座1』毎日書道講座刊行委員会.
・高塚竹堂(1967-1982)『書道三体字典』株式会社野ばら社.
・関根薫園(1998)『はじめての書道楷書』株式会社岩崎芸術社.
・江守賢治(1995-2016)『硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて』株師会社日本習字普及協会.
江守賢治(1981-1990)『常用漢字など二千五百字、楷行草総覧』日本放送出版協会.
・江守賢治(2000)『楷行草筆順・字体字典』株式会社三省堂.